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訪問看護・訪問リハが初の調査対象に──令和8年度介護従事者処遇状況等調査、7月実施へ

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社会保障審議会の介護事業経営調査委員会は4月8日、令和8年度の介護従事者処遇状況等調査の実施案を了承しました。最大の注目点は、訪問看護事業所と訪問リハビリテーション事業所が調査対象に初めて加わること。令和8年度から処遇改善加算の対象となったこれらのサービスで働くPT・OT・STの給与実態が、本調査では初めて把握対象となります。

訪問看護・訪問リハ、なぜ今回から対象に

令和8年度の介護報酬改定により、介護職員等処遇改善加算の対象サービスが拡大されました。訪問看護と訪問リハビリテーションが新たに加算対象となったことを受け、今回の調査ではこの2サービスを調査対象に追加しています。居宅介護支援事業所は従来から対象に含まれており、引き続き調査されます。

抽出率は、訪問看護が施設・事業所ベースで10分の1、訪問リハビリテーションが5分の1。従事者票では、訪問看護の看護職員が2分の1抽出であるのに対し、リハ職や事務職は全数調査(1分の1)となっています。訪問リハビリテーションについても、リハ職・事務職ともに全数調査です。

※抽出率とは、全体の事業所・職員のうちどれだけの割合を調査対象として抜き出すかを示す数値です。「1/5」なら5カ所に1カ所が対象、「1/1(全数調査)」なら対象となった事業所の該当職種の職員全員が回答対象となります。

調査設計の全体像——令和9年度改定を見据えた基礎資料

本調査の目的は、介護従事者の処遇の現状と処遇改善加算の効果を評価し、介護報酬改定のための基礎資料を得ることです。調査時期は令和8年7月。結果は同年11月頃に本委員会で公表され、介護給付費分科会に報告される予定です。

前回の令和6年度調査は改定直後の影響把握を目的に10月実施・年度末公表というスケジュールでしたが、今回は令和9年度改定に向けた基礎資料という位置づけのため、前倒しの日程が組まれました。

調査票は「施設・事業所票」と「従事者票」の2本立て。令和6年度調査からの主な変更点として、ベースアップによる賃金改善額を定期昇給と分けて把握する項目が新設されたほか、令和8年度改定で導入された生産性向上・協働化に取り組む事業所への上乗せ加算区分に対応した調査項目の見直しが行われています。令和7年度補正予算で措置された「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」の申請状況や補助金の使途を問う設問も追加されました。

委員が相次ぎ指摘した「回答率」への懸念

議論の中心は、調査の有効回答率でした。

福祉医療機構の緒方武虎氏は、今回の調査が令和8年度臨時改定の影響を一定程度拾えるとの見通しを示しつつ、「令和9年度改定に向けた非常に重要な調査だ」と強調。新たに対象に加わる訪問看護・訪問リハビリテーションについて、経営主体別に回答率のばらつきが出ないような取り組みが必要だと注文を付けました。事務局は、法人本部への調査票の一括送付やオンライン回答の仕組みを引き続き活用する方針を示し、令和6年度調査の有効回答率59.3%を目安に取り組むと回答しています。

慶應義塾大学の堀田聰子氏も同様の問題意識から発言。これまでも膨大だった調査にさらに追加項目が加わり負担感が大きいと指摘したうえで、訪問看護や訪問リハビリテーションの事業所は小規模なところが非常に多く手が回らないところがかなりあると懸念を表明しました。特に小規模事業所が回答しやすい支援の工夫を求め、回答が集まったところが比較的余裕のある事業所に偏らないよう要請しています。

EY新日本有限責任監査法人の泉千夏氏は、今回の調査内容について妥当との評価を示す一方、令和8年度改定は「強い経済を実現する総合経済対策」の一環としての緊急的対応であるため、調査時点では効果が十分に現れないのは当然だと指摘。そのうえで、人材流出の状況が実際にどう変化したかについてはどこかのタイミングで改めて検証する必要があると述べ、退職率や充足率、勤続年数、採用コストといった指標での検証を求めました。

まとめ・今後のスケジュール

本日の委員会では、岩村正彦委員長(東京大学名誉教授)のもと、提示された調査実施案が了承されました。今後、介護給付費分科会に報告されます。なお、本調査は政府統計の一般統計調査に該当するため、総務大臣の承認審査の過程で抽出率等に変更が生じる可能性があります。

調査は令和8年7月に開始され、結果は11月頃に公表予定。訪問リハビリテーション事業所で働くPT・OT・STにとっては、本調査で初めて処遇実態の把握対象となる調査です。

▶︎第44回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会

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