正しい運動を実行するための運動学習の仕組みの解明

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これまでは、1つの運動学習で正しい運動を実行できていると考えられてきまたが、本研究で「意識的に正しい運動を実行するための学習」と「無意識的に正しい運動を簡単に実行するための学習」の2つの学習が必要であることが明らかになった ー。

 

(公財)東京都医学総合研究所 運動障害プロジェクト 本多武尊主席研究員らは、正しい運動を実行するための運動学習のメカニズムを明らかにし、今月25日に米国科学雑誌『Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America (PNAS)』にオンライン掲載した。

 

▶︎ 正しい運動を実行するための運動学習の仕組みの解明〜意識的な運動のための学習と無意識的な運動のための学習〜

 

以前より、研究者の中では小脳は運動の実行方法を学習しているのか、運動の実行結果から学習しているのか意見が分かれていた。

 

本多らは、運動の実行方法を学習するためには正しい運動をすることが必要であり、運動の実行結果から学習するためには、間違った運動でも自らの運動の結果を見ることが必要であると考えた。そこで、視界を右へずらしてしまうプリズムレンズをかけた被験者に、ディスプレイに映し出されるターゲットをタッチすることを繰り返し行ってもらった。視界が右へとずれてしまうため、最初はターゲットをタッチできず、ターゲットから右の方へ離れたところをタッチしてしまうが、学習が進むとターゲットを正確にタッチできるようになる。この課題により、ターゲットにタッチすることで起こる学習と、ターゲットにタッチできなくても起こる隠れた学習の2つの学習を発見した。

 

運動の実行結果から学習することで意識的に正しい運動を可能とし、正しい運動を行うことで運動の実行方法を学習でき、何も考えなくとも無意識的に精度の高い正しい運動を簡単に行えるようになることが示された。

 

参考図

 

 

正しい運動を実行するための運動学習の仕組みの解明

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