医療に対する満足度は高いものの、人生の最終段階で、約4割のがん患者が痛みや気持ちのつらさなどを抱えてすごしているー。

今月11日、国立研究開発法人国立がん研究センターが「患者さまが亡くなる前に利用した医療や療養生活に関する実態調査」を報告した。

▶︎ https://www.ncc.go.jp/jp/cis/divisions/sup/project/090/index.html

厚生労働省の委託事業として、約50,000名の遺族（うち、がん患者の遺族は約 26,000 名）を対象に、患者が亡くなる前の療養生活や利用した医療の実態について全国調査を行い、結果がまとめられた。

・亡くなる前１カ月間の療養生活の質
亡くなる 1 カ月の間に、痛みや気持ちのつらさを感じているがん患者の割合は、約 4 割程度おり、一定割合の患者の苦痛症状が十分に緩和されていないことが推定された。

・亡くなった場所で受けた医療に対する満足度
亡くなった場所で受けた医療に満足している割合は 6～7 割であり、利用した医療について、必ずしも満足していない方もいることが推定された。

・人生の最終段階における医療・ケアに関する話し合い
患者が希望する最期の療養場所や蘇生処置について、患者と医師間で話し合いがあった割合は 2～3 割、患者と家族間で話し合いがあった割合は 3～4 割にとどまっていた。

・家族の介護負担感や死別後の抑うつ症状
介護について全般的な負担感が大きかったと感じている家族の割合は 4～5 割だった。また、死別後に抑うつ症状がある方は 1～2 割、悲嘆が長引いている方が 2～3 割おり、疾患別ではがん患者の遺族が最も高い割合でした。家族の介護負担や、死別後を含めた家族の精神的な負担が推定された。