アレルギー×理学療法の実践例【及川 文宏】

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アレルギーリハビリテーションのエビデンス

 ー 日本アレルギーリハビリテーション協会も立ち上げて、今まで多くの人がアレルギーに対するセラピーを受講していると思いますが、同じように起業しているセラピストとかもいるんですか?

 

及川さん 今のところ受講生の多くは自分がアトピーを持っていたりとか、家族がアトピーで困ったりしている人だから、まだまだ、それで食べている人は少ないです。

 

そんな中、非常勤で皮膚科に勤めている人とかは出てきていて、少しずつ皮膚科の医師やアレルギー科の医師と協力できる関係づくりができてきています。

 

ー 医師から「理学療法士がアレルギーに対して何ができるの」と、言われたりしませんか。

 

及川さん 先日も小児科の医師から、「及川さんはどのようなことをされているのですか?」と聞かれました。やっと、聞かれる状態になってきたところです。まだまだ、確固たる信頼を得られている状態ではありません。

 

こういう症例だったら理学療法士に相談した方が、アレルギー症状の改善の可能性が上がると医師に思ってもらうこと、理学療法がアレルギーに対してのアプローチの1つの選択肢になることを目標に進めています。

 

ー でも、確かに呼吸リハとかでもそうですけど、薬物療法と運動療法を絡めると効果が上がりますからね。

 

及川さん それはクライアントを通して強く感じています。薬の量を減らすための手段として、理学療法は有効だと感じます。内科疾患には当たり前に理学療法という選択肢が入っていますし、今はウィメンズヘルス分野でも理学療法は確立してきていますよね。

 

同じようにアレルギー領域における理学療法も認められて、最終的には、アレルギー疾患に対して理学療法の処方箋が出るのが当たり前になると思っています。

 

今現時点では、アレルコアにいらっしゃるクライアントさんで、どのような傾向があるのか調べ、そして、ベースになるようなエビデンスを集めている最中です。また、日本アレルギーリハビリテーション協会の受講生にも協力してもらってエビデンスを集めてもらっています。

 

ー でも、それこそ批判とかされたことはないんですか?

 

及川さん んー…まだそこまで言われるほど、目立っていないからか批判されていないね。学術的にどうなのかというのは、突っ込みところ満載だと思いますよ。今度、理学療法学会で発表もしますが、医師の学会に出してこそ意味があると思っています。

 

運動療法の必要性を理解されている医師の先生が、アレルギー学会で発表した際には、他の医師にほとんど聞き入れてもらえなかったそうです。まずは、批判されるようになってからがスタートラインだと思っています。

 

批判されて、その内容を1つ1つ丁寧に答えられるようにして、埋めていかないことには、本当に怪しげなセラピーと同じになってしまいます。保険点数なんて夢のまた夢。シングルケーススタディーでもいいから、まずはどんどん学術発表をしようと思っています。

 

アトピーとかって、不安を煽って商材を売るようなものが世の中に沢山あるから。それと一緒にされるのは悲しいです。

 

臨床の実践例

 

ー アレルギーに対して何をやるんですか?運動療法がメインなんですか?

 

及川さん 運動療法で改善していく方もいますが、私のところにいらっしゃるクライアントは運動療法だけでは、改善していかない方が多いです。理学療法の視点が改善につながることの多いケースは、身体内においてアトピーの症状が偏って出ている場合です。

 

例えば、20代女性のクライアントさんは、首回りや腕など上半身に症状が酷く出ており、エアコンの風が当たっただけでもデコルテに痛みが出て辛いとおっしゃっていました。

 

この方は…

 

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