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第二回:糖尿病による切断を予防する理学療法をテーマに【市立伊丹病院副技師長(理学療法士)| 永嶋 道浩先生】

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―――こちらでは糖尿病外来をやられているのですか?

 

永嶋先生:当院のリハビリとしては糖尿病を専門的にやっているわけではありませんので、外来での介入はほとんどありません。ご存知の通り糖尿病だけで算定することは難しいため、膝痛や腰痛のような運動器疾患に合併した糖尿病患者さんに対して、運動療法を実施しているケースが多いです。

 

糖尿病のコントロール目的で入院する場合はもちろんあります。

 

―――運動器疾患でリハの指示が出ても既往歴とかを見ると糖尿病とかの内部障害を抱えている患者さんがほとんどだと思います。

 

永嶋先生:その通りで、私が人前で話をさせてもらう時には、糖尿病での算定ができるか否かの話ではなく、目の前で見ている運動器の患者さんが糖尿病をもっている可能性があることが問題、という話をよくします。

 

ですから、糖尿病の知識をもっていることは、すごく大事だと思っています。こういうことを日本糖尿病理学療法学会では進めて行こうと考えています。

 

―――糖尿病はなんで算定できるようにならないのでしょうか?

 

永嶋先生:なぜでしょうね。大人の事情もあるのかもしれませんね(笑)。最近は、厚労省に対して理学療法士も発言することができるようになってきましたが、重要なのは医師の理解でしょう。

 

運動療法は糖尿病に対して必要であることは、周知の事実ですが、ただ理学療法士が専門だと思っている医師が一昔前にはいなかったというのが問題としてあるのかもしれません。

 

現在はそんなこともありません。日本糖尿病協会の理事長も「運動は理学療法士の専門だ」と言ってくれています。運動療法でいえば健康運動指導士という資格があります。

 

その資格があれば無条件で特定保健指導における介入が認められています。ですが理学療法士にはそれができず、147時間の講習受講が条件となっております。国としても、「理学療法士は疾患を診る専門家」という認識があり、予防に関しては少し違うとの認識があるようです。

 

こういった事情もあり、算定もできないため理学療法士が糖尿病に関わりにくくなっているのは間違いないと思います。そんな中でも他職種からのニーズはとてもあります。

 

しかし糖尿病学会に行くと、運動療法のセッションはまだそれほど多くはない印象です。理学療法士以外の発表も少なくないのですが、今後は変わっていくのではないかと期待しています。

―――糖尿病を勉強する上で、まずは何から始めたら良いでしょうか?

 

永嶋先生:「糖尿病ネットワーク」で検索すると、基礎的なことを学ぶサイトがすぐに見つかります。3分間くらいの動画も公開されており、わかりやすく説明されております。

 

インターネットでは、たくさんの情報を得ることができますが、全てを鵜呑みにせず注意しながら見てください。あとは、日本糖尿病学会HPとか見てくれたらと思います。

日本糖尿病療養指導士のHPには、都道県別に療養指導士の講習会がありますので、そちらに参加するのもオススメいたします。

 

―――最近の学会の活動ではどのようなことが行われているのでしょうか?

 

永嶋先生:現在、私たちの学会で行なっているメインテーマは腎症と切断予防についてです。腎症予防に運動療法が効果的であると言われ、透析患者にも運動療法を行うため関わりが深い所です。

 

もう一つは足病変に関して(フットケア)は看護師が担当するケースが多いですが、理学療法士であれば別の角度からもアプローチが可能です。そのため、「フットケア」という言葉ではなく、「切断予防」という言葉を用いております。

 

今から2年くらいかけて、「切断予防理学療法」に関する講師を育て、その講師が翌年以降には様々な人を対象に教えることができるよう育成していこうという話が出ています。

 

ですから、理学療法士が糖尿病の運動療法と合併症予防をやっていく必要があると思っています。PT協会としても、これは重要な課題であるとの認識があると理解しています。

 

―――今後分科学会とかになってくると集まりが少ない学会は運営難しくなると思うのですが、糖尿病はどの分科会と合同で行なっていくのですか?

永嶋先生:来年度は、糖尿病学会は呼吸と心血管と合同でやります。単独でやるところもあると思いますが、自分としては合同でやるほうがいいと思います。いろんなセッションを聞くことができますし、それぞれに関係がある分野なので相互関係を学ぶためにいい機会になると思います。

 

*目次

第一回:命と向き合っている人をリハビリする

第二回:糖尿病による切断を予防する理学療法をテーマに

第三回:理学療法士は運動のプロである

最終回:学会への参加が一生の出会いをつくる

 

日本糖尿病理学療法学会の情報

|設立の趣旨

糖尿病は増加の一途を辿る国民病であり、理学療法士には糖尿病の基本治療である運動療法の専門家として、糖尿病チーム医療の主軸を担うことが期待されています。

理学療法士による糖尿病患者への関わりは世界的にも類がなく、また、糖尿病理学療法に関するエビデンスは蓄積されていません。本学会は、糖尿病に対する理学療法の理論、介入方法および効果検証に関する学術研究の振興と発展を図り、世界に先駆けて糖尿病理学療法学の体系化を目指します。

また、理学療法診療ガイドラインや成書の作成、糖尿病理学療法を専門とする人材育成への活動も推進します。

引用:日本糖尿病理学療法学会HPより

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永嶋 道浩先生のプロフィール

資格:

理学療法士

日本糖尿病療養指導士

3学会合同 呼吸療法認定士

専門理学療法士(内部障害理学療法)

がん患者リハビリテーション専従理学療法士

日本転倒予防指導士

所属:

市立伊丹病院医療技術部医療技術室リハビリテーション担当 副技師長

日本糖尿病理学療法学会 運営幹事

糖尿病療養指導士兵庫県連合会 理事

神戸大学医学部保健学科 臨地教授

阪神内部障害リハビリテーション研究会 世話人

所属学会:

日本理学療法士協会、日本糖尿病学会、日本糖尿病理学療法学会、糖尿病療養指導士兵庫県連合会、日本緩和医療学会、関西がんチーム医療研究会、臨床コーチング研究会、阪神内部障害リハビリテーション研究会、日本転倒予防学会、下肢慢性創傷の予防・リハビリテーション研究会、日本リハビリテーション栄養研究会

執筆:

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