【​非特異的腰痛は本当に85%もあるのか？】

1982年にWhite博士がコメントした言葉の一文はこうです。

「 low back pain that has no definite etiology range from about 20% to about 85%（約20%から約85%の明確な原因のない腰痛）」

つまり20%から85%の広い範囲の腰痛が、非特異的腰痛（画像診断を駆使しても、診断が容易でない腰痛群）だと言っているわけで、あまりに根拠のない情報が独り歩きしてしまった結果であると言えます。

すでに40年前の情報ですから、現在の画像診断、鑑別診断、セラピストの評価力の向上から考慮すれば、現在はまったく違った数字になるでしょう。

【脊椎疾患に対して運動療法は、効果が認められているのか？】

脊椎疾患に対する運動療法の効果に関する臨床研究は多くありません。

系統的レビューにおいても機能障害、費用対効果、QOLに対する長期的効果などについては依然として明らかとさていないのが現状です。

しかし臨床と研究の両方から、腰痛の原因がかなり明らかになってきています。

疼痛の原因、機能障害の原因が明確になればなるほど、

何をすれば良いのか？　何をしない方が良いのか？

が明確になります。

セラピストにとっての武器は、確かな情報です。

これまで椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症に対する治療戦略も、保存療法と手術療法では差がないとされていましたが、近年の大規模な研究では保存療法の効果が認められつつあります。

このセミナーでは、腰痛疾患者に関わる様々なエビデンスと、最新の研究結果を中心に紹介していきます。

皆様の臨床につながるヒントを手に入れていただければ幸いです。

講師紹介）

講師：井川達也先生（国際医療福祉大学 保健医療学部 理学療法学科 講師）

主な経歴）
・内側楔状開大型高位脛骨骨切り術患者の術後 JOA score に影響する術前因子
竹内誠貴, 豊田剛, 松永大吾, 井川達也, 石坂正大, 瀧澤勉
理学療法科学 37(4) in press 2022年6月20日 査読有り
・足底へ貼付した弾性テープがハムストリングスの柔軟性に与える影響
伊藤梨也花, 井川達也, 武内彩佳, 荒井栞, 加賀菜々香, 真下野愛, 宮前瑠香, 浦田龍之介, 久保晃
理学療法科学 37(2) 171-175 2022年4月20日 査読有り責任著者
・Association between the Horizontal Gaze Ability and Physical Characteristics of Patients with Dropped Head Syndrome
Tatsuya Igawa, Ken Ishii, Ryunosuke Urata, Akifumi Suzuki, Hideto Ui, Kentaro Ideura, Norihiro Isogai, Yutaka Sasao, Haruki Funao
Medicina 58(4) 465-465 2022年3月23日 査読有り筆頭著者責任著者
など多数

講師著書・DVD等）
・臨床にいかす表面筋電図 : セラピストのための動作分析手法
勝平純司, 田中惣治, 井川達也, 中谷知生 編) 加藤浩, 山本澄子
医学書院 2020年12月 (ISBN: 9784260042567)

・急性期病院リハビリテーションマニュアル : clinical manual of rehabilitation in acute general hospital settings
安保 雅博, 角田 亘, 井川達也
新興医学出版社 2017年 (ISBN: 9784880022000)

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士　など

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