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「できるかできないか」ではなく、「やるかやるか」だ。【唐澤 幹男】

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第315回のインタビューは株式会社TotalBodyMake代表取締役の唐澤幹男さん。2015年に独立し、日本代表のインソール作製や施術を武器にサロンを運営。また、2019年はリアル臨床の大会長をされるそうです。全国で講師活動に呼ばれるようになった経緯やキャリアのルーツに迫りました。

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給料日が返済日

 

  臨床家として、若手療法士からの支持を集める唐澤さんですが、唐澤さんは若手の頃はどのように生活していたのでしょうか。

 

唐澤さん 毎日が勉強会三昧でしたね。まず毎朝たいてい勉強会があるんですよ。ボディワークやったり、病棟の勉強会があったり、触診会があったり、インソール勉強会があったりしていたので週3回は7時くらいには病院にいて自己研鑽していました。で、日中は診療をして、月曜日は病院で毎週業務後にPT科の勉強会、さらにその後に伝達講習会を仲間と立ち上げて、おやつを食べながら22時くらいまで外で学んできたことを有志で教えあったりしていました。

 

また月に一回月曜日は首都大学へ通って竹井先生の竹の子塾にも行ってました。火曜日と木曜日は、診療後19時半くらいまでACLなどのスポーツ系の患者さんをみて、それが終わったら筑波大学ハンドボール部でトレーナー活動。水曜日と金曜日は、近くの高校の野球部が病院に来て、そのケアやトレーニングを21時くらいまでやっていました。また月に1回水曜日の夜に産業総合研究所に金子文成先生の英文抄読会に参加してましたね。土曜日と日曜日は基本的に飲み会と講習会で、とにかく勉強三昧でした。とにかくいろんな人に会って、話をして飲んでました。そこでたくさんのかけがえない仲間と出会いました。

 

それだけ毎週、勉強勉強の日々を送っていたら、結構お金もかかったんではないですか?

 

唐澤さん そうですね。だからすぐにお金が底をついて。それでもやっぱり勉強したかったから某消費者金融会社でよく借金していましたよ。ボーナスが出る日や給料日に返済して。でもすぐなくなるからまた借金。その繰り返し。5年目くらいまではそんな生活ですね。ア◯ムさんによって僕の臨床力が培われたと言っても過言ではありません(笑)。でも使った分はあまりあるくらい返ってきました。

 

若者には貯蓄なんてやめてお金と時間を自分のやりたいことに全力で投資しろと言いたいです。若いうちは時間と体力がたくさんあります。寝てないで、とにかく動くべきですよ。圧倒的な量でしか質は担保できませんからね。よく何を勉強したらいいですかって聞かれますが、興味を持ったら全部やれって答えてます。最近ローランドさんにハマってて、「できるかできないかではなく、やるか、やるか」と言い続けてます。

 

平成24年に茨城県立医療大学大学院に入学されていますが、何故、大学院に行こうと思ったんでしょうか?

 

唐澤さん 理由としては、研究がしたかったのと、自分の臨床をやっていることを見直したかったのがあります。でも実は結構運営に飽きたんですよねだんだんと。自分は3年目でリーダーの役職に就きましたが、そうなると一日数単位しか患者さんがみれなくなってきて。運営会議や安全管理委員会とか、役職者として会議にたくさん参加しなければならなかったんですよね。これはやりがいがあるものの、臨床ができないことがすごく辛かった。

 

その当時、勤めさせて頂いていた病院は回復期、急性期、維持期があって、100名以上のPTOTSTのスタッフがいました。毎年のようにたくさんのスタッフが入職してくるのですが、同じくらい辞めていくんですね。理由を聞くと色々あるんですが、「○○君が辞めるからです」って言うスタッフがいたんです。

 

ずっと教育委員会のリーダーをしていて、かなり力を入れていただけに、そういうことを聞くとけっこう精神的に堪えました。少し病院から離れたかったというのもあって、大学院に進学しました。勉強する時間ができて、論文がたくさん読めたし、研究的思考がもてたことは本当に大きいです。また修士をとったおかげで、本の執筆依頼を頂いたり、講演依頼が増えたので本当に進学して良かったと思っています。

 

河合眞哉との出会い TAP研究会を立ち上げる

 

自分で外部の勉強会を企画したりもしていると思いますが、何故、そういったことをするようになったのでしょうか?

 

唐澤さん 学生の頃は、スポーツ分野や運動器分野が好きで、新人の頃から福井勉先生(文京学院大学 教授)や石井慎一郎先生(国際医療福祉大学 教授)の勉強会に参加していました。当時、バイオメカニクスが流行っていて、理論的になぜその関節に負担がかかるのかが分かって面白いなと思ったんですよ。それで、福井先生と石井先生を追いかける中で、今では腐れ縁の河合(Body Pioneer代表取締役)と出逢いました。

 

はじめて出会ったのは河合が代表をやっているメディリハの勉強会の時で、所属欄にPTB(勉強会団体の名前)と書いたら「PTBは所属じゃないので、病院名書いてください」と怒られたのを今でも覚えています。一回飲みに行ったらすぐに意気投合して、後にTAP研究会という勉強会団体を一緒に立ち上げたという流れです。

 

  リアル臨床(毎年300人規模のセラピストが集まる勉強会)の大会長として、今年は、例年とどこが違って、どんな会にしたいと考えていますか。

 

唐澤さん 永続的に成長するということがテーマで考えています。リアル臨床も10周年になりますが、続けていくことって本当に難しいと感じています。これからもずっと続けていきたいと思っていますが、同じことをすると飽きるし、時代が変わっているのに自分たちが変わらないと面白くないんですよね。今年はずっと主催だった河合が運営に関わらなくなりました。またスタッフにはスタッフ参加費を払ってもらい、主体感を出してもらうことにしました。

 

リアル臨床ほどの面白いコンテンツの運営というのは、お金を払ってでもスタッフをする価値があると思うし、今までは例えばスタッフミーティングに遅れてきたりとコミットメント不足を感じていました。しっかりルール決めをして、マニュアルを作れば、もっとリアル臨床は強く前に進んでいけると思っています。

 

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【目次】

第一回:「できるかできないか」ではなく、「やるかやるか」だ。

第二回:絶対嘘をつくな、自分には。

 

「できるかできないか」ではなく、「やるかやるか」だ。【唐澤 幹男】

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