2019.05.31

【EBMはじめの一歩】コクラン･ライブラリーで質の高い論文情報をチェックしよう

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いままで、PubMedと医中誌Webの検索方法についてお伝えしてきました。今回は「Cochran・Library（コクランライブラリー）」の使い方を解説していきます。

コクランって？

コクランは1993年に英国で設立された質の高いエビデンスに基づく医療上の意思決定を推進する国際的非営利団体です。コクランライブラリーには、よく知られているコクランレビュー以外にも学習に役立つコンテンツが収録されています。

＜収録コンテンツ＞

・Cochran Database of Systematic Reviews (コクランレビュー)

・Cochran Central Register of Controlled Trials (CENTRL)

・Cochran Clinical Answers (CCAs)

・Systematic Reviews from Epistemonikos

・Special Collections

・Editorials

PubMedや医中誌は一次論文を網羅的に探すことができるのが特徴ですが、コクランレビューはその中でもエビデンスレベルの高いシステマティック・レビュー論文を集めているため、エビデンスが高いのかどうかを確認するのに優れていると言えます。現在（2019年5月現在）、約8,000のレビューと約2,400のプロトコル(レビューの作成前に著者が用意する計画書)が収録されています。

CENTRLはランダム化比較試験(RCT)に代表される臨床試験の結果を報告する文献のデータベースで、CCAsはコクランレビューからえられた質の高いエビデンスを、臨床現場の医師が利用しやすいように完結にまとめられています。

コクランはEBMの父と言われる3人のうちの1人

コクラン検索方法に入る前に、ちょっと寄り道。”コクラン”は、現在のEBMの父の一人とされているアーチボルド・コクラン（Archiebald L. Cochrane）というイギリスの医師の名前からきています。

彼が残した言葉に、「有効な治療はすべて無償で」（all effective treatment must be free）があります。これは、当時のイギリスの国民保健サービスNHSのスローガンである「治療はすべて無料で」（all treatment must be free）を批判したものです。つまり、「effective：有効」なもののみが無料であるべきということです。

今のリハビリテーション業界においてはよく、「目の前の患者さんがよくなればなんでもいいじゃないか」といったことが聞かれたりもしますが、国の税金を利用した療法である以上、有効だと確からしい療法にこそお金が使われるべきなのではないでしょうか。

それでは早速、検索してみましょう

まずは、Basic Searchについて。画面右上の検索ボックスに検索したい語を入力して、実行しましょう。

ドロップダウンメニューで、検索語が含まれる場所を指定できます。

画像は「高血圧」に関して検索した結果です。401件のレビュー論文がヒットしました。さらに絞りたい方は、「Advanced Serch」ボタンを押して、ANDやOR検索を行なっていきましょう。

詳しくは「Pubmedの使い方」の記事で説明しましたので、割愛。

次にMeSH Search について。

Advanced SearchのMeSHタブを開くと、「Enter MeSH term」と「Select subheadings / qualifilter」という二つの入力欄が出てくると思います。「Enter MeSH term」欄に、検索したい語を入れると、自動的に同義語にあたるMeSH用語で検索されます。

「qualifilter」は副表題で、以下の画像のように、文献の内容を示す大きなカテゴリーを組み合わせることができます。