第210回:パリ理学療法士委員会の副会長フランスワーズ ヌルダン•ビズアール先生ーペリネオロジー学の専門理学療法士ー

学術的なものを、一般に普及させるための活動。学術が、世のためになる工夫。

 

ペリネリハビリテーションの普及

ーーーエデュケーションはインフォメーションではないというのがその通りだと思ったのですが、先生が教育する上で気をつけているポイントはありますか?

 

education. 不可算名詞 [また an education] (学校)教育 《 【類語】 education は人が身につけるにいたる過程を意味する語.

(英和辞書 Weblio辞書)

日本では、度々「教育」訳されることがあるが、実際には教育と似て非なるもの。語源はラテン語であり、「能力を引き出す」という意味になる。

 

フランスワーズ先生:エデュケーションセラピーにはWHOの中でも明確な定義がありますので、情報とは違います。情報とは直線的なもので、張り紙程度のものとなります。つまりは、患者さんの意見やフィードバックがないことになります。

 

エデュケーションセラピーには3つの特徴があり、1つ目は明確な定義があることです。2つ目は多職種で行うこと。3つ目はスキルをもった病院、施設で行うことによって補助金が厚労省からもらえることです。

 

患者さんに行う際、査定がありまして「患者さんに施しますので予算をください」と厚労省の直轄の機関に申請をします。それで補助金が出るか出ないか査定があります。また、4年に1度、施設がきちんと続けているかも特徴の1つとなります。

 

ーーーペリネリハビリテーションが大切だと思うのですが、日本ではまだまだ知られていません。どのようにすればもっと普及していきますか?

 

フランスワーズ先生:フランスの場合ですと、産後のリハビリテーションでは尿失禁のリスクが高いというのが、産婦人科医が自覚し、エビデンスのもと「予防しないと危険である」と知っているため処方してくれます。

 

そのため医師と連携し、診察などで患者さんに尿失禁があるかどうか問診して頂き、医師が言うことで信頼も高まりますから、世の中への広報に繋がるのではないかと思います。

 

 慢性的に咳き込んで、その際に腹圧に負担がかかり、膀胱に圧がかかって尿失禁が生じているかもしれないですが、問診の際に聞いてみないと、それはわかりません。

 

 フランスでは、そういった学術的なものが漫画となり、出回っています。待合室にガイドラインとしておくこともあります。患者さん自身に自覚してもらうのが大切だと思います。患者さんのプライベートを尊重しつつ、生活の中で何がいけないかを調査します。

 

 

日本の皆さんへメッセージ

日本とリハビリテーションに関する交流が初めて出来たことに改めて嬉しくそしてありがたく感じております。 フランスに戻り周囲の方々とも今後、日仏間でどのようなことが実現可能かについて話し合っています。

 

特に私が感心したのは日本人学生が研究に取り組む情熱のある姿勢でした。 今回の遠征で確信したのは、日本もフランスも新世代のセラピスト達は新たな時代を迎えるため進化しつつあるということです。

 

パリ国立病院で管理職者としてセラピスト達や実習生にどのようなきっかけを与えればその人はリハビリテーションにより興味を持って頂けるのかを常に考えてきました。

 

そのおかげで自立した若者を何人も見てきましたが、それは私にとっても本人達にとっても誇らしいことでした。 臨床を実施する場がフランスに比べまだ少ないという現状だと理解しましたが、是非興味のある方にフランスへ来て頂きメンズ•ウィメンズヘルスの現場を体験して貰いたいと願っております。

 

また両国の交流が深まり、将来的に交換研修や共同研究等も発展出来ればリハビリテーション学の未来に役立つと信じています。

 

(通訳協力:立花祥太朗先生

 

 

【目次】

第1回:フランスにおけるペリネリハビリテーションの始まり。

第2回:医師の理解が、一番の広報。

 

Françoise NOURDIN-BIZOUARD(フランスワーズ ヌルダン•ビズアール)先生のご紹介

【専門】ペリネオロジー、公衆衛生、医療経済学、病院マネジメント、教育
【執筆関連分野】ペリネオロジー、リハビリテーション、医療経済 etc.

※ペリネオロジー(フランス):ペリネオロジーとは尿失禁及び便失禁を治療あるいは予防するための分野である。主に会陰から骨盤底筋の役割や尿力学などを学び適切なリハビリテーションプログラムを提供するのが目的である。

 1990年から2015年までフランスを代表するパリ公立病院連合AP-HPにて三つのリハビリテーション部の部長として勤務され、現在も講師としてペリネオロジー学の専門理学療法士として専門学校や大学で教鞭を執られております。


International Continence Societyメンバー及びフランス語圏国際尿力学とペリネオロジー学協会会員として国内を始め海外(ブラジル、レバノン等)で数多くの講演を行っており、フランス医療高等評価機構の顧問もされております。


現在はLariboisiere病院で研究をされていると同時に、パリ理学療法士委員会の副会長としてフランスの理学療法学の発展に貢献されている人物として知られています。

【資格】
1972年 ナンシーのIFMK(理学療法士専門学校)卒業、理学療法士国家資格取得
1977年 Bois Larris保健医療管理職育成機関(IFCS) 卒業
1990年 パリ第6大学にて骨盤底領域の研究の学内資格取得
1992年 サンテティエンヌ ジャン・モネ大学にてペリネリハビリテーションヨーロッパ認定資格取得
1998年 パリ第7大学にて経済社会科学における学内資格を取得
1999年 パリ第10大学にて公衆衛生学修士課程 (医療法学と医療経済学専攻)修了
2004年 パリ第7大学にて医療施設マネジメント修士課程修了

【職歴】
1972-1974年 ロシュプランリハビリテーションセンター及びポルティシオタラソセラピーセンターで理学療法士として勤務
1974-1978年 コルマール総合病院センター整形外科部門リハビリテーション科勤務
1978-1981年 理学療法士育成機関講師(パリ市)兼、公立病院勤務
1981-1985年 モントルイユ=スー=ボワの地方自治病院勤務
1985-1990年 クレテイユ公立病院リハビリテーション部部長
1990年以降 パリ公立病院連合Lariboisière病院上級管理者、医療従事者チームの管理者及び研修生責任者
(チーム85名うち理学療法士50名) 研修生や学生の指導者とともに骨盤周囲に関するリハビリテーション(pelvipérinéalogie)セミナーを行う

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