第七回:競争社会を作る【半田一登先生】

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前回からの続き

患者さんに選択権がない理学療法

ー 認定・専門に関しても質問をよく受けるのですが、今後どのようにしていかれるのですか?やはり、持っていると持っていないのでは、差をつける、という考えでしょうか?

半田会長:今、協会として何をしようとしているかというと、認定・専門をとるために何らかの努力をしている人たちを、診療報酬の形としてメリットをつけましょうよ、という交渉をしています。

 

これは例えですが、簡単に説明すると、脳血管疾患は今200点です。それに対して、脳血管疾患の特別な勉強を行なって、ライセンスを取得した場合、210点。その逆に、それを持っていない人たちが行うと、190点。トータルの診療報酬で考えると今までと一緒ですよ、と。

 

ですから、リハの医療費総額が増えるわけではありません。当然、努力した人としていない人の賃金差は、あって然るべきことじゃないですか。もう一つ、ある病院の院長と話していたのは、本来は患者さんが理学療法士を選択する権利があるということです。

 

現状では、空いている理学療法士がたまたま担当することが多く、よほどのことがない限り、変わることはありません。

 

例えば、患者さんはどこの病院のどの医師に診てもらうかを選んで受診します。一方で、理学療法士に限らず、療法士に関しては選択権が患者さんにありません。これは絶対に変えていかなければなりません。

 

患者さんに選択権を渡すことで、努力した理学療法士と、そうじゃない理学療法士の差が見えてきます。そこに競争社会を作るべきではないかと考えています。

 

競争なくして希少価値を磨く努力も必要ありません。協会は、厚生労働省に対しては交渉し、会員に対してはキャリアアッププログラムを用意する。といった努力をしている段階です。

 

私の知り合いの福岡の病院で、人間ドックに中国の方が多くきている病院があります。その病院の中に中国語を喋れる若い理学療法士がいました。すごい希少価値ですよね。

 

中国語が堪能だったために希少価値が生まれ、自分独自のポジションについたということです。こういった人材は、病院の中で他には変えがたい存在になっているのです。このような例もありますから、技術や知識以外に“言語”も希少価値を生む上で大事だと思います。

 

私が臨床実習で、初めて担当した患者さんがフィリピン人でした。ずーっと「ピピピピピッ」っていうのです。初めは何のことを言っているのかわからず閉口しました。日本人でいう「アイタタタッ」でPainと言っていたようです。

 

英語を喋れる人は増えてきましたから、東南アジアでまだ理学療法が発達していない国の言葉を選んで勉強するのもいいと思います。

 

言葉を覚えて、その国に行ってトップに君臨することも可能でしょう。私は、いろいろな国との関係性を築いてきましたので、どこかにチャンスはあると思います。例えば、カンボジア。今カンボジアには理学療法士の養成校が1校しかありません。

 

今、日本に学校を作って欲しいという要請をもらっていますから、カンボジアの言葉を喋れる日本の理学療法士がいてくれると非常に助かるわけです。

 

ー 例えば、日本理学療法協会が、東南アジアでまだ理学療法が発展していない国と、今から良い関係を作って行こうという考えはありますか?

半田会長:モンゴルに以前行きまして…

続くー。

 

【目次】

第一回:PT養成校に入学するに至った不純な動機

第二回:聖域なき構造改革

第三回:理学療法士になって良かったとつくづく思う

第四回:世界の中心で理学療法と叫ぶ

第五回:開業権の話をしよう

第六回:PTが介護士になれば介護士不足は解消する?

第七回:競争社会を作る

第八回:理学療法士ライセンスの希少性

第九回:会員を守るために“戦える集団”をつくる

最終回:リハビリテーションの概念改革

 

半田一登会長のプロフィール

1971年、九州リハビリテーション大学校卒業 後、労働福祉事業団(現・独立行政法人労働者健康福祉機構)九州労災病院に入職。

1987年、社団法人日本理学療法士協会理事に就任し、2007 年より同協会会長を務める。  

日本健康会議 実行委員、チーム医療推進協議会 代表、一般財団法人訪問リハビリテーション振興財団 理事長 等 

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