日本理学療法士協会(PT協会)は2040年を見据えた「中長期計画」を公表しました。この計画は、2022年に始まった「中長期的な戦略目標の検討」を起点とし、理事会や理事懇談会での議論を経て、2024年7月の理事会で報告されたものです。
PT協会は、内部・外部環境の整理やクロスSWOT分析、財務的な見通しの検討を重ね、段階的に骨子案・修正案を作成してきました。策定にあたっては「2030年の国民の生きがいを支える理学療法士のビジョン」を軸に、以下の4つの柱を設定しています。
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1.疾病や障がいとともに安心して暮らせる社会の実現
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2.心身ともに健やかに暮らせる社会の実現
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3.国民が相互に支え合って、住みたい地域で人生を過ごせる社会の実現
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4.安定した組織基盤の構築
これらの柱に基づき、2027年の中期ゴール、2030年・2040年の長期ゴールへと段階的に進めていく計画です。
具体的な注力領域を設定
中長期計画では、各柱ごとに注力領域が示されています。
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疾病や障がいとともに安心して暮らせる社会の実現
アクセスしやすい理学療法の提供、質向上、人材確保、医療・介護・福祉の連携強化、科学的根拠の収集、適正な報酬改定と処遇改善。 -
心身ともに健やかに暮らせる社会の実現
健康増進・予防、スポーツ領域での寄与、公衆衛生での活躍、予防理学療法の発展、アスリート支援、タスクシフト・タスクシェアの推進。 -
国民が相互に支え合って暮らせる社会の実現
地域に寄り添った組織の強化、多職種連携、地方行政との関係深化、国際活動への参加。 -
安定した組織基盤の構築
会員サービスの強化、組織運営体制の強化、卒前・卒後学習制度や資格制度の拡充、会費改定など持続可能な運営。
また、具体的な事業・指標ごとに目標達成年や数値目標を設定し、定期的な評価・改善を行うPDCAサイクルの確立も盛り込まれています。
3年間の歩み―2022年度からの変遷
この「中長期計画 骨子」に至るまでには、3年間にわたる議論と検討が積み重ねられました。協会の「事業総括報告」をたどると、その変遷が見えてきます。
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2022年度(起点)
「中長期的な戦略目標の検討」を開始し、「2030年の国民の生きがいを支える理学療法ビジョン」をリーフレットとして公開。組織基盤強化、質保証、人材育成、地域包括ケアや国際活動などが重点課題とされました。 -
2023年度(素案整理)
2022年度の方向性を受け、戦略目標素案を取りまとめ。重点領域を「医療・介護連携」「質保証」「人材育成」「組織安定」「国際・地域共生」に整理しました。 -
2024年度(骨子確定)
理事会で「中長期計画 骨子」を報告。4つの柱と注力分野を提示し、2027年・2030年・2040年に向けたロードマップを示しました。
今後の展望
協会は「今後も会員の皆さまと共有しながら、理学療法の価値を高め、社会のニーズに応える活動を展開してまいります」とコメントしています。
▶︎中長期計画