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地域包括ケアの実効性確保へ 2040年見込みを必須化、地域格差に懸念の声

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―― 中長期推計の必須化と広域協議の場の整備、データに基づく人材・供給力の把握を議論

※給付と負担の見直しは別稿で、医療介護連携は別稿で詳報します。

部会では、介護保険事業(支援)計画の位置づけを再確認しつつ、2040年を見据えた中長期推計を都道府県の計画に必須化し、市町村を越えた広域協議の場を設ける方向性が示されました。市町村は保険料算定に必要な記載事項の明確化、都道府県は中長期推計と助言・協議体の整備を担う案です。

中長期推計:認知症・MCIデータの反映を要請

粟田主一委員(浴風会認知症介護研究・研修東京センター長)は、中長期推計に認知症・MCIの将来推計を織り込むことを求め、認知症施策推進基本計画との整合性を指摘しました。日本介護福祉士会の及川ゆりこ委員(会長)は、見込み量の把握にあたり、事業所数だけでなく受け入れ可能ケース数や職員数など運営実態の把握を要請しました。

地域格差への懸念:最低水準の担保を

地域格差への懸念も強く示されました。和田誠委員(認知症の人と家族の会代表理事)は、高齢人口と認定率の伸びを示す資料を踏まえ、「いかなる地域でもサービス量・質が見劣りしない仕組みが必要」と訴えました。実際、資料1では今後の高齢化とサービス需要の変動が整理され、圏域間で協議の場が設置されていないケースも一定数あることが示されています。

人材・供給力:在宅領域のボトルネック可視化

人材確保の面では、UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの染川朗委員(会長)が訪問介護員の深刻な不足を指摘しました。石田路子委員(高齢社会をよくする女性の会副理事長)は酷暑下のヘルパー移動実態アンケートを紹介し、移動時間の負担や地域間支援格差の是正、緊急支援の必要性を訴えました。山際淳委員(民間介護事業推進委員会代表委員)は、中山間・人口減少地域での限られた資源の活用に向け、生活支援サービスや健康づくりの取り組み状況もデータとして把握すべきと提案しました。
また、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や看護小規模多機能型居宅介護など地域密着型サービスの拡充も求められました。普及阻害要因として「区分支給限度額」「オペレーター配置要件」など制度面の壁が挙げられ、モデル展開や専門的検討の場の必要性が示されました。

都道府県と市町村:役割分担と実効性

都道府県の役割については、長崎県の三田参考人(福祉保健部長、大石賢吾知事代理)が「保険者である市町村の考え方を尊重しつつ、過度な調整役の付与には慎重であるべき」と発言しました。市長会の田田参考人(大西秀人市長代理)も、市町村が事業として介護サービスを実施する仕組みは、実効性の検討が先行すべきと求めました。

総括・今後の進め方

部会長の菊池馨実氏は「中山間地域は喫緊の課題。介護だけでなく福祉全体で捉える必要がある」と総括しました。事務局は「中長期で見通す必要性は共通理解。地域差の中でも必要なサービス確保に向け、次期(第10期)からできることを進める」と応じました。

▶︎第125回社会保障審議会介護保険部会

地域包括ケアの実効性確保へ 2040年見込みを必須化、地域格差に懸念の声

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