神秘の国の変わりつつある医療を知る in キルギス〜KEITAのメディカルジャーニー

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今夜、世界の医療を旅する男・山本啓太が神秘の国・キルギスの医療を知る!

 

KEITAのメディカルジャーニー!

 

@バランフォツカ病院 in ビシュケク

 

※この設定はTBSクレイジージャーニーのパロディーです

 

MC:はい、今夜もメディカルジャーニー始まりました。皆さんは神秘の国・キルギスをご存知ですか?

 

世界の医療を旅する男・山本啓太。

 

前回の山本は、台湾の高齢者施設に潜入し、その独特な風習の数々を報告した。

 

そして今回、変わりつつあるキルギスの医療を目撃する。

 

今夜、山本啓太が療法士たちの知らない医療の世界へとお連れします!

 

MC:今回、中央アジアのキルギスへ行かれたのはなぜですか?

 

山本:知人からキルギスの医療が今変わりつつあると聞き、見てみたいと思ったのがきっかけです。

 

MC:それではVTRどうぞ。

 

キルギスの子ども病院へ

 

山本:今日はよろしくお願いします!それにしても大きな病院ですね。

 

日本人作業療法士(OT):よろしくお願いします。国内最大の子ども病院ですからね。顎科なんてのもあるんですよ。

 

山本:顎科⁉︎初めて聞きました。OTさんはすでにキルギス語ペラペラなんですね。スタッフ同士ではキルギス語を?

 

OTキルギス語ロシア語がごちゃ混ぜですね(笑)キルギス語で話しかけてロシア語で返答がくるなんて日常茶飯事ですよ。

 

山本:それは大変ですね。でも2ヶ国語話せると色々便利そうですね。

 

OT:それが良いことばかりじゃないんですよ。

 

ロシア語による弊害

 

山本:「良いことばかりじゃない」とはどういうことですか?

 

OT:ロシア語が話せることで優秀な医師はロシアやトルコ、カザフスタンなど国外に出ていってしまうんです。そっちの方が給料が良いですから。だからキルギスの医療が発展していかないんです。ちなみにキルギスの医師の月収っていくらだと思います?

 

山本:んーお医者さんですもんね、物価から考えて10万円

 

OT:残念、正解は7500円です。ちなみに看護師やマッサージ師たちもほとんど同じ給料です。現地のニュースで『キルギスの医療システムの腐敗は、医師の給料アップなしには改善しない』と報道されたのを見たことがあります。

 

山本:7500円ですか・・・。もし僕が彼らの立場ならきっと国外に行くと思います。

 

OT:キルギスの医療状況を示すこんな話があります。キルギスの大統領が以前トルコを訪れた際に心疾患を発症して倒れたんです。命に別条はなかったのですが、その後の治療をロシアで行ったんです。つまり自分の国の医療を信頼していないってことですよね。

 

キルギスに多い疾患とは

 

山本:子どもたちはこの病院でどのような医療を受けるのでしょうか?

 

OT:リハビリテーション対象の子どもたちは、薬物療法、マッサージ、運動療法、パラフィン、水治療法などを一通り受けます。通常、入院は半年に一度で年間20日までです。

 

山本どのような疾患の子どもが多いですか?

 

OT脳性麻痺の子どもが非常に多いです。ユニセフが『キルギスの脳性麻痺の子どもの数は西欧諸国に比べて数倍多い』と文章を出しているくらいです。

 

山本:何が原因なのでしょうか?

 

OT:もちろん先天的なものもありますが、お母さんたちに話を聞いていると、出産時の事故生後に受けた予防接種などで発症した例も多いようです。

 

キリギスのリハビリテーションの変化

 

山本:以前キルギスで働いていた知人から、8年前はリハビリテーションという考え方がなく療法士もいなかったと聞いています。

 

OT:その状況は少しずつ変化しています。例えば、理学療法士(PT)や言語聴覚士が誕生しました。作業療法士はまだいませんが、医師たちと協働して養成コースおよび資格を作るために動き出しています。

 

山本PTになるにはどうすれば良いのですか?

 

OT:医師、運動療法士、もしくはマッサージ師が3ヶ月間の研修を受けるとPTとして働くことができます。世界理学療法連盟にはまだ登録されていませんけどね。

 

山本:他にはどのような変化がありますか?

 

OT:数年前より、ユニセフや国際NGOが主催の研修会を実施しています。そこでボバースやボイタの研修が始まりました。またICFの概念が少しずつですが浸透し始めています。

 

山本:ICFを勉強しているのは療法士たちですか?

 

OT:いいえ、医師たちです。彼らがICFを勉強することによって、指示を受ける療法士たちの働きが良くなるのではないかと期待しています。

 

山本:何がきっかけで医師たちはICFを学び始めたのでしょうか?

 

医師たちがICFを学び始めた意外な理由

 

OT:それには面白い話があります。オーストラリア政府からの派遣で来た医師が、キルギスで権威ある医師に対し、ICFの重要性を説いていたそうです。しかし、彼は常にこう言っていたそうです。キルギスの医療はこのままで良いのだ」

 

山本:そりゃ、彼にもプライドがありますもんね。

 

OT:彼らの付き合いが4年ほど経った頃にようやく折れたというか、理解されたようです。そうなると国内ではかなり力のある人ですから。ようやく今、彼の影響力でICFが広まり始めたというわけです。ちなみにさっきまで話してたのがその権威ある先生ですよ(笑)

 

山本:え、そうなんですか?もっと色々聞けばよかったな。

 

臨床実習を〇〇たちに実施中

 

山本:OTさんはここでどのような仕事をされているのですか?

 

OT:主にお母さんたちに対して家庭療育についての指導を行っています。あと臨床実習もやってますよ。

 

山本:臨床実習はPTたちに対してですか?

 

OT:いいえ、お医者さんたちにです。

 

山本:お医者さんたちに?それはなぜですか?

 

OT:この国ではリハビリを処方する医師たちが全くリハビリに関して理解していないので、まず彼らから変わらないとダメだと思って。研修医を対象に2ヶ月間ガッツリやらせてもらってます。もちろんあの権威ある先生に許可を頂いて(笑)

 

山本:すごいな。僕にはそんな自信ないです(苦笑)今日はたくさん勉強させてもらいました。ありがとうございました!

 

山本啓太の世界の医療を巡る旅はこれからも続く!

 

【目次】

第一回:中国の伝統武術・太極拳を体験する in 台湾

第二回:宗教系の高齢者施設で驚きの風習を知る in 台湾

 

神秘の国の変わりつつある医療を知る in キルギス〜KEITAのメディカルジャーニー

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