立花祥太朗先生 -フランスでPTクリニックを営む理学療法士-

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フランスの療法士になるには

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POSTインタビュアー:理学療法士を目指された理由は?

立花先生:両親に勧められたのがきっかけですよ。個人的にも人と関われる仕事をしたかったので、よかったんです。

POSTインタビュアー:フランスではどのように療法士になるのですか?

立花先生:基本的には高校理系の人がなります。そこから専門学校へ行くのですが、3通りあります。一つは普通に入試を受けて、専門学校へ入学するコース。専門学校は3年制で、今は4年制にしようという動きがあります。

次は医大を経て専門学校へ入学するコース。政府は医大を経由して専門学校へ入学するコースを推奨しています。

最後は一流スポーツや理系大学を経て専門学校へ入学するコース。これは一部ですね。

フランスでは4年制にしていくというのが社会保障国としては大きな課題となっており、政府として進めています。先のジャーナルにもその内容があって、政府の役人が表紙に映っていたりします。

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POSTインタビュアー:政府も大きく課題としてみているのですね。

立花先生:フランスも社会保障国ですからね。

8割のPTがクリニックを開業している

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インタビュアー:フランスでは卒業後療法士はどこで働いているのですか?

立花先生:国家試験が通ったら、多くはPT CLINICか病院で働きます。

インタビュアー:PT CLINICというのはPTが開業しているところでしょうか?

立花先生:はい、こちらでは開業権があり、1年目からできます。PT,STは開業権があって、個人でできます。OTは開業権がなく、主に病院や施設で働きます。現在7万人のPTがいますが、8割は開業しています。

インタビュアー:1年目から開業できるのですね。

立花先生:そうですね、制限はありません。なので、養成校で経営に関することも学びますよ。ただ、1年目からいきなり開業する理学療法士はいないですね。

インタビュアー:経営も学ぶのですね。フランスでの養成校の教育内容を教えていただけますか?

立花先生:わかりました。フランスは3年制の専門学校で、1年目は基本的な理学療法に必要な学問を学びます。基礎知識とされているのは人体力学、解剖生理学、衛生心理学、基礎理学療法学ですね。

次に2年目ですが、国家試験に必要な12科目を学びます。整形外科や中枢疾患に関する専門内容ですね。3年目は実習ですね。1400時間が必要になります。実習先は病院、リハビリテーション病院、リハセンター、PT CLINIC、多機能診療所あたりです。

インタビュアー:なるほど。大まかな流れは日本の養成校と変わりませんね。何か違うところなどはありますか?

立花先生:先ほども言いましたが、経営に必要な経理や法律を少し学びます。あとはエルゴノミーですね。エルゴというのは作業という意味で、直訳すると人間工学、姿勢的・作業的予防のことですね。これはPreventionとは異なります。関節や筋肉の視点から予防を図るもので、産業分野で用いられますね。

フランスでは産業で出る医療費が無視できない背景があるんです。労災費を押さえたいので、必要な学問ですね。ただし、予防というのは見えないので、ものすごく難しい。フランスでは産業理学療法が発展しているので、大手企業、例えばエアフランスなどではPTが関わっています。

インタビュアー:社会的背景が変わると療法士に求められる内容も少し変わるかもしれませんね。

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立花祥太朗先生経歴

経歴:

2007年養成校卒業。-2007年9月(フランスは新学期)より医療派遣会社でフランス各地の病院で勤務(4ヶ月)。-2008年1月より日本の帝京大学付属病院(東京)を中心に見学研修させて頂き日本の現状を学ぶ(3ヶ月)。-2008年4月より(3ヶ月)アルジェリアで日本の建設会社が企画したプロジェクトに通訳として勤務(鹿島&大成建設)。-2008年7月よりパリ郊外の診療所にアシスタントPTとして勤務(半年)。-2008年9月よりパリのリハビリテーションセンター" La Chataigneraie Convention " で週一で勤務(5年間)。-2009年4月より現在のパリ15区にある診療所に移る(現在まで)。-2009年9月より日本の医療団体/理学療法士団体のためのコーディネート活動を始める(現在まで)。-2010年より日本で講演活動を始める(現在まで)。-2014年よりPT育成専門学校IFMK ASSASで講師(整形リハ、スポーツリハを中心)。-2015年よりフランス理学療法士国家試験の試験官を依頼される。    

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2013年:フランスで音楽家専門リハビリテーション認定資格を取得

2014年:中国温州大学病院で中国医療を学ぶ、(初級認定資格取得)

その他:在仏日本大使館保健医療専門ネットワークに所属。理学療法国際アドバイザーとして活動 メルマガ

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立花祥太朗先生 -フランスでPTクリニックを営む理学療法士-

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