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#4 盛り上がるアジアの国々|世界17ヶ国回ったからこそ見えたこと

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 スリランカを後にして、マレーシア、シンガポール、インドネシア、カンボジア、ベトナム、台湾の国々をまわりました。そこで強く感じたことは、

 

日本の理学療法士はうかうかしていられない

 

ということでした。特に、マレーシアのクアラルンプール、シンガポール、台湾の台北は、日本よりも理学療法が進んでいるのではと感じました。というのも、これらの国々は国際交流が盛んです。英語は流暢ですし、授業、教科書は英語です。経済大国のシンガポールにはイギリス、オーストラリアの理学療法士も多くいました。また、日本に比べ、新しいことに挑戦しやすい環境もあるように思います。クアラルンプールのKLSMC (Kuala Lumpur Sports Medicine Center)では、膝関節軟骨に対するStem cell therapyを数年も前から臨床応用しており、術後のリハビリテーションプログラムも確立させていました。

 

クアラルンプールKLSMCのリハビリ室

 

メイトランドといった徒手療法、ピラティスやジャイロキネシスといった運動療法、グラストンなど勉強熱心なセラピストも多かったです。また、台北のMGA (Myofascia Guasha Analysis)は最も印象に残ったクリニックです。Guashaとは伝統医療であり、薄いお皿で肌や筋膜を傷つけることで、組織の再生を促します。この施設は、Guashaと理学療法の融合を図っており、アスリートのためのトレーニング機器も備えているクリニックでした。トップは私と同じ20代です。台北でも病院外で挑戦する理学療法士が増えているようで、私も負けていられないなと、とても良い刺激をいただきました。

 

Gushaaを受けて私の首は真っ赤です。

 

 インフラ面でも驚かされました。シンガポールや台北は、東京や大阪よりも、電車は使いやすく、料金も安いです。Uberなどを使えばタクシーも安い。ショッピングモールはどこも便利でトイレもきれい。Wifi環境も多い。屋台料理は安くておいしい。さて、日本の良さって何なのだろうと改めて考える機会になりました。

 

マレーシア、クアラルンプールのナイトマーケット

 

日本人にはチャンスがある

しかし、そうは言っても、日本はアジアの国々からは憧れの国であるようです。「日本の医療ってもっと進んでいるんでしょ?」「日本はロボットリハビリが盛んなの?」と聞かれる機会は多く、「日本のスポーツは強いね」「日本のアニメは素晴らしい」といったことも良く言われました。これだけ興味を持ってもらえていることは、大きなチャンスです。

 

 実際に私は、この旅を通して、いくつかチャンスを得ました。その一つはバリでスポーツトレーナーのセミナーをする機会を得たことです。日本発祥であるJARTAトレーニング(https://jarta.jp/)やスポーツリズムトレーニング(http://srt.or.jp/)を、同団体インストラクターである森宜裕先生と共にお伝えしました。ありがたいことに活発な質疑応答もあり、来年も来てほしいとのお声もいただきました。また、シンガポールでは、スポーツフィジオクリニックより就職のお誘いをいただきました。先方としては日本人セラピストを雇うことで、日本人の駐在員にマーケットを広げることができるという利点があるようです。考えてみれば当たり前ですが、これは私にとって盲点でした。

 

インドネシア、バリにて講演している場面

 

 

スポーツリズムトレーニングを指導する森先生

 

 つまり、日本人の少ない国へ行けば貴重な人材として価値が生まれますし、日本人の多いところへいけば日本人を対象にしたチャンスがあります。世界的に見ても日本人は英語が苦手な国民のため、少し英語を話せるだけでも大きなチャンスを切り開けます。

 

 また、私たち理学療法士は技術職です。多少言葉の壁があったとしても、手に技術があれば、患者さんの力になれます。運動指導では、手本を見せればよいのです。トレーニングを目の前で見せて、”Please do like me”と言えば伝わります。トレーニングの細かな修正も、個別指導であれば、それほど難しくありません。

 

 スリランカの陸上選手にトレーニング指導している場面

 

日本人は恵まれています

 日本人は経済的にも文化的にも恵まれています。理学療法士の平均給与が20万円として、月に4万円貯めましょう。2年間で100万円です。100万円あれば世界1周できます。インドのマイソールでは宿泊費400円、外食しても100円で満腹になります。また、「アニメ」「和食」は私が訪れた国々で本当に人気でした。これらに少し詳しければ、ちょっとしたコミュニケーションには困りません。

 

 私が世界17カ国をまわって得たこと、それは「自分のやりたいこと」がよりはっきりと見えたことです。私は、大学4回生の頃から、人生を賭けてやりたいこと、をずっと考えていました。海外を旅した理由も、海外で働きたい、世界的な研究をしたい、途上国の人々の力になりたいなど、やりたいことが定まっていなかったからです。

 

そうして、仕事も住居も言葉も放り投げて、新しい環境に数か月も身を置くと、「自分は何がしたいのか」と考える時間がたっぷりとありました。そして、様々な考えや環境に触れても変わらなかったことは、「早く臨床がしたい」という気持ちでした。観光よりも、クリニックの見学や同業者とお話しているほうが楽しかったのです。この春からは、シンガポールのスポーツフィジオクリニックで理学療法士として働く予定です。新たな環境で、臨床に励みたいと思います。

 

私のこの旅の記録の経験が、どなたかの心に触れて、新たな挑戦をしたり、海外に飛び立つ仲間が増えると嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

*目次

#1:なぜ海外に飛び出そうと思ったのか

#2:先進国の理学療法に触れる旅

#3:途上国での医療と理学療法、そしてスポーツ

#4:盛り上がるアジアの国々

 

堀田孝之先生プロフィール

学歴

2009-2013 京都大学人間健康科学科理学療法学専攻

2013-2015 京都大学大学院医学研究科人間健康系科学専攻(修士:人間健康科学)

職歴

2013-2015 あそうクリニック

2015-2017 社会医療法人行岡医学研究会 行岡病院

2018-   あそうクリニック

2018-   訪問看護ステーションめりっと

#4 盛り上がるアジアの国々|世界17ヶ国回ったからこそ見えたこと

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