最終回:持論【日本理学療法士学会 栄養・嚥下理学療法部門 運営幹事 | 中島 活弥先生】

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学生が症例報告会でポスター発表をしたエピソード

— 先生がこれまで見た学生の中で思い出に残るエピソードはありますか?

中島先生 どこの実習に行ってもダメだった学生が、実習生としてやってきました。その学生には、実習中にレポート発表するのではなく、「学会のポスター発表をしよう」と提案をしました。

 

さすがにその時は、周囲から批判をもらいましたね。「学生の発表は、レジュメがあって、発表して質疑応答を行うもの」との意見だったようです。正直、誰がそのような制度を決めたんだと思いましたね。学会では、口述発表とポスター発表を選べるのにです。

 

学生は、人前で話すのが苦手ということで、「ポスター発表で話す」と、決めました。ポスター発表当日、学校の教員も見にきてくれて、その学生も自信をもってポスター発表していました。そしたら、教員は涙流していましたね。非常に印象深い出来事でした。

 

実習で行う発表の形態には、以前から疑問をもっていました。「あれは調べてないの?」とか、非建設的な質疑応答ばかりになることが多いです。またそのような質問する理学療法士は発表経験が乏しいことが多いです。助言はいいと思います。ただし、建設的ではない指摘では何も生まれません。ぜひ、これをご覧になっている理学療法士の先生には、今一度自分の指導のあり方を考え直して欲しいと思います。

 

協会と若手への想い

 

中島先生 現場で活躍している臨床家の人たちが多く理事役員になれるシステムを作って欲しいと考えています。臨床家が理事に立候補できない理由の一つに、理事役員になった際、病院を説得できるだけの材料が乏しいということです。学会であれば、病院の規定上参加することは問題ありません。

 

しかし、協会活動となるとボランティア要素が強くなります。病院にいない日も多くなります。病院業務以外の事も多くなります。当然、協会の活動として、多くの国民へ理学療法を提供できるように働くことも重要ですが、病院からしたら目の前の患者さんへの理学療法の提供して欲しいと願うわけです。

 

この議論は、尽きることがありませんが、そう言った点を協会が間に入って、より多くの臨床家が理事役員になれるよう整備して欲しいところです。

 

 若い方は生きづらい世の中かもしれません。しかし私も、どん底から人の支えによって様々な仕事を任されるまでになりました。私の経験上お話しできることとすれば、腐ってはいけないということです。協会に対する不満、職場に対する不満、生きていれば不満は様々な所にありますが、そこで終わっては何も始まりません。

 

まずは、不満を言って改革に加われる立場まで這い上がってみて欲しい。なかなか変わらない組織もありますが、中に入って活動し、常に発言し続けることで、小さな改革が行われていることにも気づくことができます。

 

その変化に気づくことができていないということは、まだその立場まで来ていないということ。何事も諦めていては、それこそ何も変えることはできません。義務を果たすことから始めて欲しいと思っています。

 

そして、何がチャンスになるか分かりません。アンテナを張るだけでなく、自らいろいろチャレンジして頂きたいです。

 

—先生にとってプロフェッショナルとは? 

自分を裏切らないこと。

誰でもできる仕事でも、自分を裏切らないこと。

 

ー完ー

 

【目次】

第一回:苦い思いの実習と運命の出会いに恵まれた実習

第二回:突然のスカウト

第三回:呼吸ケアサポートチームの結成

第四回:呼吸の専門家がなぜ、栄養・嚥下部門へ?

最終回:持論

 

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中島先生のプロフィール

平成6年  東京衛生学園専門学校リハビリテーション学科 卒業 理学療法士 免許 

     財団法人 緑成会 緑成会病院 リハビリテーション部 入職 

      小平市機能訓練指導員、東京都医療技術員非常勤職員

平成12年 専門学校東都リハビリテーション学院 専任講師

      目黒区保健所 公害保健事業 

      呼吸器リハビリテーション 喘息管理コース講師

平成14年  理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 養成施設等教員講習会修了

平成16年  一般財団法人同友会 藤沢湘南台病院 リハビリテーション科  

      神奈川県厚木保健福祉事務所大和センター非常勤職員

平成18年  3学会合同呼吸療法認定士 取得 

藤沢湘南台病院 呼吸ケアサポートチームサブリーダー

平成27年  呼吸ケア指導士(初級) 取得     

平成28年  藤沢湘南台病院 呼吸ケアサポートチーム チームリーダー

〇所属学会

日本理学療法士協会

日本呼吸ケア・リハビリテーション学会

日本リハビリテーション栄養学会

〇公職

日本理学療法士学会 栄養・嚥下障害理学療法部門 運営幹事

〇研究会

医療と在宅呼吸管理勉強会 副会長

○執筆

・中島 活弥;訪問理学療法士からみた在宅介護者の暮らしと健康 (特集;重度障害児・者を介護する家族の暮らしと健康) 、リハビリテ-ション (403), 12-16,1998-05

・中島活弥,熊切 寛,徳田有美,他:理学療法士などによる 吸引業務に関する院内講習会開催とその評価.呼吸ケア,11:98-103,2013

・中島 活弥:臨床実習サブノート臨床実習のリスク 地雷を踏むな!・4 摂食嚥下障害.理学療法ジャーナル,9:888-895,2016

・中島 活弥、西川 正憲、熊切 寛、他:特集 呼吸器在宅医療のサイエンス地域に根差した呼吸器在宅医療・介護の体制作り―湘南東部医療圈での多職種参加型「医療と在宅呼吸管理勉強会」の目的―、THE LUNGperspectives,25(1),60-65、2017

【専門分野】

呼吸ケア(喀痰等吸引、排痰)、呼吸器リハビリテーション、リハビリテーシ

ョン栄養、栄養・嚥下理学療法

 

最終回:持論【日本理学療法士学会 栄養・嚥下理学療法部門 運営幹事 | 中島 活弥先生】

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