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vol.3 世界最貧国でも幸せな国【マラウイ】のリハビリテーション教育

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マラウイのリハビリテーション職

 マラウイにおけるリハビリテーションの必要性は明確でしたが、多くの病院はリハビリテーションサービスを持っていませんでした。そこで1999年にリハビリテーション技術学校の導入が試みられ、カチェレ・リハビリテーション学校の設立と同時にリハビリテーションアシスタント(以下RA)という職種が生まれました。RAは、理学療法・作業療法・言語聴覚についての浅く広い知識を学びリハビリテーションを提供していました。その後RAは卒業時に修了書を受け取れるようになり、リハビリテーションテクニシャン(以下RT)と名称を変え中央病院や地方病院、NGOなどに所属しリハビリテーションの提供を行ってきました。

 

 そして2010年にマラウイに唯一ある医大に理学療法学科ができ、2014年に卒業生が出た現在ではRTと理学療法士(以下PT)がどちらもいるという状態になりました。

 

 マラウイには作業療法士や言語聴覚士の養成学科は無く、それらの資格を取得するためには、海外の大学に行かなければなりません。そこで現在、カチェレ・リハビリテーション学校が奨学金を出し、数名の学生が海外の大学に通い作業療法士の資格取得に向けて勉強しているそうです。

カチェレ・リハビリテーションセンター

 

College of medicine

 

リハビリテーションテクニシャンと理学療法士、そして作業療法テクニシャン

 RTは3年間リハビリテーションについて広く浅い知識(教員はPTが多い為、理学療法が中心の内容になっている)を学びます。特徴としてはCommunity Based Rehabilitation (以下CBR) を学ぶための8週間の実習がカリキュラムにあります。卒業時には修了書はもらえますが、学位はもらえません。現在、RTの多くは地方病院で働き、患者さんの評価や治療を行なっています。

 PTは5年の修学期間の後、中央病院での1年間のインターン期間を経て計6年間学び卒業となります。しかし、PTのカリキュラムにはCBRを学ぶための実習が無く、卒業生の多くはマラウイの僻地コミュニティの現状を把握していません。また、中央病院でのみの勤務となっており、地方病院にはPTはいません。

RT学生のCBR実習にて。僻地でのリハビリテーションを学びます。

 

CBR実習では、僻地でのリハビリテーション対象者の早期発見に向けたヘルストークなども行います。

 

 そして、現在は作業療法士のいないマラウイですが、作業療法士の必要性も明確です。教員の話によると、医大に作業療法科を設立する事を計画しているそうですが、海外から作業療法士を教員として招くにも費用がかかってしまうため設立には時間がかかっています。

 これに対し、カチェレ・リハビリテーション学校は昨年より新たに作業療法テクニシャン(以下 OTT)学科を設立しました。OTTはRT同様に3年間の習業期間で、作業療法を中心にリハビリテーションについて学ぶようになっているそうです。そして現在タンザニア人やジンバブエ人の作業療法士が教員として招かれ、授業を行っているそうです。

 

マラウイのリハビリテーション教育が抱える問題

 僕が2年の活動を通し感じたマラウイのリハビリテーション教育が抱える問題について。

 マラウイでは1人のPTに対し2人のRTという割合で配置し、PTの治療をRTが補助するという形を将来的に取りたいと考えているそうです。つまり現在は中央病院のみにしかいないPTを将来的には地方病院へも配置し、PTが管理者となりRTと共に地方の患者さんに対してリハビリテーションを提供予定です。

 しかし、管理者となるPTはCBRを学ぶための実習が無く、マラウイの僻地での生活を想像した介入がされていない現状があります。これに対し、カリキュラムの変更が検討されているようですが、いつから新たなカリキュラムとなるかについては不明です。

 

 また、学校を卒業後し資格を取得したにもかかわらず、働き先が無いことも大きな問題となっており、多くの資格取得者が就職先を見つけられずに就職難民となっています。昨年末に政府系病院へ10名ほどのRTが就職し、また教員の中にはプライベートクリニックを作り就職先を作り出そうとしている人もいますが、未だに多くのPT、RTが就職先を探しているという状態です。

 

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金野 健人先生

2012年3月 北海道文教大学卒業
2012年5月 社会福祉法人 北海道社会事業協会 余市病院 入職
2015年9月 社会福祉法人 北海道社会事業協会 余市病院 休職
2016年1月 独立行政法人国際協力機構 青年海外協力隊 マラウイ派遣

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