ー 実際の現場で、トレーナーにとって必要なものはなんですか?
相浦先生:知識や技術は勿論準備していかなくてはいけません。しかし、理学療法士として勤めて、急にトレーナー業務を行うことは厳しい事だと思います。まず、大事だと思う事は、整形疾患に対しての理解です。
現場には医師がおらず、トレーナーしかいない場合が多くあります。理学療法士は診断できませんが、 ケガをした時の状況判断は行う必要があります。医師から処方されてリハビリするのではなく、急に起きる事ですので、救急的な知識も必要となります。
このまま処置できるか、病院に連れて行くべきなのかを素早く判断しなくてはいけません。
ー 知識や技術以外で何か必要だと思う事はありますか?
相浦先生:間違いなく人間性です。コミュニケーションが取れるのか、信頼を得られる人物なのか、それはリハビリの治療でも結果につながります。選手・スタッフとのコミュニケーションは必然的にする事です。知識・技術よりも人間性というのは、最重要な要因だと思います。
ー 相浦先生と選手間のコミュニケーションで気をつけている事は何かありますか?
相浦先生:まずはケガに対しての説明がわかりやすく出来る事です。また、愚痴や世間話の聞き役になる事が多いため、アドバイスするのではなく、聞き役に徹する事が大事かと思います。プロの選手はプライドが高いため、僕が経験者だからとバスケットの事に対して下手に口を出したりしません。他には、「リハビリ室に入ってくるところからが評価」という点も病院などのリハビリと似ていまして、朝の選手のロッカールームでの状況を見るのが大事です。様々な顔の表情から精神状態を読み取る事ができます。以上のことがとても重要だと考えており、特に配慮している事です。
ー 監督やコーチとのコミュニケーションで苦労した事はありますか?
相浦先生:トレーニングの要望を聞く際に、スタッフの意見を否定せずに、求めているチーム作りにすり合わせる事です。
私が考えているものと違う事になる事も勿論あります。そのような時は自分の意見も伝えますが、チームのコンセプトに近づけなくてはいけません。とても難しい事ですが、やはり話を聞く事が重要だと思います。
お互いの意見をどのように調整していくかが大事です。また、一番スタッフの中で選手との距離が近い位置にいますので、選手とコーチの架け橋になり、お互いの思いを伝えていき、バランサーの役割も果たしています。
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相浦 史典先生プロフィール
【保有資格】
理学療法士
JARTA認定スポーツトレーナー
JATI-ATI
2008年 札幌整形外科入職。
院内で一般整形、スポーツ整形の臨床を経験。
院外活動として高校野球、サッカー、バスケ、北海道マラソン、スキーマラソンなどのスポーツ現場も数多く経験。
その中で2009-2013年札幌大学女子バスケットボール部のトレーナー
2010-2013年札幌大学男女バスケボール部トレーナー
2010-2013年 バスケットボールボール学生選抜北海道代表トレーナー
2010-2013 国体成年女子北海道代表トレーナー
2015-現在 レバンガ北海道トレーナーとして活動