【eスポーツを語る】障がい者支援施設での取り組みから見えた効果【運動機能】

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みなさん、こんにちは!

秋田県でeスポーツについて実践・研究・普及を行なっている作業療法士の若狭利伸(わかさとしのぶ)です。

 

前回の記事では、eスポーツの認知機能への効果や施設での取り組みについて紹介しました。

 

第二回は、【運動機能への効果】についてです!

 

グランツーリスモSPORTの実践

職場で行なっているタイトルとして前回は「ぷよぷよeスポーツ」を紹介しましたが、今回は「グランツーリスモSPORT」について紹介していきます。

 

まず始めに「グランツーリスモSPORT」はカーレースを行なうソフトで、リアルなグラフィックや車の細かいカスタマイズが可能なのが魅力。ゲーム好きな方だけではなく、車好きの方からも長年愛されているシリーズです。

 

私の職場である障がい者支援施設ほくとでは、通常のコントローラーの他に「ハンドルコントローラー」(通称:ハンコン)を使ったプレイをしています。

 

もちろん通常のコントローラーでもプレイできるのですが、ハンコンを用いるとより本物に近い形で自分の車を操作することができます。ハンドルの他にもアクセル・ブレーキペダルが付属しているのもより一層“らしさ”を引き出します。

 

さらに車が壁にぶつかった時や違う車と接触した時には振動でリアルに衝撃を再現。

 

そんなグランツーリスモSPORTで運動機能への意外な効果が見えてきました…!

 

グランツーリスモSPORTの実践から見えてきた効果

脳性麻痺のAさんはグランツーリスモSPORTで、自分の記録に挑戦し続けています。

アクセル・ブレーキペダルはOTが協力し、Aさんがハンドルで車の操縦を担当。(オートブレーキやハンドル操作のサポート機能も併用することもあります)

 

今回は実際にプレイしているAさんからインタビュー形式でお話を伺いました!

 

若狭
Aさん、よろしくお願いします。ゲームは今までもプレイしたことはありましたか?

 

Aさん
任天堂のDSなどプレイしたことはありました。
若狭
DS私もやりましたよ~!では全くタイプの異なるグランツーリスモSPORTをプレイしてみてどうですか?

 

Aさん
楽しいですね。本当の車を運転しているみたいな感覚で爽快感があります。車の運転は人生で一度もしたことがないので、気分が良くなってきますね!
若狭
リアルな映像が売りですからね~。ハンコンでの操作についてはどうですか?

 

Aさん
普通のコントローラーと違って腕を上げて、ハンドルを切らないといけないです。でもレース中は夢中になっているので、自然と腕が上にあがっているんですよ。
若狭
確かに!それは私も観ていて『Aさんこんなに上肢動くんだ!』とビックリしました。これは意外な効果かもしれないですね…!

 

Aさん
はい。まだまだ練習が必要ですが、効果が出ると楽しいです。
若狭
それは良かったです!よくシンプルな周回コースで練習していますよね?

 

Aさん
まだあまり上手ではないので、練習しています。前の1周で自分が運転した車が見えるシステムがあるので、そこに追いつけ追い越せで記録に挑戦です。
若狭
あのシステムは練習に持ってこいですよね。他の運動もそうですが、目標があるとヤル気や達成感が生まれてきます。

 

Aさん
そうです。数秒の差で超えられなかったりすることもあって悔しいですが、それがまたいいんですよ。生活の中に楽しみができました。

 

若狭
自分で目標を決めて、意欲的に取り組むことがいい方向に進んでいますね!他には何かありますか?

 

Aさん
やっぱり夢中になりすぎると時間を忘れてしまうので、時間や回数を決めてプレイすることをこれからは気を付けていきたいですね。

 

若狭
なるほど。確かにそこは重要な部分かもしれません!ゲーム依存症についても様々な対策が進んでいますからね。

 

Aさん
自分で疲れたなと思ったら休憩して、時間を空けて楽しみたいです。

 

若狭
最後にこの記事を読んで下さっている方に一言お願いします!

 

Aさん
eスポーツはやっていると心も体もスッキリします。みんなで一緒に楽しめるのも魅力なので、もっと同じ障がいをもつ人達のプレイ人口が増えればいいなと思います。皆さんもぜひ!

 

若狭
Aさん、今日はありがとうございました!

 

Aさん
ありがとうございました!若狭さん、このあとグランツーリスモ一緒にできますか?

 

若狭
はい、やりますか!

 

実際に施設でグランツーリスモSPORTをプレイするAさんにお話しを伺いました。

 

運動機能の効果においては、複数の動作の組み合わせや状況判断を必要とするもの、判断に伴って上下肢を動かすもので多様な運動が望ましいと言われています。

 

今回ご紹介した「グランツーリスモSPORT」もコースの形状を把握し、その状況を判断してハンドルを切り、アクセル・ブレーキの操作を行ないます。

 

Aさんのようにハンドル操作が上肢の運動になっただけではなく、自分で目標を設定し、楽しむことがより効果的な結果を導き出していくのではないかと思います。

 

セラピストが意識したいこと

「やっているうちに自然と運動になっていた」

「楽しいから夢中になれる」

 

こういった要素を引き出していくのはeスポーツに限らず、リハビリでセラピストが追及していく部分ではないかと私は考えています。

 

そのためには、無理にこちら側が設定した環境や目標で何かをするよりも、対象となる方の“やってみたい”や“楽しそう”という部分をいかにキャッチしてリハビリを行なっていくことが重要なのではないでしょうか。

 

ですので、リハビリの手技や技術の向上はもちろん大事ですが、「その方の生活」に対してリハビリを行なっていることを忘れてはいけません。決して頭でっかちになり過ぎず、様々な分野やスタイルにアンテナを張っていく意識も持ち合わせていきたいです。

 

これは私自身も肝に銘じていきます!

今後も障がい者支援施設ほくとでは、様々な形でeスポーツを使ったリハビリテーションやイベントを行なっていきます。

 

TwitterFacebookの方でも情報発信していきますので、そちらのフォローの方もぜひよろしくお願いいたします♪

 

オンラインでのeスポーツ対戦・交流のご提案もお待ちしております!

 

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eスポーツ×リハビリテーションに関する情報交換の場であったり、施設間を通したeスポーツでの繋がり、セラピスト同士の交流を目的に作りました。

 

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次回の記事は、【コミュニケーション】についてです。お楽しみに。

みなさん、最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

【eスポーツを語る】障がい者支援施設での取り組みから見えた効果【運動機能】

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