ボバースはエビデンスがとれるのか?
ー 先生がボバースを学び始めたきっかけは
古澤先生 初めて就職した病院がボバースに強かったというのがありますね.
ただ,最初は自分の病院の中だけでという思いがあったのですが,最近は指導者として何か提供出来るようになりたいと思うようになってきました.
ー 少し突っ込んだことをお聞きしますが、「ボバースはエビデンスがない」とも言われたりしていますが?
古澤先生 基本的に,ボバースはエビデンスがとれません。
人の手を介してしまっているので.人の手がバイアスになっているからです.
ただ,実際に目で見るだけではなくて,触って,動かしてみて,患者さんが変化するということ自体を一つの指標にする。
そもそも患者さんの、いわゆる地球上で活動していくための背景には,知覚や感覚というものなどが関係しています.
その中で特に「固有感覚」というものからどう運動学習につなげていくかというプロセスなので.最近は固有感覚をどう発火させていくかという考え方です.
ボバースが上手い人は,「固有感覚を入力する」「筋肉を発火させる」のがすごく上手。だからこそ,エビデンスなんかとれるわけ無いと思っています。
目の前の人,個人個人がどう変わったかを大事にしていくので,データとして集めていくことが難しいんです.
だからこそ,手を介して治療するというバイアスこそありますが,理学療法士が関わることによって良くなるという話は,それこそ母集団をもっと大きくして示していかなければいけないと思います
理学療法士ってことだけでは通用しない
古澤先生 理学療法はケアではなく治療じゃないですか。
今は、理学療法士の位置づけが多岐にわたるようになってきてしまいました。
やっぱり何をするにしても「核」がないと展開が出来ません。
そういう意味でボバースに出会って良かったなと思っています。
地域包括ケアにしても,他職種と関わるにしても.療法士としてこうだと思うことや,治療者としてこうだと思うことのヒントをボバースが導いてくれる気がするんです。
ボバースはあくまでも「概念」なので、流れやパターンが決まっていなくて,ボヤーっとしているからこそ自分にとって良いのかなと感じますね.だから皆さんハマるんでしょうね.
理学療法士って事だけじゃ通用しません。
理学療法士として何が出来て,何が提供出来るのか?
他職種と話す際に評価されていると思うんです。
股関節疾患に強いでも良いし,運動分析が得意って事でも良いし.各々がそれを持っていないと,連携と言ってもPTとして何が出来るのかなんて伝わらないですし.そういった視点を持って治療の勉強に励んでもらいたいんです。
そういった意味でボバースを学んできたことは私にとってよかったと思っています。
次のページ>>あなたは何ができる療法士?
古澤 浩生先生経歴
平成7年リハビリテーション天草病院入職
平成22年リハビリテーション天草病院リハビリテーション部副部長
平成27年リハビリテーション天草病院院長補佐 リハビリ事業本部部長
埼玉県理学療法士連盟副会長
越谷市リハビリテーション連絡協議会会長
IBITA/JBITA国際ボバースインストラクター