【11月11日】小堀先生が登壇「女性に知ってほしい男性の性の話
〜男性不妊症、射精障害」
https://woman-forum.jp/whcf2018tokyo
編集長イマイ
小堀先生、本日はよろしくお願いいたします。現在私は、リハ職向けに性の理解を広げるべく、情報発信に勤しんでおります。まだまだ、“オナニー”です。先生のご専門は、性に関する部分だとお聞きしたのですが。
小堀先生
私は、不妊症、勃起障害、射精障害が専門なんですが、マスターベーションでは射精出来ても、SEXでは射精出来ないという人が非常に多いんですよね。それに対して何か治療が出来ないかと考え、今はスマホを使った研究をしています。
編集長イマイ
実は本日、私の精子を先生が作られた検査キットで撮影してまいりました。なんだか、我が子をみた思いで感動しています。
小堀先生
あ、素晴らしい。精子検査キットの他にも色々と作っています。１つは性感染症のチャットbotをやっています。これはアメリカの学会で賞をもらいました。要は、LINEとかFacebookのmessengerとかで相談していくと「あなたは〇〇の可能性がありますよ」ということを診断します。そういうのを作りました。
小堀先生
他は、こうのとりラーニングというのを作りました。性機能だけじゃなくて不妊とか妊娠とかに関わることのeラーニングなんですよね。それも作りました。あとは、先ほどのスマホの精液検査というのを作っています。精液検査って大体の人が婦人科で受けるんですよね。婦人科は大体、〇〇レディースクリニックとか〇〇ウィメンズクリニックとか書いてあるので男性は非常に入って行きづらい所なんです。そのためか精液検査も女性に比べて男性の方が遅いと言われています。
僕のコウノトリは素通りのようです。
編集長イマイ
確かに。精子検査するのに産婦人科行こうとは思わないです。
小堀先生
このデータには驚きましたが、精液検査の結果を半分くらいの人が女性一人で聞きに行っています。つまり、男は精子を出すだけの存在なんです。本当は一緒に治療していかなくてはいけないのに取り残されているんです。もっと積極的に取り組めるようにスマホの精液検査をやってみようと思いました。これは、特殊なカメラだったんでキレイに写っているんですがスマホだと少し小さく写ります。
編集長イマイ
男は精子を出すだけの存在。なんだかツライ存在です。。。
小堀先生
あとは、射精障害に対するリハビリテーションということで患者さんの訴えで多いのは「膣の中で射精が出来ないんです」と言われます。「SEXはできるの？」って聞くと「挿入は出来るけど、膣の中で射精が一切できない。彼女が射精したかどうか確かめるから液体を入れて見せています」というんです。これ本当にあった話なんですよね。まさか、こんな人がいるのかと思いました。
編集長イマイ
えっ…。ある意味“愛”を感じます。膣の中で射精が一切できないってかなり問題ですよね。それを理由に、コンドームをつけない輩もいますが…。
・・・。
小堀先生
結構、射精障害の中でも"膣内射精障害"というのが多いです。海外では、早漏が問題視されますが、日本は遅漏が問題視されます。その原因のほとんどが"不適切なマスターベーション"と言われています。いわゆる"床オナニー"とかがこれにあたります。
編集長イマイ
なんで床オナはじめたんですかね？
小堀先生
2000人くらいを対象に調査したことがあるんですが実は、「10人に1人は床オナニーをしていた」という結果になりました。はっきりと原因は分かりませんが、１つ考えられるのは、日本人は床で寝る風習があるのでゴロゴロ寝ている間に気持ちよくなってしまって、そのままやってしまったという事は考えられます。
編集長イマイ
初めての射精が、その後の未来を作り出したということですね。女性の鉄棒オナニーとかも同じ理由ですか？
小堀先生
その通りで、女性の鉄棒オナニーとか、角オナニーも同じですね。膣内射精出来ない人は、普通の人だとこういう方向（ピストン）で射精するところを、押し付ける形で射精しているので勃起しないまま射精しているんです。
編集長イマイ
え!?勃起しなくても射精ってできるんですか？
小堀先生
もちろんできますよ。そもそも、勃起と射精の神経は別ですから。根本的に射精の仕組みが変わってしまっているんですよね。病院に来ている人たちは、深刻な問題を抱えています。しかし一方で、これは氷山の一角だと思っていて、射精障害予備軍の人達はもっとたくさんいると考えています。
【11月11日】小堀先生が登壇「女性に知ってほしい男性の性の話
〜男性不妊症、射精障害」
https://woman-forum.jp/whcf2018tokyo
骨盤底筋群のトレーニングは勃起力を高めるのか？
編集長イマイ
そもそもなんで先生はこの分野の専門家になられたのですか？
小堀先生
正直いうと泌尿器科も誘われてやったという感じです。性感染症とか不妊症とかも「他にやる人がいなかったからやろうか」という感じでした。自分からすごくやりたくて始めたわけではなかったのですが、はじめてみると合っているなと思っています。
編集長イマイ
実際、こういった分野を専門にしている先生は多くないんでしょうか？
小堀先生
多くないですね。
編集長イマイ
診察室内に[理学療法]の部屋があったのですが、もしやそこで射精リハビリテーションが行われているのですか？
小堀先生
こういった分野に興味のある人がいて、尿失禁などに対して、骨盤底筋群の体操とか電気とかをやってくれています。
編集長イマイ
実際、効果としてはあるものなんですか？
小堀先生
万人に対してとはいきませんが、ある程度の人には効果はありますね。例えば、腹圧性尿失禁とかだったら骨盤底筋体操とか効果ありますね。
編集長イマイ
勃起障害に対しては骨盤底筋の訓練で改善したりとかはどうでしょうか？
小堀先生
勃起に関してはそこまで強いエビデンスのあるものは存じ上げません。勃起とか射精はアカデミックになりにくい分野なので難しいところです。臨床でもそうですが、原因が多様化しすぎて、精子がちょっと増えた、減ったとはいっても、それが赤ちゃんの数に関わるかというとそうでもなかったりします。要は、不妊症の分野って赤ちゃんが出来なかったらあんまり意味がありません。
編集長イマイ
先生の書かれた記事の中で“量よりも形が大事だ”というものを読んだのですがあれについて詳しく教えていただけませんか？
小堀先生
結局は全部ですが、大事なのは形というより濃度と運動率ですね。形はあくまで１つの指標でしかありません。形は非常に評価しづらいですし、手間がかかります。
編集長イマイ
スマホでもスクリーニングにはなるのでしょうか？
小堀先生
そうですね。ある程度なります。自分でパッと見たときに「少ないんじゃないか？」って思った時にはやっぱり少ないんですよね。
編集長イマイ
なんだか心配になってきたので、ちょっと見ていただいてもよろしいでしょうか？
いよいよイマイの“精子”画公開
これより、イマイの“精子”画でます。体調の悪い方はココでおやめください。
注）射精シーンではありません。精子検査キットで撮影したものです。
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しばらく時間とります。よくお考えください。
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それではイキます。我が子とのご対面。
編集長イマイ
せ、先生、い、いかがでしょうか？・・・
小堀先生
ご結婚とかお子さんはすでにいらっしゃるんですか？
編集長イマイ
え…。どういうわけか、そのような気配がみられません…。それでどうなんでしょうか！我が子たちは。
小堀先生
あーたくさんいますね。よく動いてますよ。iphon6ですか？であれば、だいたいその画面に8匹ほどいれば問題ありません。十分な数です。
拝啓 父さん、母さん。孫は元気に動いております。ご対面は未定です。
編集長イマイ
安心しました。この記事はいろんな方が見ますので、精子が全く動いていないとわかったら、婚期が遅れるところでした。スマホで見られるようになってから受診される人は増えましたか？
小堀先生
「これで悪いから来る」という人も随分増えてきました。実際、診てみると本当に悪い人がほとんどですね。
編集長イマイ
明日は我が身ですからね。高いものでもないですし。すぐにお買い求めいただきたいですね。もっともっと広まるといいなと思います。
小堀先生
そうですね。昨日は、中日新聞でこの話が取り上げられていました。時折、話にはなるんですが、興味も持っている人が少ないからか、思ったより広まりませんね。我が身に降りかからないと。大学生の男子は、不妊症の原因が男性側にあるなんて考えもしないと思いますし。
小堀先生
以前、「アンケートで不妊症だったら治療するか？」というクエスチョンに対して"YES"の回答が多かったんだけど、それは自分ではなくて女の人がやる事を前提に答えていた、と思います。
編集長イマイ
“精子の調子が悪い”という診断をされた時に改善させる事は出来るものなのでしょうか？
小堀先生
多少は出来るけど、かなり限定的です。精索静脈瘤とかだったら手術して良くすることもできるんだけど、そういった人達って全体の3割くらいです。私がよく言っていることは、精巣低形成症候群といって精子自体がここ40年間で半分くらいに減ってきているんですよね。
編集長イマイ
え…。半分に減っているんですか？
イマイ0.5
小堀先生
クローズアップ現代（NHK）でも話しましたが、精子が減ってきているんです。原因は何かというと"ライフスタイル"なんですよね。例えば、昔の人って結構早くに寝ていたんですけど、今の人って夜遅くまで起きていて、お酒呑んだりとかしていますよね。そういったライフスタイルの変化って僕たちのお爺さんくらいの世代から変わってきています。
小堀先生
ここ、数十年で人間の歴史や文化が大きく変わってきているので、人間の身体もそれに合わせて当然変化してきています。そのうちの一貫で人間の精子も変わってきているのかなと思います。
編集長イマイ
オナり過ぎで精子が少なくなるってことありますか？また、適正な回数ってありますか？「赤玉が出る」と小さい時に脅かされた記憶があります。
小堀先生
むしろ、精子はオナニーでも良いのでどんどん出した方が良いと思います。精子は新しいものの方が、運動率が良いのです。また、射精時に男性ホルモンが上昇するというデータもあり、健康にも良いのではないかと考えています。
編集長イマイ
承知いたしました。日夜オナニーに励みます。肛門性器間距離が短いと精子が少ない確率が高いって聞いたのですが、事実ですか？
小堀先生
お母さんのお腹の中にいる時、テストステロンというシャワーをどれくらい浴びることが出来るかによります。それがもし少なかったりすると、将来的に性器が上手く形成されなかったり、精巣がんになったりすることが考えられます。女性だったら尿道のあたりからで、男性の場合はちょっと忘れてしまいました。
編集長イマイ
私の精子をもっと元気よく運動させるためにできることはありますか？
小堀先生
特別なことではなくて、健康的な生活を送ることが大事ですね。歳をとることが一番良くないから、若い頃にたくさん子供を作るのが一番いいんです。あとは抗酸化作用のあるサプリメントは運動率を上げることが知られています。
編集長イマイ
早くしないとですね。酸化ストレス検査は受けておいた方がいいんでしょうか？
小堀先生
希望があればするという感じにはなってくると思いますが、ただ、結果がどうであれ、やることは同じになります。基本的に健康的な生活を送ってもらってコエンザイムQ10のようなサプリメントを飲むのもいいというデータが出ています。それでも妊娠出来なかったら体外受精するというような感じですよね。それよりも受けておくべきなのは染色体検査などの遺伝子検査だと思います。
編集長イマイ
遺伝子検査って市販されたものが多く、ただどこを切り取るかによって結果が変わると言われていますよね。
小堀先生
何に狙いをつけてやるかですけど、無精子症にはAZFという遺伝子があります。そういった形で何を見るかというのが大事です。きっかけの一つとして一般的な検査キットを使って見るのもいいかもしれませんね。
【11月11日】小堀先生が登壇「女性に知ってほしい男性の性の話
〜男性不妊症、射精障害」
https://woman-forum.jp/whcf2018tokyo
僕らは射精リハビリテーションという職域に関われるのか
編集長イマイ
リハ職が何か関われるとしたらどういったところでしょうか？
小堀先生
排尿には、あってもいいかもしれません。ただ、不妊とかは難しいでしょうね。あとは、勃起障害とか射精障害に関しては何かできるかもしれません。ただ、カウンセリングに近いので少しイメージとは違うかもしれませんね。専門職の皆さんには是非、性を科学してもらうために講習を受けてもらって、勃起障害や射精障害に対するリハビリテーションにカウンセラーとして関わって貰えるといいのではないかと思います。ちなみにこんなデバイスもあります。
こ、これは⁉︎
編集長イマイ
男性の皆さんには馴染み深く、お世話になっている方もいると思いますが、これはなぜ1〜5まで番号ついてるんですか？
小堀先生
これ硬さが違うんですよ。床オナをしているような方は、強い刺激でないと射精できないので、最初は硬いものから徐々に慣らして、柔らかいものの刺激でも射精できるようにリハビリしていきます。あくまで一例として挙げると、コンドームマス法じゃないですけど、そういった新しい方法を、リハ職の皆さんに考えてやっていくのは１つの良い方法ではないかと思います。
編集長イマイ
考えてみます！先生本日は誠にありがとうございました。私の精子が無事でよかったです。
使用したか否かは、直接聞いてください。
【11月11日】小堀先生が登壇「女性に知ってほしい男性の性の話
〜男性不妊症、射精障害」
https://woman-forum.jp/whcf2018tokyo
今回ご協力いただきました小堀善友先生のプロフィール
【略歴】
2001年金沢大学医学部医学科 卒業
2009年獨協医科大学埼玉医療センター 泌尿器科（現職）
2014年~2016年University of Illinois at Chicago へ留学
【資格】
日本泌尿器科学会専門医指導医
日本性機能学会専門医
日本性感染症学会認定医
日本性科学会セックスセラピスト
日本泌尿器内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会技術認定医
書籍
