“Made with Japan”
ー タイのPTは日本人のPTに対してどのような印象を持たれているのでしょうか?
岩田先生 真面目で丁寧に評価・治療をするという印象を持っていると思います。タイ人のPTは、評価に比重を置いていないように感じます。
日本人PTは、評価を当たり前にしますが、海外からみれば、それだけで凄いことなのかもしれません。
ただ、日本オリジナルの評価も治療も少ないので、そろそろ輸出の段階だと思っています。今、私が関わっているプロジェクトの一つも日本人リハ医師の治療技術をタイに持っていけないかというものです。こういったものが徐々にでてきくるのかもしれません。
問題は、私もそうですが語学が苦手な方が多いですよね。
福井勉先生のインタビューでもありましたが、国際学会でも日本人はポスター発表の割合が大きく、英語での質疑応答が苦手な人が非常に多いのが現状です。
ー 語学は、ある程度日本で勉強してから青年海外協力隊に参加したんですか?
岩田先生 青年海外協力隊では派遣される前に70日間の研修が長野もしくは福島県であり、日本で約200時間、現地で約100時間、合わせて約300時間、現地で使用する言語を学びます。300時間ですので、日常会話は何とか話せるレベルです。
そこから、日本人1人の活動環境なので嫌でもタイ語を話すしかないわけで、徐々に覚えていきます。
日本に戻ると普通の人に
ー 青年海外協力隊での活動経験を活かして、帰国後も国際協力をしているセラピストは少ないように感じるのですが…。
岩田先生 確かに少ないですね。そもそも、青年海外協力隊への派遣を希望する理由が、「自分探し」や、「海外で生活をしてみたい」といった感覚の方も一定数いますので、帰国後のことまで考えて、協力隊に応募する人は少ないのが現状です。
せっかく、普通ではあまり行かないような場所に派遣されて、すごく貴重な経験をしていると思うのですが、ブログやSNSなどの発信をしていない人が多いので、何をしているのか何を考えているのかも、他の方からすれば全く分かりません。
協力隊員は、行動力を持っていますが、アカデミックな活動は苦手な方が多く、自分がやっていることを、うまくアピールができていない点は非常にもったいないと感じています。
派遣先の国で何か調査をしてみたり、そこの国の医療福祉事情をまとめてみるだけでも、商業誌に取り上げられてもらえるかもしれません。
そういうところに積極的に働きかけていると、多くの人の目に触れるので、一般企業からヘッドハンティングされる可能性もあり得ると思います。
あとは、協力隊の活動をPT協会に評価してもらうためにも、協力隊に参加すると、どういう能力が伸びるのかを、出していかなければいけません。帰国後多くの方が国内の病院・施設で働いていることを考えると、そういった方が2年間でどういった成長があるのかを数値として出していかなければならないと感じています。
【目次】
第一回:タイで受けた洗礼
第二回:Made with Japan
第四回:排泄関係の悩み。日本ではタブー
岩田先生オススメの本
岩田研二先生プロフィール
学歴
2010年4月 - 2012年3月 藤田保健衛生大学大学院 保健学研究科
2008年4月 - 2010年3月 日本福祉大学 通信教育部 福祉経営学部
2004年4月 - 2007年3月 藤田保健衛生大学リハビリテーション専門学校 理学療法科
職歴
2015年10月 - 現在 医療福祉科学研究所
2013年7月 - 2015年9月 Phrapradaeng Home for Disabled People(青年海外協力隊)
2007年4月 - 2013年6月 医療法人松徳会花の丘病院
受賞歴
2013年4月 第24回理学療法ジャーナル賞 奨励賞
委員
課題解決型福祉用具実用化開発支援事業「タイ国内における福祉産業の市場規模及び法制度等に関する調査」検討委員会委員