マラウイでの生活
まず、マラウイのインフラ状況について。
マラウイの電気普及率は9%で残りの91%は電気のない生活をしています。
また、マラウイの発電は99%が水力発電のため乾季の終わり頃に当たる10月〜12月は地域によって差はありますが、昨年はほぼ毎日のように停電になります。
現在は雨季に入り水量が増えたためか、毎日電気が来ていることに逆に違和感を感じるくらいです。
水道の普及率は都市部では80%、農村部では32%となっています。乾季には都市部にいても断水になり水が使用できないことがあるので、バケツの貯水と市販の飲み水の備蓄は僕の任地では必須です。
農村部では浅井戸を使用し水を得ていますが、村によっては故障した井戸を修理することができず隣の村まで汲みに行かなければならないところも多くあります。
僕が活動で行く農村部の多くは電気も水道も通っていません。マラウイへ来て、電気と水が当たり前にあることのありがたさを学びました。
マラウイのリハビリテーション
中央病院や県病院には理学療法科があり、交通外傷や脳卒中、脳性麻痺の方のリハビリテーションを行っています。
日本と比べて特徴的なのは火傷科があり、火傷の患者さんの治療が多いこと。
電気の普及率が低いマラウイではバウラと呼ばれる七輪を使い調理を行います。
火の危険性を理解できていない小さな子供達が、バウラに乗っている鍋をひっくり返してしまい火傷するという機会が多いようです。
また、マラリアへの罹患率も高く、2013年には約3700万人がマラリアと診断され約2100人がマラリアで死亡しています。そのうち54%が5歳児未満となっており、命が助かっても脳症による後遺症を患ってしまう子供も多くいます。
マラウイにおける医療機関へのアクセス率(医療機関の5km以内に住んでいる割合)は46%で半数以上の人はすぐに病院へ行くことができないところに住んでいます。
また、交通機関も未発達のため、夜間に病院へかからなければならない状態になっても移動ができないのが現状です。
僕の配属先のNGOは、マラウイ南部バラカ県にありバラカ県全域と隣のンチェウ県の一部を活動範囲として、医療機関へ通うことが困難な僻地に住む人々への薬の提供とリハビリテーションの提供を目的としたアウトリーチ活動をしています。
各村にはクリニック(と言っても教会や大きな木下)があり、医師から喘息やてんかんなどの診断を受けた患者さんに、看護師が薬を提供しています。
リハビリテーションは、脳性麻痺や水頭症、マラリア性脳症、クラブフット、脳卒中の患者さんを多く見ています。
僕の所属先のNGOは各クリニックに専属のボランティアがおり、Community Based Rehabilitation(CBR)を実践しています。
ボランティアは各村でリハビリテーションを必要とする人々の早期発見や、患者さんやその家族の生活をサポートしている重要な存在です。
また、このボランティアに対し年に一度、疾患やリハビリテーションについてのワークショップを行い、ボランティアの知識や意識向上を促しています。
しかし、このような活動が行えるのは資金のあるNGOに限られており、マラウイの公的病院ではアウトリーチへのガソリン代を捻出できず、僻地でのリハビリテーションを提供できていないのが現状です。
マラウイが自立して僻地に医療を届けることはまだまだ難しいようです。
*目次
【Vol.1】世界最貧国でも幸せな国 マラウイ
マラウイの現状と医療
【Vol.2】マラウイにおけるリハビリテーションの現状
マラウイでの生活とマラウイのリハビリテーション
【Vol.3】マラウイのリハビリテーション教育
リハビリテーションテクニシャンと理学療法士
【Vol.4】マラウイへの外部支援
マラウイの未来のために