
「膝の痛みがなかなか取れないんです」
そう言われると、まず膝そのものにアプローチする
――これはごく当たり前の流れですよね。
でも、その場では痛みが軽減しても、数日後には再燃してしまう。そんなケースに直面したことはありませんか?膝関節は下肢運動連鎖の中間に位置し、遠位(足部)と近位(股関節・骨盤)からの影響を強く受ける関節です。とりわけ足部のアライメント異常や距骨下関節(subtalar joint; STJ)機能不全は、膝関節モーメントや関節反力の配分を変化させます。すなわち、膝関節痛を評価するうえでは、局所因子だけでなく“末梢入力の異常”まで踏み込む視点が不可欠です。今回、足部機能から膝を再評価する視点を、臨床の実装手順とエビデンスの要点とともにお伝えします。
なぜ足部が“膝の成績”を左右するのか
歩行立脚終期では、足関節背屈の確保とSTJの回外への切り返しにより足部剛性が高まり、荷重線はスムーズに前方へ抜けます。
背屈制限やSTJの過回内固定があると、内側コンパートメントへの荷重集中(KAM上昇)が起こりやすく、内側型膝OAの症状を助長し得ます。
さらに後足部の回内・回外は脛骨の内外旋を誘発し、膝蓋大腿関節・大腿脛骨関節のアライメントに波及します。要は、“足が作る剛性と方向づけ”が膝の力学的前提になるということです。
5分で実践!STJと背屈のスクリーニング
① STJ間位の触診
内・外果直下で距骨頭を母指・示指で把持し、前足部を回内外へ誘導して左右等圧(ニュートラル)を
見つける。そこから回内・回外の可動域とエンドフィールを確認。
② 立位ロッカーでの背屈確認
脛骨前傾が股関節戦略で代償されていないか、踵の早期外逃げ(回内固定)を伴わないかを観察。
「背屈制限+回内固定」は膝内側負荷を押し上げる典型的パターンです。
足底“クロスサポート”の再教育
足底の支持は、内在筋(短趾屈筋群など)と外在筋(後脛骨筋PT・腓骨長筋PL)の斜交協調=クロスサポート機構で成立します。
- PT:舟状骨挙上と内側縦アーチの剛性をUP
- PL:第1中足骨を前外下へ導き、横アーチと推進性UP
終期ではこれにウインドラス機構(母趾背屈→足底腱膜巻き上げ→縦アーチ挙上)が加わり、足部剛性が高まって膝外反モーメントの過負荷を抑制します。
即活用!臨床での運動(各60–90秒×2セット)
① 足底内在筋プライミング(荷重下)
裸足立位。母趾以外のMP関節を軽く屈曲する意識で、足底を“薄く”引き寄せる。舟状骨の沈み込みを抑え、踵は正対する。
② PT–PL協調(片脚軽荷重)
前足部に軽い圧。第1中足骨を前外下へ送る(PL)+舟状骨を引き上げる(PT)。膝は前方へスッと出すが内側へ倒さない。
③ ウインドラス点火(前足部ロッカー)
母趾をゆっくり背屈し、足底の張力と縦アーチ挙上を感じたままSTJを回外へ切り返す。
※いずれも**“硬さではなく協調性”**を再教育することが要点。
ありがちな落とし穴
- 「足指グー」で固めて硬いのに弱い足を作ってしまう
- PT優位でPLが働かず、第1中足骨が前へ送れない
- 回内固定のまま背屈を強行し、内反ひねりの違和感を誘発
どれだけ筋力が戻っても、足部の機能的剛性が破綻していれば、膝は構造的安定を保てません。
距骨の滑走、アーチ機構、足底筋群の協調――これらが整って初めて、大腿四頭筋や殿筋の出力が“機能”として意味を持ちます。
実際、膝のリハビリを全身的に進める中でも、足部のわずかな変化が動作全体の質を大きく左右する場面は多い。足底の接地感が変わるだけで、膝の安定性や歩行リズムが見違えるように整うことも少なくありません。
膝の機能を最大限に引き出すには、局所だけでなく“足部という土台”の動きをいかに引き出せるかが鍵です。足部と膝を一体として再構築する視点が、患者さんの「もう一度自由に動ける」未来を支えるはずです。
“足から膝を診る”という視点が、あなたの臨床をもう一段深めるきっかけになれば幸いです。
参考文献(抄)
- Chapman R. et al. Relationship between ankle dorsiflexion and medial knee loading in knee OA.
- Tiberio D. Pathomechanics of foot pronation and tibial rotation.
- Bolgla L., Malone T. Foot–knee–hip kinetic chain and arch support.
- Wei S. et al. Intrinsic foot muscle training and dynamic balance.
- その他:ウインドラス機構・PL/PT協調・KAM関連のレビュー・原著を参照
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