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高市早苗総理がリハビリ国家戦略化を表明──「厚労省に統括部署なし」の指摘も

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2月27日の衆議院予算委員会で、リハビリテーションを国家戦略として省庁横断的に推進するよう求める質疑が行われ、高市早苗内閣総理大臣が「政府一丸となって取り組む」と答弁しました。質疑では厚労省内にリハビリを統括する部署が存在しない構造的課題や、令和8年度報酬改定におけるリハビリ専門職の処遇改善の実効性についても議論が交わされています。

「リハビリは成長のスイッチ」──山本委員が国家戦略化を提起

質疑に立ったのは中道改革連合の山本香苗委員。冒頭、日本を「世界のリハビリテーション大国」と位置づけ、回復期リハビリテーション病棟の国際的評価、義肢装具士の技術力、リハビリロボットなど医工連携分野の競争力、そしてPT・OT・STの圧倒的な人材育成規模を挙げました。

山本委員はアジア各国の急速な高齢化を見据え、「我が国の強みを世界標準にしていく絶好のチャンスだ」と指摘。健康寿命の延伸、社会保障改革、関連産業の育成、国際展開を包含した国家戦略としてリハビリテーションを位置づけ、省庁横断的に推進するよう総理に求めました。

これに対し高市総理は、自身の家族がリハビリ中であることにも触れながら、「日本の理学療法士など専門職の能力の高さ、専門知識の豊かさに感銘を受けている」と述べた上で、健康・医療戦略に基づくこれまでの取り組みとして、日本式リハビリテーションの海外普及、インドネシアなど東南アジア諸国への支援、介護テクノロジーの実用化などを列挙。「関係省庁が緊密に連携し、リハビリテーション関連の競争力強化、国際展開の推進に政府一丸となって取り組む」と明言しました。

「厚労省に統括部署がない」──縦割り構造への危機感

山本委員の質疑で注目すべきは、制度の構造的課題に踏み込んだ点です。

同委員は「実は厚生労働省の中にはリハビリテーションを統括する部署がない」と明かし、医療・介護・障害福祉の各制度にリハビリが組み込まれている一方、横断的に体系立てる機能が欠如していると問題提起しました。経済産業省との連携についても「個別政策の積み重ねで、体系的になっていない」と指摘し、省庁間の横をつなぐ具体的な仕組みの構築を厚労大臣・経産大臣に要請しています。

上野賢一郎厚生労働大臣は「そうした指摘は前からいただいている」と認めた上で、「リハビリテーションに関連する皆さんを応援できるような省内の体制を、しっかり取らせていただきたい」と応じました。

加えて山本委員は「中国をはじめ他国が猛烈に追い上げてきている」との危機感も示しており、日本のリハビリテーション分野における国際的優位性が盤石ではないとの認識が質疑の底流にありました。

処遇改善「報酬に紐づいていない」──実効性への懸念

山本委員は質疑の終盤、令和8年度の報酬改定におけるリハビリ専門職の処遇改善にも言及しました。「対象にはしていただいているが、報酬に紐づいていないため、確実に上がるかどうかわからない」と述べ、より具体的な措置を求めています。

上野厚労大臣は、令和7年度補正予算と令和8年度の診療報酬改定の両面で「しっかりとした対応をさせていただく」と答弁しましたが、具体的な仕組みには踏み込みませんでした。

まとめ・今後の展望

今回の予算委員会では、リハビリテーションの国家戦略化について総理から「政府一丸」との答弁を引き出し、厚労大臣からは省内体制の整備と処遇改善への対応が約束されました。ただし、統括部署の新設や処遇改善の具体的なスキームについては、今後の議論に委ねられた形です。令和8年度の診療報酬・介護報酬改定に向けた今後の審議会での検討内容が、現場のリハビリ専門職にとって最大の注目点となります。

全文掲載

衆議院予算委員会(2026年2月27日) リハビリテーションに関する質疑 全文抜粋

山本香苗 委員(中道改革連合):

ガラっとテーマを変えまして、リハビリテーションについてお伺いさせていただきたいと思います。

総理、日本が世界のリハビリテーション大国だとご存知でいらっしゃいますでしょうか。日本は世界で最も高齢化が進んでいるわけでありますけれども、そういう中で急性期、回復期、生活期まで切れ目なくリハビリテーション体制が築かれてまいりました。

とりわけ我が国独自の回復期リハビリテーション病棟は、365日集中的に機能回復を図り、自宅復帰を実現するモデルとして国際的にも高い評価を受けております。日本の義肢装具士の技術は精緻でオーダーメイド適合の質が高いことで知られておりますし、リハビリロボットなど医工連携分野でも国際的な競争力を持っています。かつ、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリテーション専門職の数は圧倒的に多く、育成がものすごく進んでおります。

これからアジア各国も急速に高齢化します。そうした中で我が国の強みを世界標準にしていく、絶好のチャンスだと思っております。総理は「成長のスイッチを押して押して押しまくる」とおっしゃいましたが、私はこのリハビリテーションがまさにその成長のスイッチの1つだと確信しております。

是非ともリハビリテーションを、健康寿命、社会保障改革、関連産業の育成、そして国際展開まで含んだ国家戦略としていただき、省庁横断的に強力に推進していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高市早苗 内閣総理大臣:

とてもいいご提案をいただきました。家族もリハビリ中でございまして、日本の理学療法士など専門職の能力の高さ、そして専門知識の豊かさには、私も非常に感銘を受けております。

アジア各国でおっしゃる通り高齢化が進んでいく中で、我が国が有するリハビリテーションや機能訓練の技術・知見を生かし、国際展開を含めて戦略的に産業育成を図ることは重要でございます。

健康・医療戦略などの政府方針に基づき、これまでも日本と海外のリハビリテーション専門家の相互交流を通じた日本式リハビリテーションの普及、介護テクノロジーの実用化に向けた総合支援、インドネシアなど東南アジア諸国における質の高いリハビリテーションや関連機器の普及支援──こうした先端的研究開発と新産業創出に関する施策を、関係行政機関が連携して推進してまいりました。

関係省庁が緊密に連携し、我が国のリハビリテーション関連の競争力強化、国際展開の推進には、政府一丸となって取り組んでまいります。素晴らしい技術が日本にあり、素晴らしい人材が日本にいるということ、よく承知いたしております。

山本香苗 委員(中道改革連合):

総理、ありがとうございます。

ただですね、実はものすごい脅威で、中国をはじめ他の国々が追ってきている状況なんです。もうめちゃくちゃもったいないと思っていますので、進めていただきたい。

確かにリハビリテーションは歴史もあり素晴らしいのですが、実は厚生労働省の中にはリハビリテーションを統括する部署がないんです。医療、介護、障害福祉制度にはがっちり入っているのですが、横断的なところがなく体系立っておりません。経済産業省とも連携はしていただいていますが、個別政策の積み重ねになっていて、体系的になっていない。是非ここは横をつなぐ形を具体的に考えていただきたく、厚労大臣、経産大臣、よろしくお願い申し上げます。

それから基盤の部分ですが、令和8年の報酬改定において理学療法士などリハビリテーション専門職の処遇改善は対象にしていただいています。しかし実は報酬に紐づいておらず、確実に上がるかどうかわからない。もう一段具体的に、ちゃんと上がるような措置をとっていただきたいと思います。

上野賢一郎 厚生労働大臣:

専門職の処遇改善につきましては、令和7年度の補正予算、また令和8年度の診療報酬改定において、しっかりとした対応をさせていただくこととしております。

省内の体制についてもご指摘をいただきました。そうした指摘は以前からいただいておりますので、リハビリテーションに関連する皆さんを応援できるような省内の体制を、これからしっかり取らせていただきたいと考えています。

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