第二回:作業療法士の経験は医療コンサルタントにいきるのか【北垣佑一先生】

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臨床経験という強み

ー 作業療法士の臨床経験は、今のお仕事にどのようにいかされていますか?

 

北垣 臨床経験があることの強みとしてはたくさんあるのですが、特に組織のマネジメントに役に立つと実感しています。

 

前回お話しした通り、医師とコミュニケーションをする場面が多いのが、医療コンサルティングの特徴です。医師は療法士が実際にどのような治療を提供するのか、またどのようなメリットがあるのか、十分には理解していません。

 

個別リハビリを提供することで、患者さんも良くなり医院も成長するということを、臨床経験があるとイメージをより明確に説明できるので、納得してもらいやすくなります。そういった点で役に立つと感じています。

 

また、医院で療法士を採用した後のマネジメントにも役に立っています。想像してみていただければ分かると思いますが、リハビリのことを知らない人から「単位をこれくらい取ってください」とか言われたくないですよね。

 

医師は診察だけで手いっぱいなので、経営業をおこなう余裕や、スタッフとコミュニケーションを取る時間もなかなか取りにくい状況です。

 

そこで、私が間に入り、医師の実現したい理念を棚卸しして伝えます。そしてその理念を実現するためにはどの程度の単位数を取らないといけないのかを、私が言うのではなく療法士に考えてもらっています。

 

私のような臨床経験のあるコンサルタントだと、コミュニケーションも円滑になり、マネジメントする際に有用だと実感しています。

 

地域の整形外科クリニックの課題

ー 北垣さんはあちこちの整形外科クリニックを見てきていると思うのですが、そこで感じる地域の整形外科クリニックの一番の課題ってどんなところにあると思いますか?

 

北垣 患者さんからの視点とスタッフ側からの視点でそれぞれ述べたいと思います。まず、患者さんからの視点でいうと、効果のあるリハビリテーションが圧倒的に足りていないことだと思います。

 

物理療法だけやっていても良くならないのは、療法士なら分かると思いますが、現状は施設基準として運動器リハビリテーション料(1)を取得できている整形外科クリニックは全体の15%ほどです。半分は物理療法のみ提供しています。

 

医師も、リハビリテーションをどのような患者さんに対して、どれくらい提供するべきなのか分かっていないことが多く、そこの間に入ってサポートする必要性を感じています。

 

また、働く側からの視点でいうと、組織のマネジメントが不足していることです。経営者が医師であり、経営に費やす時間的余裕がなく、課題解決のための方法をもっていないことが多いです。

 

実際、医院のスタッフさんと面談をさせていただくこともあり、「院長がなにを目指しているのかがわからない」という声をよく聞きます。

 

このような状態だと、組織に不協和音が生じ、スタッフの士気の低下や、変化を嫌う組織になっていきます。そのような組織で本当によりよい医療が提供できるかというと難しいと思います。

 

ー 医療コンサルタントとして働く上で、どのような能力が必要だと思いますか?

 

北垣 日々働いている環境の中で、課題を敏感に感じ取れる力というのは必要だと思います。それを自分で解決して、業界をよくしたいという想いが何より重要で、スキルというのは働いてから身に付ければいいと思います。

 

私自身、想い先行型だったので、初めは名刺の渡し方もメールの打ち方も分かりませんでした。船井総研の最終面接では、「何を予め勉強しておけば良いですか」と聞き、「今の仕事をとにかく精一杯やりなさい」とアドバイスをされました。

 

実際、中途半端にビジネスに浸かるよりは、今の現場で精一杯やったという経験の方がいきると思います。入社後に現場で経営者と対峙しながら、泥臭く学んだ方が成長していくと思います。

 

医療コンサルタントを通しての"しくじり"

ー 北垣さんが今の会社に入社してからした「失敗」について教えていただけますか。

 

北垣 基本失敗だらけですよ。まず医療現場からの転職だったので、現場の意見に流されてしまって経営者がおこないたい施策の実行スピードが遅くなってしまったことがありました。

 

また、初めは「リハビリいいので絶対やりましょう!」と想いばかり先行してしまって、単位をどれくらい取ればいいのかなど、シミュレーションできておらず、売り上げが変わってないということもありました。そろばんを叩いた上での提案をしていかないと医療コンサルタントとしては失格です。

 

ー 一般企業で療法士は求められていると思いますか?

 

北垣 はい。ヘルスケアの市場は今後間違いなく成長しますし、その中で、リハビリテーション専門職種はこれから需要が増えていきます。

 

最近、セラピストという職業に対して悲観的にとらえる声も多く聞きますが、医療・介護保険分野でもまだまだ活躍できる場はあります。いまでは保険外の分野や、経営者として活躍したり、私のように民間企業で働いたりするセラピストも多くいます。

 

どんどん、セラピストの活躍の場が増えていっています。また、セラピストという職業を誇りに感じることができるかどうかは、自分自身のビジョンやミッションを持っているかどうかに尽きます。

 

医療や介護の現場で対象者1人ひとりに寄り添うことが、自分の天職と思う人もいるでしょう。

 

私のように経営コンサルタントという立場から、医療機関とその経営者を1件1件より良い姿に変えることが、自分のいるべき場所だと思う人もいるでしょう。

 

または国家、自治体の構想に携わることが、自分の場所だと思う人もいるでしょう。

 

自分自身のビジョンやミッションを実現させるために、将来どの場所にいるべきなのか。このコラムを機会に、改めて自身のセラピストとしてのビジョン、ミッションを見つめなおし、将来自分がいたい場所、なりたい姿を想像し、その世界を創造できる場でチャレンジしてみてください。

 

ぜひ、私のような想いを胸に抱いている方は、いつでもお声掛けくださいね。

 

【目次】

#1 OTから医療コンサルの道に進んだワケ

#2 OTの経験は医療コンサルタントにいきるのか

 

◆ 船井総合研究所では、現在セラピストの求人を募集しています。

詳細はこちらからご確認ください。

(応募の際は必ず「POSTを見て」とお声がけください。)

 

北垣佑一先生プロフィール

首都大学東京作業療法学科卒業後、作業療法士として急性期総合病院に勤務。 病院勤務時代は、地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟立ち上げ、病棟患者のADL改善に向けた研究と多職種連携への取り組みに注力。

また、作業に基づいた実践に強い興味を持ち、「島根で作業を学ぶ会を立ち上げ・運営」。 現在は、船井総合研究所へ入社し、病院・整形外科クリニック・介護事業所の幅広いコンサルティングを行っている。

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