週の真ん中水曜日の江原です。前回に引き続きましてリハビリ臨床におけるモチベーションアップについて書いています。前回は動機付けが低い患者への対応のうち、特に目的のすれ違いが考えられる場合の具体例と対応方法について書きました。医療者がアドバイスをしても、まず目標を共有していなければ、改善のための行動変容も害と考えられてしまいます。外発的動機付けとして助言を行ったとしても、逆効果でしょう。患者の思いを考慮しアドバイスも細分化して、動機付けにつなげることが大切だと考えます。以上が先週の内容でした。
認知的な制約
2つ目として患者の認知的な制約が挙げられます。患者が協力的ではなく動機付けがなされてないと勘違いしやすいのが、患者の理解が低下している場合がある時です。例えば運動療法を指導する場合、私は患者に手本となる動作を見せて視覚的な情報を基礎として実施してほしい内容を伝えた後に、実際に患者の体に触れて運動を誘導して動きを確認します。
視覚→聴覚→固有受容感覚という順番で動作のための情報を入れていきます。そこから『では今からご自分でやっていただきますね』と運動を促しますが、それでも開始する気配もないこともあります。
その他にも運動療法としては一般的なdiagonal extensionの指導の時に生じるのが、何度も視覚的、聴覚的指示を行い実際に上肢下肢を介助して動作を誘導しても、何度も左右が逆になってしまいバランスを崩す間違いが修正できない場面があります。
元々運動に対しての慣れやっ習熟度が関係することもありますが、治療に対して受動的で、そもそも『痛みを治してもらいたい』という信念を持っている方がよくみられます。治療に主体的な行動がとれていないのです。このように認知的な問題は系統だった行動を妨げるほどの影響を持つ場合もあり、結果として動機づけが欠如してしまうので注意したいところです。