―――協会の分科学会についてですが、やはり内部疾患は今後重要になると思われますか?
永嶋先生:いろんな学会をチェックしておいたほうがいいと思います。今後どういう方向に進んでいくかもわからない場合は特に。とりあえず、幅広く勉強することは大事だと思います。
個人的には糖尿病について学んでいただきたいという思いはあります。今では、動物の理学療法とかもありますし、広くいろんな知識を受け入れる準備をしておく必要はあると思います。
―――理学療法士の糖尿病療養指導士の数って多いですか?
永嶋先生:少ないです。全国的に少ないのですが、兵庫県内の日本糖尿病療養指導士は私が受けた第二回の頃は、その当時で3人でした。今の数はHPで公開されていますが、現在でも少ないので資格をもっていると重宝されるのではないかと思います。
以前は、今以上に糖尿病に関わっている理学療法士は少なく、当時、糖尿病学会近畿地方会で発表したときなど、運動療法のセッションで発表している6演題のうち2演題だけが理学療法士というような状況でした。
ですが、そのような中で野村卓生先生(関西福祉科学大学)や井垣先生と出会い、様々な仕事や研究を一緒にするようになりました。当時、理学療法士が少ない中、学会に参加していたことがきっかけですね。このつながりは今でも続いています。
悲しかった出来事
永嶋先生:全然関係ない話ですが、「日本糖尿病理学療法学会 第2回 症例報告学術集会」で基調講演をしたとき、糖尿病の患者指導の話、つながりが大事だというような話をしました。
経験年数10〜20年の先生からしたら「なんや今更」というような内容だったかもしれませんが、学生さんからはすごい反響をいただきました。学生でこのような学会に来ていること自体がすごいと思いましたし、今後が楽しみだなと思いました。
ただ、反対に6年目くらいの理学療法士のアンケートでは「基調講演の意味をもう一回調べ直した方がいいと思います」とまで書いている人がいて、辛かったですね。
自分自身としては自慢話という思いでお話ししたわけではない中で、若い方がそのようにしか捉えることができなかったことが悲しかったです。大勢の中で話するのは難しいなと思いました。
多職種が混じり、話をするのが一番難しいです。少し詳しい話をすれば、他職種からは「さっぱり分からない」と言われますし、あまりざっくりした話にすると理学療法士からの満足度は非常に低くなりますからね。
―――先生にとってプロフェッショナルとは?
永嶋先生:見返りを求めるわけじゃなく、最大限できることを当たり前に提供することだと思っています。「プロなので」と。
*目次
第三回:理学療法士は運動のプロである
日本糖尿病理学療法学会の情報
|設立の趣旨
糖尿病は増加の一途を辿る国民病であり、理学療法士には糖尿病の基本治療である運動療法の専門家として、糖尿病チーム医療の主軸を担うことが期待されています。
理学療法士による糖尿病患者への関わりは世界的にも類がなく、また、糖尿病理学療法に関するエビデンスは蓄積されていません。本学会は、糖尿病に対する理学療法の理論、介入方法および効果検証に関する学術研究の振興と発展を図り、世界に先駆けて糖尿病理学療法学の体系化を目指します。
また、理学療法診療ガイドラインや成書の作成、糖尿病理学療法を専門とする人材育成への活動も推進します。
永嶋先生オススメ書籍
やらな、しゃーない! 1型糖尿病と不屈の左腕
僕はまだ がんばれる-不治の病 1型糖尿病患者、大村詠一の挑戦-
永嶋 道浩先生のプロフィール
資格:
理学療法士
日本糖尿病療養指導士
3学会合同 呼吸療法認定士
専門理学療法士(内部障害理学療法)
がん患者リハビリテーション専従理学療法士
日本転倒予防指導士
所属:
市立伊丹病院医療技術部医療技術室リハビリテーション担当 副技師長
日本糖尿病理学療法学会 運営幹事
糖尿病療養指導士兵庫県連合会 理事
神戸大学医学部保健学科 臨地教授
阪神内部障害リハビリテーション研究会 世話人
所属学会:
日本理学療法士協会、日本糖尿病学会、日本糖尿病理学療法学会、糖尿病療養指導士兵庫県連合会、日本緩和医療学会、関西がんチーム医療研究会、臨床コーチング研究会、阪神内部障害リハビリテーション研究会、日本転倒予防学会、下肢慢性創傷の予防・リハビリテーション研究会、日本リハビリテーション栄養研究会
執筆: