人工知能(AI)は近年、急激に注目され「AIが人間の仕事を奪う」論争もよく耳にする今日この頃。
療法士はなんとなく、AIに対して"敵"という認識を持っている人が多いような気がする。
しかし、AI(人工知能)時代は必ずやってくるし、AIとうまく付き合っていける療法士こそ、これからの時代の主役になれるような気がしてならない。
今回は、私なりにAI(人工知能)時代の到来について私なりに考察してみようとおもう。
AIに療法士が使われる時代がやってくる!?
AIがリハビリ分野に参入してくると、世界中にある論文データから学習し目の前の患者さんに一番効果のある治療を選択してくれるようになるだろう。
つまり、今、必死にPubmedやら医中誌webと言った論文検索データベースから関連する論文を引っ張ってきて、英文ならそれを翻訳して、一番適した治療を考える必要がなくなる。
さらに言えば、AIが個別リハビリテーションプログラムを立案し、それを導きだすための評価をして、あとは指示に従えばいいのだから、統合と解釈を自分で行う必要もなくなるのである。
患者サイドとしてはどの療法士が担当しても効果の高い治療を受けられることになり、当たりハズレがなくなるのである。
そうなってくると、AIが療法士に評価と治療を指示して、療法士はAIに使われていればいい。つまり、知識がなくてもリハビリが行えるようになる。
現在の診療報酬は、点数が定められており、ここに理学療法士を始めとするリハビリテーション専門職の技術的効果判定は加味されていない。
つまり、1年目の療法士が担当しようが、30年目の療法士が担当しようが同じ診療報酬体系なのである
そうすると、病院としては国家資格を持ち人件費が高い療法士よりも、AIが運動指導士や介護士に個別リハビリテーションプログラムを指示する方が当然コスパがいい。
療法士の人員削減は当然起きることが予想される。
AI(人工知能)はリハビリ職種の仕事を奪うのかー。
しかし完全に、理学療法士・作業療法士の仕事がAIに奪われることはないだろう。
ここでEBM(Evidence based Medicine)についてもう一度思い出して欲しい。
EBMを実践するには、今言ったように何もエビデンスだけで行われるわけではない。
医療者の臨床経験はAIにとっては変えられるものではない。
人工知能は、あらゆるデータから治る可能性の高い治療を教えてくれるが、反面エビデンスは高くないが個々のセラピストの経験に依存するテクニックなどを導き出すことは少ないだろう。
さらに言えばAIは脳を持っているが、肉体は持っていない。ハンドリングや職人的な感覚を必要とする徒手療法は、機械には真似することはできないだろう。
次のページ>>AI時代で給料が下がる療法士とは?