日本おける人工膝関節置換術の手術件数は年々増加傾向にあり、年間8万例以上にものぼる。
変形性膝関節症が進行し、疼痛による歩行障害などで日常生活に大きな障害をきたす場合、人工膝関節置換術が適応されるが、その手術が必要かどうかの線引きは各医者の判断に委ねられる。
できれば手術をせずにリハビリで良くしたいと思うであろうし、「この患者さん、本当に手術が必要だったのか?」と疑問に思ったことがある理学療法士もいるのではないか。
今回紹介する論文はBMI誌に掲載された、アメリカMount Sinai医科大学のBart S Ferket氏らの研究で、人工膝関節置換術の利益とコストについて検討したものである。
■米Mount Sinai医科大学のBart S Ferket氏らは、現在行われている手術の利益とコストについて検討し、全体としては患者のQOLと質調整生存年(QALYs)に与える影響はわずかであること、手術対象患者をより症状が深刻な人々に絞れば有効性も経済性も改善すると報告した。
■術前の疼痛や機能低下が進行した患者では、手術でQOLが改善したことを示すエビデンスが報告されているが、適応が拡大した患者に対しても同様のメリットが得られるかを疑問視した著者らは、TKRが変形性膝関節症患者のQOLに及ぼす影響について検討するために、周辺構造モデルを用いた分析と費用対効果分析を計画した。
(引用元:日経メディカルオンライン)
アメリカでも人工膝関節置換術患者の増加は著しく、アウトカムの改善がわずかな患者にまで手術対象を広げすぎではないかと警鐘を鳴らす
日本でも、医療費による財政圧迫が問題視されている中で、今一度、目の前の患者さんが本当に手術適応なのか見つめ直す必要があるのかもしれない。
そして、そのためには医療者が自らの価値観で手術をすべきと選択するのではなく、患者さんが自ら意思決定ができるようなコミュニケーション・人間関係の構築が不可欠である。
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