作業療法士(OT)佐藤良枝先生-コミュニケーション障害に対し指差しが有効だったケース - #2

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>>#1 小児分野の経験が認知症ケアに活かされる。はこちらから!

クレーン現象と職員の戸惑い

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実際、指差しがPick病の方のコミュニケーションを取るのに「指差し」役立ったことがあるんです。

あるケースで、その方はお部屋に行きたいんだけど「お部屋にいきたい」と言えないので職員を強引に険しい顔して引っ張っていったんです。それは言葉が発せないからその人は必死の思いで引っ張って連れて行ったんですね。

でも、職員だって硬い表情で無理やり引っ張られたら嫌じゃないですか。「クレーン現象」という自閉症児のお子さんでも起きることのある現象で、言葉で言えない時に自分の意思を伝えるために相手を引っ張って目的地に連れていくという現象です。

結果としてそうなってしまうんですけど、Pick病の方でそれだけの強い意思があれば指差しできるかもって思ったんです。

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ずっとその人に引っ張られた時に「お部屋に行きたいんですか?」って指差しをしながら繰り返しやったんです。視覚的被影響性亢進(目に見たものにつられてしまう)っていうPick病の症状もあって、その方指差しができるようになったんです。「部屋にいきたい」という意思表示を指差しを使って!

この発想は小児の分野に勤めていなければ出てこなかったなと思います。

認知症は「いい人になることを介護者が求められる病気」?

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認知症に対するケアでまだまだ、不十分だなって思うところはいくつかあって。

「優しくする、褒める、怒っちゃいけない、相手に寄り添う」だということが全面に出ちゃって周知されていること。

言葉はすごく綺麗でその通りだと思うんですけど、あまりにも心理社会的な対応だけ取り上げられちゃって、認知症は脳の病気といういうのが抜け落ちちゃっている。あたかも「いい人になることを介護者が求められる」ような状況になっていてそれはおかしいと思っています。

例えば、同じ脳の病気で脳卒中の後遺症のある方に、怒らなかったり親切にしたり優しくしたところで、麻痺が改善するわけでもなければADLがよくなるわけでもない。ただ対人援助職の基本としてそういうことをするわけで、麻痺の改善やADL向上を考えた時は他のアプローチをすると思うんです。

だけど、同じ脳の病気の認知症のある方に対してはそれだけなんです。「怒らない、優しくする。」ってしてても認知症による困りごとはよくならない。

認知症も脳の障害によって起きるのだから、障害と能力をきちんと把握しないといけないんとずっと思っています。

インタビューいただいた佐藤良枝先生経歴

1986年 作業療法士免許取得

肢体不自由児施設、介護老人保健施設等勤務を経て2010年4月より現職

2006年 バリデーションワーカー資格取得


2015年より 一般社団法人神奈川県作業療法士会 財務担当理事
隔月誌「認知症ケア最前線」vol.38〜vol.49に食事介助に関する記事を連載

認知症のある方への対応や高齢者への生活支援に関する講演多数

一般社団法人神奈川県作業療法士会公式ウェブサイト「月刊よっしーワールド」連載中

キーワード

♯認知症 ♯作業療法 

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