留学は「失敗」だったけど、「良い失敗」だった|三木貴弘

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「本を書く」という第二の夢

 

ー 日本に帰ってきてからはどんな働き方していましたか?

 

三木 僕はもともと北海道出身なのですが、まずは東京で働こうと思い、ネットで求人を調べ、紹介もあって立川にあるクリニックで働きました。東京で働こうと思った理由の一つに本が書きたかったからということがあります。

 

理学療法に関する主な出版社は東京に集まっているので、その方が繋がりができる可能性は高いだろうと思ってそうしました。あとは、一度は東京で働くことを経験してみたかったというのもあります。

 

いつか自分の名前の入った本を書きたいという夢は、理学療法士になる前からずっとありました。もともと、小さい頃から本が好きで、特にエジソンとかライト兄弟などの伝記をよく図書館で借りたりして読んでいました。留学中や帰ってきてからもあちこちで「自分の経験とか学んだことを活かして本を書きたいんですよね」と話していて、あるとき、知人が出版社の人を紹介してくれました。

 

僕が最初に本の仕事に関わったのは監修というかたちで「リハビリテーションの基礎英語」に関わる機会をいただきました。その本が出版されたあと、その担当者さんから「今度は三木先生主体で、留学の経験をいかした本を書きませんか」とお話をいただいて、「リハビリテーション英会話」という書籍を昨年出版しました。

 

PT・OTが書いた リハビリテーション英会話
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他にも去年と今年で「肩関節痛・頸部痛のリハビリテーション」非特異的腰痛のリハビリテーション」 」「足部・足関節理学療法マネジメント」の計3つの書籍の編集・執筆に関わらせていただきました。現在もいくつかの書籍を進めています。

 

「海外で働く」という夢は確かに叶えることはできませんでしたが、代わりに「本を書く」という第二の夢は叶えることができました。オーストラリアで夢を叶えてそのまま住んでいたら本は書けなかったと思います。オーストラリアでの夢が叶えられなかったからもう一つの夢は叶えられた。人生って面白いと思いませんか?

 

そういう意味でもやはりオーストラリア留学は”失敗”だとは思っていません。…いや、「失敗ではない」というとなんか言い訳っぽいですよね。「良い失敗だった」と思います。オーストラリアに行っていなければ、間違いなく今の自分はいないので。

 

失敗しても本気でやっていたら次に繋がるし、最悪笑い話にすればいい。挑戦してダメなことなんてほとんどないんだと思います。

 

人生のターニングポイントは、と聞かれたら間違いなく「オーストラリアに行ったこと」ですし、アナザースカイは、と聞かれたら「オーストラリアのパースです」と叫ぶ準備はできています。(笑)

 

 好きなことをやっていきたい

 

ー 紹介からチャンスを得たという話でしたが、繋がりを得るために何か意識していたことは何かありますか?

 

三木 繋がりを作るというよりも、常に自分の価値観に合う道を選択してきた結果だと思います。スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ博士が提唱した「計画された偶発性理論」というものがあります。「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」という理論なのですが、正にその通りだなと思っています。

 

幸運は予期していないときに訪れるので、僕は「面白そう」とか「こっちの方が自分にとってのいいことが起こりそうだな」っていう自分の価値観を信じて人生の選択をしてきました。

 

繋がりを無理矢理作ろうとすると、変に気を遣いますし、嫌な人とも付き合わないといけません。自分の中で価値観の合う人と付き合っていれば、ストレスはないし、何もなくても楽しいし,何かあればラッキーですし。それくらいのスタンスです。

 

 

ー 三木さんのこれまでの人生を踏まえて、今20代の学生や若手に向けて何かメッセージをいただけますか?

 

三木 30年ちょっとの僕がいうのもおこがましいですが(笑)、若いうちにどんどん行動した方がいいと思います。結婚して家族ができると、どうしても、行動に制限しなければならない場面が出てくるので、それまでの時期に、いかに本当の自分の好きな事を見つけて行動しといた方がいいと思います。

 

ただ、自分の価値観をみつけて、その価値観を信じて行動することを僕は大切にしています。自分の好きな事が分からない人って意外に多いと思いますし、知らない間に情報とかに踊らされているということがあると思っています。

 

例えば、iphoneを知らない人にiPhoneの初期から最新のiPhone 11まで並べた時に、本当に11を皆が好きなのでしょうか?きっとばらけると思うんですね。でも実際は「新しいから」という理由で選ぶ人が多いんじゃないかな、と思います。

 

僕はSEを使っていて、それは自分が「コンパクトなものが好き」という価値観を知っています。なので壊れるまでSEです。若い時は、とにかく「自分の好きな事は何か」「自分のやりたい事はなにか」に向き合って、人生の選択をしていくといいと思います。選択するにも自分を知らないと選べないです。

 

ー 三木さんが今までたくさん本を読んだりしていると思いますが、一番尊敬している人って誰ですか?

 

三木 それは、もう間違いなく「カズ(三浦知良)さん」ですね。自分を貫いているし、人を否定しないし、生き方としてカッコいいなと思っています。

 

カズさんは15歳でブラジルに行きましたが、僕は25歳でオーストラリアに行きました。カズさんはワールドカップ直前で外されてしまい、僕も直前で帰ってきてる(笑)。

 

けどまた海外に挑戦したり、今も現役で自分の好きを貫いている。職場の机にはカズさんの日めくりカレンダーを飾っています。カズさんの言葉に何度も救ってもらいました。

 

おこがましいのは承知して言いますが、無理やり重ねて生きる糧にしています。似ているなんて口が裂けても言えませんが、何十周遅れで後を追っているつもりです。そういう意味で、僕もいずれまたどういう形になるかはわかりませんが海外に挑戦するつもりです。カズさんを追いかけて(笑)。

 

人生長いですから機会を狙っています。80歳までには行きたいです(笑)。

留学は「失敗」だったけど、「良い失敗」だった|三木貴弘

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