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「急性期偏重」に異議、在宅・高齢者救急の議論不足を指摘──日本病院会が厚労大臣に意見書提出

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日本病院会の相澤孝夫会長は2026年2月18日、上野賢一郎厚生労働大臣に意見書「新たな地域医療構想策定ガイドラインに向けた日本病院会の意見について」を提出しました。現在進む検討会の議論が急性期拠点に偏り、高齢者救急や在宅医療連携、地域密着型病院の位置づけが置き去りにされているとして、抜本的な論点の立て直しを求める内容です。厚生労働省医政局の森光局長が対応しました。

「現在の延長線上では困難」──医療提供体制の転換を明言

意見書は冒頭、従来型の急性期医療は手術件数の減少・在院日数短縮・人口構造の変化により需要の縮小が見込まれる一方、高齢者を中心とした地域密着型の医療需要は増加すると現状を整理しました。その上で「現在の延長線上での医療提供体制の持続は困難であり、大きな転換期にある」と明記しています。

医療供給面では、CT・MRI・手術支援ロボット等の医療機器を含めた供給がすでに過剰である一方、医師・看護師等の病院に必要な人材は慢性的に不足しており、「過剰供給と人材不足が同時に進むミスマッチ状態」が存在するとし、この認識をガイドラインの前提として明記するよう求めています。

急性期偏重の議論に警鐘──日常医療・在宅連携が「置き去り」

意見書が最も強い表現で批判したのが、現行検討会における議論の偏りです。「地域の日常医療を担う地域に密着した病院」「高齢者救急・地域急性期機能」「在宅医療等連携機能」の三点について役割・機能の議論が十分でないと指摘し、「急性期拠点病院の議論が先行し、日常医療・高齢者救急・在宅医療との連携が十分に位置づけられていない」と断じています。

地方における開業医の減少・高齢化により、従来どおり診療所の存在を前提とした医療提供体制の構築は「現実的ではない」とし、地域に密着した中小規模の病院の役割が今後さらに重要性を増すとも述べています。高齢者救急については、医療と介護の連携不足が救急医療逼迫の一因であるとし、介護・生活分野を視野に入れた総合的検討を地域医療構想において不可欠と訴えました。まずは「地域の身近な日常医療をどう維持するかを出発点とし、その医療を補完する機能をどう位置づけるかという整理を行わなければ地域医療構想は絵にかいた餅に終わる」とも明記しています。

医療専門職不足を「構造的課題」と位置づけ、国主導の枠組み要求

人材確保については、看護師等養成校の定員充足率の低下や医療専門職の減少を「構造的課題」として捉え、「地域任せの医療人材育成はもはや限界」と表現した上で、国の責任による計画的な養成・確保の制度的枠組みの構築を求めました。

地域密着型病院で多様な疾患・患者を総合的に診療する「病院総合医」の育成・定着についても国の重要課題として制度設計するよう要求。専門医偏重ではない医師のキャリア像を国が示すことの必要性にも言及しています。

ガイドライン設計は「柔軟」に、数値指標の画一適用を牽制

ガイドラインの設計方針についても具体的な注文を付けました。救急車受け入れ台数や地域シェア率といった単一の数値指標を過度に重視した「画一的・要件化された運用」は、多様な地域医療の実態を尊重しないものとして退け、「数値はあくまでも参考として位置づけ、定性的な機能評価や地域での合意形成を重視する設計が不可欠」と訴えています。

機能転換や縮小、撤退を選択せざるを得ない病院に対しては、財政支援・人的再配置・診療報酬上の配慮を含め、国と自治体が一体となって支える仕組みの構築を求めています。

まとめ・今後の展望

意見書は2026年2月18日付で提出されており、対応窓口となった「地域医療構想および医療計画に関する検討会」では現在も新たなガイドラインの取りまとめに向けた検討が継続中です。日本病院会はガイドラインを「地域が自ら考え、選択し、責任を持つための指針」として設計するよう求めており、提出意見が検討会の議論にどう反映されるかは今後の同検討会の資料・議事録で確認できます。

「急性期偏重」に異議、在宅・高齢者救急の議論不足を指摘──日本病院会が厚労大臣に意見書提出

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