スポーツ理学療法学会には「共創」が必要だ|宮崎 喬平先生

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2月11日より、理学療法士学会の分科学会運営幹事選挙の投票が行われている。

先日、公表された中間の投票率は13%9割近くが無投票で、我関せず焉といった状況だ。

 

業界のことを少しでも思うのであれば、是非投票者のことを調べて一票を投じていただきたいと思う。

 

今回取り上げるのは、日本スポーツ理学療法学会に立候補している宮崎 喬平さん(34)。可能であれば全員を取り上げるのが筋ではあるのだが、 POSTの人員的に限界があることをご容赦いただきたい。このスポーツ理学療法学会は30代の立候補者が3名で、次の時代を支えるニューリーダーが今まさに生まれようとしている領域だ。

 

アメリカでの職歴がある宮崎さんの視点から、業界に寄せる想いを伺った。

 

 

ー なぜ今回立候補しようと思ったんですか?

宮崎 私の最大のモチベーションを一番端的に表現すると、「これまでの経験を活用してスポーツ社会に貢献したい」となりますが、それだとありふれたものになってしまいますよね。もう少し具体的に言うと、私は日米でアスレティックトレーナー、理学療法士、ストレングス&コンディショニングスペシャリスト、フィットネスクラブのインストラクターやパーソナルトレーナーの業務を経験する中で、『それぞれの専門性を活かして職務分担、かつ連携している社会』を経験する一方、各専門職が抱えている問題やフラストレーション、その先にあるポテンシャルを感じてきました。この経験と思いを何とか活かして、社会に貢献したいというのが、その本意です。

 

ー 立候補者の中で、アメリカでの職歴があるのが特徴的ですね。

 

宮崎 もともと、私は高校卒業後にアメリカの大学に進学し、全米公認アスレティックトレーナー(NATA BOC-ATC)として仕事をしていました。働き方も少し特殊で、通常アスレティックトレーナーはチームに帯同するのが業務の100%を占めるのですが、就職時に無理を言ってスポーツ現場と医療施設の両方で働けるポジションに就かせてもらいました。週5日間の15時くらいまでは病院でPTと共にプロアスリートのリハビリを、平日の15時以降と週末は、プロチームや地域の高校/大学のトレーナー業を担わせてもらっていました。無理やり作ったポジションであった為、給与をかなりカットされていましたが(汗)、その間、スポーツ医療に関わる様々な専門家が連携/協力している姿をこの身で経験する事ができました。

 


ー 今回の選挙で運営幹事に当選した暁にはどんな改革を行おうと思っていますか?

 

宮崎 とにかく、他職種間の交流の場を設ける事が必要でしょう。人間臭い部分までわかり合って、初めて本当の“理解”に繋がると考えています。

 

・スポーツ医療チームとして、連携できる専門職はどんなものがあるのか

・それぞれの職種の特徴は何なのか

・どんな業務をこなしているのか

・お互いが誇りに思っている事、問題に感じている事、今後やりたいと思っている事

 

このような事をお互いに知り合っていくのです。

 

 

そして、この“理解”を仕事上の“信頼と分担”に繋げるため、他職種間で協同学習の輪を広めます。職域を取り合うのではなく、分担&連携ができる関係性を構築するのです。国内外の関連学術団体との協力と連携が叶えば、「新たな活躍の場」を共に創出できるはずです。様々な健康産業職種による“共創”は、今後ますます求められると考えます。一般のスポーツ人口、学生アスリート、プロアスリート、参加の場を求める高齢者など、多くの対象者が我々の協力と連携を待っているはずです。

 

<< 分科学会運営幹事選挙 投票は以下のリンクから>>

▶︎ 日本理学療法士協会 ホームページ

 

宮崎 喬平さん略歴

米国アラバマ州 Troy University を卒業し、2008 年に米国公認医療トレーナーの資格を取得。St.Viscents’ Hospital のChampion Sports Medicine に入職し、NFL Europa のアメリカンフットボール選手、Alabama 大学のアイスホッケー選手、プロダンサー等のアスリートを対象にリハビリテーション医療に従事。2009 年に帰国した後も、フィットネスセンターに勤務しながら、一般向けのパーソナルトレーナー・元K-1 出場のプロキックボクサーの専属トレーナーを務める。

 

2013 年に理学療法士免許を取得後、大阪回生病院に入職し、急性期病院での業務に取り組む反面、大阪市立大学、各種医療系専門学校、日本アスレチックトレーナーズ協会講習会、自治体のスポーツ指導者講習会、一次救命措置講習会にて一般・学生・現職者向けの講師を務めてきた。

 

主な講義内容は、『コンディショニングからリハビリテーションにおけるトレーナーの役割』『神経生理学を用いたスポーツリハビリテーション』『バイオメカニクスとトレーニング動作の再考』『高齢者の為のトレーニング』。

スポーツ理学療法学会には「共創」が必要だ|宮崎 喬平先生

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