【図解】筋緊張とは何か?筋緊張と痙性の生理学

62221 posts

 

A さん
臨床実習で「筋緊張亢進です」と言いますが、そもそも筋緊張ってなんなんでしょうか?多分勉強したんでしょうが、筋肉の状態に関する生理学が多くてわけわからんです。

 

生理 マナブくん
確かに、よく使っている医学用語もそれがどういう状態か生理学的によくわかっていないですよね。

 

A さん
そうなんです。訳も分からず暗記したので、結局よくわかっていません。

 

生理 マナブくん
では、まず「なんかそれ授業で聞いたことあるね」っていう話から解説していきますね。

 

実はまだよくわかっていない

 さてこれから生理学的に筋硬結、筋攣縮、筋緊張の違いを解説していきたいと思います。ところで、筋硬結、筋攣縮、筋緊張の違いってわかりますか?少し頭の中で考えてみましょう。

 

それでは早速、筋緊張、筋硬結、筋攣縮の解説をそれぞれ行なっていきます。

 

筋緊張とは

 筋緊張(=muscle tone)をすごく簡単に言ってしまうと「筋が持続的に収縮すること」となります。また、この定義にはいくつかあり参考書によっては「筋が引き伸ばされた時に生じる抵抗感」などと定義されたりします。つまり、定義すら一定ではありませんね。

 

また、「筋緊張って異常?正常」という点に関して、異常筋緊張の場合「亢進」と呼び、正常範囲内つまり何か疾患がないにも関わらず筋緊張が普通の人よりも高い場合「高い」と呼ぶことがあります。

 

これは、専門家が独自に設定しているだけであって、この定義も曖昧なままです。この辺りの使い方も、ご自身で説明できるようにしておきましょう。また、異常か正常化の違いに関しては、原疾患があるかないかに加え、“左右差”も大きな指標になります。

 

さて、用語の整理ができたところで、次に筋緊張を理解する上で覚えておきたい医学用語もまとめてみたいと思います。

 

・錐体路

・錐体外路

・錘内筋線維

・錘外筋線維

・α運動ニューロン

・γ運動ニューロン

・Ia線維

・ⅱ線維

 

なんか聞いたことあるなぁ〜と思っていると思うので、一旦これらを一つの画像に表してみましょう。ここまで図にするとどうでしょう?なんとなーくそれぞれの役割がわかるでしょうか?

上の図を、言葉で説明すると、

 

錐体路

→α運動ニューロン介して錘外筋線維、つまり筋線維を収縮させます。

 

錐体外路

→γ運動ニューロンを介してユルユルになっている錘内筋線維を引っ張ります。

 

仮に…

錐体路がαを介して、筋を収縮させるだけだと、錘内筋線維は緩んでしまいます。緩めば、張力を感知できませんから、適切な長さに筋肉を調整することができません。

 

そんなことにならないように、γ運動ニューロンとα運動ニューロンは協力して筋肉を調整してくれていると言うことです。これを、「α−γ連関」と言うのでしたね。
 

 

錐体路と錐体外路

 それぞれの役割をまとめると、以下のようになります。ここで、わかるのは筋緊張を作っているのは錐体路よりも錐体外路であるということですね。ここで、錐体路と錐体外路の伝導路を一つずつ確認していくとややこしくなるので、一旦ここまで理解しましょう。

 

「筋緊張=錐体外路」と一旦、覚えてしまって大丈夫です。細かいことを言うと、足りないのですがいきなり詰め込むと理解が進まないので、これで止めておきます。

痙性とは?

 ここでよくわからなくなってくるのが、痙性と呼ばれる状態の生理学的機序ですね。脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、脳の血管が切れたり(脳出血)すると、初期段階では弛緩性麻痺となり、徐々に筋緊張が高くなっていきます。この状態がなぜ起きるのか?

 

まず、基本的にな生理学で知っておきたいのが伸張反射(→伸張反射の解説はこちらをご覧ください)です。

 

図で表すと以下のようになります。

 

基礎医学はインスタグラムをチェック

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【筋緊張ってなんだ?】 さぁ本日は、ひじょーによく質問される内容です。今回は痙性のメカニズムを説明しますが、まだまだわかっていないことだらけです。あくまでも一つの仮説であること、この説を利用し評価するための予備知識であることを前提に理解しましょう。 痙性は錐体路障害によって起こりますが、現実には両方障害を受けます。だから、基本的な麻痺は弛緩性の後、筋緊張が徐々に高まるわけです。 錐体路のみであれば、αが抑制されて弛緩したままですよね?ここに着目できたら、錐体路だけの障害と鵜呑みにすることはなかったでしょう。 錐体路の一部は、皮質核路を通ります。ここは、錐体外路の抑制を行いますが、錐体路障害によりこの抑制、つまりⅡ繊維の機能が障害されIaの以上興奮が起こり、ちょっとの筋伸長に過剰反応する事で形勢が起こると言われています。 ということは、それに対してどんなアプローチや評価を行えばいいのか?もちろんIbにも着目すると臨床の幅は広がりますね! このように、生理学からであっても評価、アプローチは考えつくものです。生理学の本来の面白さをこのインスタを通してご理解いただければと思います! 今回もためになったら「いいね」をお願いします みんなにも、このインスタを教えてあげてください!

PTOT国試・勉強法解説@イマイ(@post_rehabilitation.media)がシェアした投稿 -

参考文献

増補改訂新版 痛みと鎮痛の基礎知識

病気がみえる 〈vol.7〉 脳・神経 (Medical Disease:An Illustrated Reference)

運動療法学―障害別アプローチの理論と実際

 

PTOTが学ぶ筋肉まとめ【イラスト付き】

上肢

三角筋

上腕三頭筋

大胸筋

腕橈骨筋

下肢

大腿四頭筋

大腿筋膜張筋

大臀筋

梨状筋

腓腹筋

頸部

斜角筋

体幹

腹横筋

広背筋

僧帽筋

大腰筋

腸骨筋

骨盤底筋群

【図解】筋緊張とは何か?筋緊張と痙性の生理学

最近読まれている記事

企業おすすめ特集

編集部オススメ記事