英語の先生と一緒に
留学までの手続き(トビタテ!留学JAPAN)
私は留学をするにあたり、文部科学省が官民協働で行っている「トビタテ!留学JAPAN」という制度を利用しました。まずは、簡単ではありますが、この制度の紹介を簡単にさせていただこうと思います。
この制度は、2013年に開始された官民協働(民間企業が支援・寄付をしている)の制度です。東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年までに大学生の海外留学12万人、高校生の留学6万人をめざし、将来世界で活躍できるグローバル人材を養成することが目標とされています
(詳細はこちらhttps://www.tobitate.mext.go.jp)。
この制度はネーミングもさることながら、現地での活動も支援するというとてもユニークな制度です。まったく分野の異なる人間同士が留学前後に合宿を行い、意見をぶつけ合い、お互いを理解し、新たなコミュニティを形成していくことも大きな特徴だと思います。また、この制度は高校生から大学院に所属する30歳までの幅広い人材を支援することも他の制度にはない魅力だと言えます。
私は第4期生として応募期限のぎりぎりである30歳でトビタテ!留学JAPANに採用していただき、留学の機会を得ました。応募手続きには、自分が留学で達成したい目標やこれまでの海外経験などを記載します。この書類はできる限り具体的に自分の活動内容を書く必要があり、「~をしたい」ではなく、「~をする」といった文体で書類を作成しました。この書類の作成にあたっては、所属の大学を通す必要がありました。
幸いなことに所属の大学の留学支援を担当してくださっていた方がとても熱心に書類を校正してくださいました。他者に意見を求めることは非常に重要であることを痛感したことを記憶しています。また上述の通り、現地での活動も求められます。
そのため、活動先を決めなければならないのですが、私はこの活動先としてMcGill大学医学部理学療法学科を選択し、研究に参加させてほしい旨を依頼しました。先方にはメールで連絡をしましたが、予想よりもすんなりと許可が下りました。大学院生ということもあり、これまでに自身の研究論文が国際誌に掲載されていたことなどから英語のスコアなども提示する必要がありませんでした。ただ、留学の時期に関しては調整が必要でした。
私はこの当時、社会人院生として大学院に所属していた関係もあり、所属の大学院だけではなく、職場との調整も必要でした。大学院においては博士論文の執筆もありましたので、留学が決まってからは大急ぎで執筆にあたりました。また、職場においては長期の不在となるため、上司への相談が必要でした。
ただ、私の所属していた職場の上司は、本当に理解のある方ばかりで、止めることよりも背中を押してくれることをしてくれました。こうした調整の結果、約3か月間の留学期間を得ることができました。あと残るのはMcGill大学の事務への連絡でした。この連絡もメールで行われ、必要な書類を記載し、担当教授からの推薦書を提出するだけで受理されました。
言語をどのように習得したか
私は、大学院博士課程に入学するために英語が必須でした。そのため、大学院への入学のために、入学試験の2年前から英語を再学習しました。再学習のために英会話教室に通いはじめましたが、社会人になってから英語を使用する機会もない状態でやっていましたので、とてもひどい出来でした。英会話教室に入り、初回の面接が英語でありましたが、当然一番下のクラスからスタートとなりました。お恥ずかしながら初めて受けたTOEICの模試は350点前後でした。
それから、再学習を始めたのですが、具体的にやったことは中学生の高校受験の対策本からです。これを仕事の昼休みを利用し、1日3ページずつ行いました。また、子供も小さかったため、子供が就寝してから勉強をしていました。高校受験の対策本が終わってからは大学受験、TOEICの専門書と進めていきました。参考書では本当に基本的な文法を学習できたことが良かったと思っています。
同時に英会話教室にも通っていましたが、ここで一番良かったのは日本人同士でも英語で会話することの恥ずかしさがなくなったことだと思います。国際的にみれば内向的であると言われることの多い日本人ですが、漏れなく私もその一人であり、英語を口にすることに恥ずかしさを感じていました。ですが、英会話教室での経験は、この精神的な部分を成長させてくれたと思います。同時に、市町村が行っている英会話教室や国際交流会などにも参加し、海外出身の友人を作り、日常の中でも英語を使うように心がけました。その結果、間違った英語でも伝えようとすることが大切であることに気が付けました。
勉強の結果、晴れて大学院博士課程に合格できましたが、ここからも英語学習は続きます。大学院での博士論文は英語で記述する必要がありましたので、必然的に英語能力が求められました。また、学習の際には多くの英語論文を読む必要があります。この経験によってリーディングとライティングの技術は多少向上することができました。大学院博士課程に入学してからは英会話教室はやめていましたが、留学を決めてからはスピーキングの能力を向上させる必要があると感じたため、Skypeでの英会話を開始しました。
ここで幸運だったのは、Skypeでの英語の先生が偶然、McGill大学の学生さんだったことです。そのため、留学する前から大学に関する多くの情報をきくことができました。このSkype英会話では、医学・保健分野に関するニュースをCNNから引用し、それについて意見交換をする、という方法を取り入れてもらいました。そのことで自分の分野に関する最新の知識を得られるだけでなく、英語での表現方法や自分の意見を表出する能力が養われたと思っています。Skype英会話の先生とは、パソコン上でしか話をしたことがなかったのですが、留学中にお会いできた時はなんだか不思議な感覚を覚えました。
現在の私の英語能力はCommon European Framework of Reference for Languages(CEFR)でB2レベルですので、まだまだ英語の学習は必要です。実際、留学中にも英語が理解できない経験もしました。ですが、McGill大学での担当教授は当時フランス語を勉強していたこともあり、「世界の標準語はBroken Englishだよ」、「僕もフランス語を勉強しているけど、君の英語は僕のフランス語よりも上手だから自信を持って。他言語を勉強する難しさはよく分かるよ」と声をかけてくれました。これらの言葉に救われながら、留学中は前向きに頑張ることができました。
お世話になったShawn Robbins先生と一緒に
語学学校のクラスメイトと一緒に(移民を多く受け入れているカナダには多くの人種が集まる)
第五回タイスタディーツアー開催!
【日時】2019年3月25,26日(ホテル3泊)
【料金】学生35,000円、社会人40,000円 料金に含まれるもの:ホテル3泊、食事7回、移動費
【旅行協力】名鉄観光サービス(株)名古屋伏見支店
【内容】現地の私立病院、有料老人ホーム、PTクリニック、公立の障害者ホーム、公立病院、タイの家屋状況などを見学予定。
詳細は直接、岩田先生のFBにメッセージをください。
▶︎ http://kenji7.main.jp/123-2/
【目次】
第一回:Youはなぜカナダの大学へ?
第二回:TOEIC350点から始まった英語学習
第三回:変形性関節症患者におけるClinical prediction ruleの構築
田中繁治 プロフィール
学歴
2004-2007 専門学校川崎リハビリテーション学院理学療法学科
2007-2009 佛教大学社会福祉学部社会福祉学科
2010-2012 吉備国際大学大学院保健科学研究科理学療法学専攻(修士:理学療法学)
2016-2016 McGill University, Graduate Research Trainee
2014-2017 神戸大学大学院保健学研究科保健学専攻(博士:保健学)
職歴
2007-2018 専門学校川崎リハビリテーション学院理学療法学科
2007-2018 川崎医科大学附属病院リハビリテーションセンター
2018- 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部