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スリランカにおけるリハビリテーションの現状 (Vol.1)

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《他の記事はこちらから》
Vol.2:「スリランカの義肢装具の現状」
Vol.3:「スリランカのリハビリテーション教育」
Vol.4:「スリランカの住環境」

スリランカ=光り輝く島

1枚目    

スリランカは、宝石のカタチをした南アジアの小さな島国です。(北海道本土の2/3)この国名は、『光り輝く島=Sri Lanka“ශ්‍රී ලංකා”』と意味します。

昔の話、スリランカ(旧国名セレンディップ)にいた3人の王子たちが、知恵と勇気・偶然のめぐりあわせで旅を続けて、本来探していなかった宝物をみつけるという物語がありました。この物語から『セレンディピティ』という言葉が生まれ、偶然をきっかけに幸運をつかみとる能力のことを意味しています。 この言葉を教えてくれたのは前職場の尊敬する上司でした。まさにわたしは今、セレンディピティのような人々や出来事との出会いの中で暮らしていました。

宗教は無視できない

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小さな国ですが、多民族・多宗教。民族は、シンハラ人・タミル人・ムスリム・混血バーガー。宗教は、仏教・キリスト教・ヒンドゥー教・イスラム教。シンハラ・仏教が人口の7割を占めています。言語はシンハラ語・タミル語・英語の3言語政策とされていますが、民族・宗教ごとに生活エリアが分かれており、そのエリアによって使用されている言語も限定されています。平和のようにみえる光り輝く島も、1983年から2009年まで26年にわたる民族・宗教間の内戦の歴史を経て、今のスリランカがあります。

内戦で被害の多かった地域はその影響で四肢に障害を負った人々も多くみられます。私の暮らしていた村は9割がシンハラ・仏教徒であり輪廻転生の教えから、障害を負った家族がいる家は前世での悪い行いによる原因があると言われており、そのような家族を地域に出さず家に隠してしまうところも多くありました。障害と宗教・文化は生活する上で、強く繋がっています。

国立病院での医療提供は無料だが、、、。

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国立病院での医療提供は無料のため、PT・OT・ST診療も入院・外来ともに無料です。しかし次から次へと患者が増えては減らず、手厚くフォローが必要な患者であっても十分な診療が出来ていません。また病院が家から遠いことや経済的理由によって、継続が難しい患者も多くいます。医療者全般で人員不足が問題となっています。そのため国内PT・OT・STのほとんどは病院勤務で、地域に出るほどの人員が足りていません。PT・OT・STは休日にプライベートとして働き、地域の私立病院・訪問診療は有料となり、1回1時間につき1000~1500ルピー(公務員月給25000ルピー)が請求しています。支払うことができない多くの人々は、退院後の継続ができません。リハビリテーションに限らず医療全般で病院と地域の連携が図れていないのが現状です。

その現状をサポートしようと、スリランカ国内にはいくつかの障害児・者支援のNGOが存在し、訪問診療やセンターへの通所を行っているところもあります。   次回は、スリランカの義肢装具事情についてお伝えします。

野口歩美先生経歴

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2009年横浜リハビリテーション専門学校卒業後、亀田メディカルセンター入職。4年3ヶ月の勤務を経て、2013年10月よりスリランカにて2年間青年海外協力隊として活動。2016年1月より人をつなげ世界をめぐる旅へ出発予定。ブログはこちらです()。

スリランカにおけるリハビリテーションの現状 (Vol.1)

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