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医療機関の消費税負担、診療報酬による補填は「もう限界」──日本病院会が方針転換を議論

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日本病院会は2月28日の常任理事会において、長年の懸案だった医療機関への消費税負担問題を議題に取り上げ、これまでの診療報酬による補填方式を「実質的に続けることは不可能」と判断する方向で議論を行いました。今後は課税化・ゼロ税率適用・軽減税率など具体的な代替案の検討に移行する方針で、2030年度の診療報酬改定を一つの目標時期として見据えています。診療報酬全体の構造に関わる議論であり、医療機関に勤務するすべての専門職にとって注視が求められます。

「補填方式はもう無理」——30年以上続いた仕組みに終止符か

医療機関は消費税法上「非課税」の扱いのため、建物の改築や高額医療機器の購入にかかる消費税を患者に転嫁できず、実質的に医療機関が負担してきました。これを補うために診療報酬上に消費税分を乗せる「補填」が行われてきましたが、日本病院会の相澤孝夫会長は今回の会見で問題点を明確に指摘しました。

「補填というのはマクロの計算なので、一つ一つの病院に細かに対応していない。そこに不公平が生まれている」(相澤会長)

さらに、過去に補填計算のミスが2度発生していること、建築費の高騰により消費税負担が膨らんでいること、そして消費税率がさらに引き上げられる議論があることも加わり、「診療報酬による補填を継続することはもう実質的に難しい」との認識で常任理事会内の意見はほぼ一致したといいます。

「曖昧な要望では解決しない」——具体策の検討へ

では補填に代わる方式は何か。会議では主に二つの方向性が議論されました。一つは医療機関を「課税」扱いとしたうえで、食料品と同様のゼロ税率または軽減税率を適用する案。もう一つは非課税のまま何らかの還付措置を講じる案です。

病院団体としてはこれまでゼロ税率適用を求める立場が主流でしたが、相澤会長は「要望が曖昧なままでは、省庁も対応のしようがない」と踏み込みました。

「これまで『課税にしてくれ』『ゼロ税率にしてくれ』と言ってきたが、では診療報酬に溶け込んでいる既存の補填分をどう切り離すのか、診療所・病院・その他の医療機関それぞれをどう扱うのか——そこまで一度も具体的に示したことがなかった」(相澤会長)

記者団から「なぜこの問題が長年解決しないのか」と問われると、相澤会長は「我々の要望が曖昧だったから」と自己分析し、今後は詳細な提案書をまとめたうえで病院団体・医療界全体への提案に進む考えを示しました。

目標は2030年度改定——28年は「厳しい」

記者団から制度改正の目標時期を問われると、相澤会長は「2028年度改定に間に合わせるのはなかなか厳しい。2030年度を一応の目標として進めたい」と回答しました。診療報酬改定のタイミングでなければ制度変更が難しい構造上、具体的な提案をまとめる時間的猶予はそれほど多くありません。

今回の常任理事会はあくまで「第1回の議論」と位置づけられており、次回も引き続き方向性の検討が行われる予定です。病院団体間での合意形成や、他の医療団体への提案プロセスも今後の焦点となります。

まとめ・今後の展望

2月28日の日本病院会常任理事会では、医療機関への消費税補填を診療報酬で行う現行方式の限界が確認され、課税化+ゼロ税率/軽減税率の具体的検討へと議論が移行しました。次回理事会でも引き続き方向性が議論される予定で、一定の方針がまとまり次第、病院団体・医療界への提案に進む見通しです。制度改正の目標時期は2030年度診療報酬改定。今後の議論の行方は、報酬体系全体に影響する可能性があります。

医療機関の消費税負担、診療報酬による補填は「もう限界」──日本病院会が方針転換を議論

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