訪問看護の「インセンティブ」を廃止した理由。全社員に不採用権を渡す会社の組織づくり

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株式会社isLand 島社長インタビュー

訪問した件数の分だけ、給料が増える──訪問看護では当たり前の「インセンティブ」を廃止した会社が、東京・町田にあります。社長に理由を聞くと、返ってきたのは「社員が休めなくなる」という答えでした。

株式会社isLand。訪問看護・居宅介護支援・訪問介護あわせて7拠点を町田市内で展開し、代表の島一仁さんは理学療法士です。病院1年、訪問看護1年を経て、社会人3年目で起業。小学校の文集には「25歳で経営者になる」と書いてあったそうです。

変わっているのはインセンティブだけではありません。採用では全社員に「不採用権」を渡し、誰か一人が「なし」と言えば社長でも採用できない。目指すのは、町田で0歳から100歳までを支える「イオンモール」。業界の常識と逆を行く選択の理由を、原点までさかのぼって聞きました。

町田で7拠点 ── 株式会社isLandはどんな会社か

輪違 輪違
本日はよろしくお願いします。まず、島さんがやられているisLandが、現在どのような事業を展開しているのか教えてください。
島さん 島さん
よろしくお願いします。もともと2022年6月に創業した会社で、同じ年の9月に訪問看護から始まった会社です。今は訪問看護が3拠点、居宅介護支援事業所が3拠点、あとは訪問介護が1拠点で、町田市内で7事業所をやっています。
輪違 輪違
訪問看護、ケアマネ、ヘルパーが全部そろっているんですね。しかも同じフロアにいると伺いました。
島さん 島さん
そうですね。介護もケアマネも同じフロア内で、仕切りもなく、テーブルを分けているだけなので、全職種がいます。訪問看護のほうはPT・OT・STが全員そろっていて、そこは自分の中で大事にしているところです。

株式会社isLand

2022年6月創業(町田市)。「ピース訪問看護ステーション」3拠点、「ピースケアプラン」3拠点、「ピースサポート」(訪問介護)1拠点の計7拠点を展開。2024年には医療・介護分野のSNSマーケティングと動画制作を手がける株式会社isLand Mediaを設立。2026年1月にはピース訪問看護ステーションがISO9001(品質マネジメントシステムの国際規格)の認証取得を公表し、同月には地方創生メディア「Made In Local」が選出する「多摩地域を代表する企業100選」にも選ばれている。2027年1月には精神科訪問看護ステーションの開設を予定。

「25歳で経営者になる」と書いた小学生が、訪問看護から始めるまで

輪違 輪違
最初にisLandを立ち上げたとき、何を実現しようという会社だったんですか。
島さん 島さん
やりたいことは色々あったなかで、今やっていくなら何が一番リスクが少なく、自分でもできるかを考えました。デイサービスのような箱をもつ勇気はなかったんです。前職で訪問看護に入ったのも、訪問看護でやろうと決めていたからです。
 
正直、一理学療法士が本気で地域を考えたらどうなるんだろうというワクワクから始まった部分もあります。
輪違 輪違
そもそも、なぜ起業しようと思ったんですか。
島さん 島さん
21歳で3年制の学校を卒業してPTになって、総合病院に行ったんです。病院もすごく好きで、楽しかったです。ただ、病院の近くの居酒屋で、何も改善しないであろう社会の文句を言ったりしていました。当時はそれで全然よかったんです。
 
そんなときに実家に帰って部屋を掃除したら、小学校の文集が出てきたんです。将来の夢に「僕は25歳で経営者になる」って書いてありました。衝撃が走りましたね。今の自分は社会に文句をつけるしかできない。なんてつまらない人間なんだろうって、思ったんです。
輪違 輪違
それで、その日に動いたと。
島さん 島さん
「25歳で起業」と書いていた子どもの頃の自分を、かっこいいと思ったんです。もう一度そういうことを言える人になりたい。その日に、お金を持っていそうな人に声をかけて、「俺は経営者になりたいんだ」と言って回りました。
 
当時は何で起業するかも考えていなくて、正直「何でもいいから社長になりたい」でした。いろんな経営者さんに会う中で、「そんな思いで社長になんかなれない」と言われて。「今まで自分がやってきた経験を活かしながら、どういうものを作りたいかをちゃんと考えてやりなさい」と。
輪違 輪違
そこで福祉に戻ってきたんですね。
島さん 島さん
親も介護をやっていて、祖母も介護をやっていて、姉も看護師なんです。小学校の頃にデイサービスの夏祭りでたこ焼きを作ったこともありました。ずっと福祉に関わってきたんです。好きだなと思っていたので、まずは福祉で。その中でリスクが少なくできるのが訪問看護だと思い、訪問看護からはじめました。
輪違 輪違
経歴としては、どんな順番だったんですか。
島さん 島さん
総合病院の急性期で、脳外科にいました。脳卒中のリハビリテーションが一番好きで、脳卒中系の勉強会にもいろいろ出ていましたね。1年勤めて、その間に病院の訪問リハビリも経験して、訪問看護に転職して、1年で起業した感じです。
輪違 輪違
起業されたのは、社会人何年目のときですか。周囲の反応や、不安みたいなものはどうだったんですか。
島さん 島さん
社会人3年目ですね。不安はなかったです。ノリです。「いけるっしょ」って。20代前半なんて、正直なにも分からないじゃないですか。家族もいなかったので、最悪なんとかなるかという感じでした。
 
むしろ今この状態で起業するほうが、よっぽど怖いなと思います。起業して5年目になって、いろんなことを知り始めたので。

isLandと「ピース」── パズルを1ピース外した理由

輪違 輪違
isLandという社名と、ピースという事業所名。それぞれどういう思いが込められているんですか。
島さん 島さん
isLandに関しては、私の叔父が社長なんです。母の兄で、その叔父の奥さんも社長。二人とも「アイランド」を冠した会社をやっています。私が社名を考えているときに叔父が入ってきて、「お前、アイランド以外は選べないぞ」と言われました。
輪違 輪違
island、島。分かりやすくていいと思います。
島さん 島さん
島だから、単純にアイランドですね。ただ、ロゴはかっこよくして、ちょっと差をつけたいと思って、「iL」のLだけ大文字にしているんです。シンプルでかっこいいなと思って。
輪違 輪違
では、ピースのほうは。
島さん 島さん
私はもともとコンプレックスの塊で、「自分なんて」と思っていました。でも前提として、いらない人はいないと思っているし、いらない企業もないと思っているんです。ただ、自分の居場所を間違えている人が多いだけだと思っています。
 
今の仕事はすごく楽しいし、当時の自分ではできなかったこともできるようになっている。けど、みんなが社長になればいいわけでもないし、うちに来たら合うわけでもありません。うちで合わない人は他で活躍する人もいるし、他で活躍できなくても、うちに来たら活躍できる人もいます。
 
それで、パズルのピースを1個外して、そのピースをロゴにしているんです。うちがあなたの最後の居場所になるのか、それとも違うところでも活躍できるのか。そこに余白を持たせたくて、1個外しています。人の居場所づくりがしたくて、ピースという名前にしました。

株式会社isLand パーパス

「一緒」だから
「踏み出せる」「一歩」がある

一人ではなかなかハードルが高い。やる気があってもやり方がわからない。
私なんて、と卑屈に考えてしまう。──そういった方々の「やりたい」を叶える。

創業期の壁は、全部「人」だった

輪違 輪違
創業当初、最も苦労したことはどんなことでしたか。
島さん 島さん
人ですね。最初のメンバーは全員SNSで採用したのですが、全員年上でした。
 
初めて雇用契約を結ぶまでは、自分だけでコントロールできます。資金調達もして、そこまでは「いけるよね」という感覚でした。いざメンバーが入ってきたとき、私はリーダーになったことも、役職についたこともありませんでした。唯一参考にできたのは、部活のキャプテンだったことぐらいなんです。
輪違 輪違
サッカー部のキャプテンでしたっけ。マネジメントを学んでから起業したわけじゃないですもんね。
島さん 島さん
そうなんです。社会的なマネジメントは分からず、ワンピースやスラムダンク、メジャーといった漫画・アニメの体育会系のマネジメントしか分からない状態でした。どう声かけをすればいいのか、どう進めればいいのか、どう言ったら思うように一緒に進んでくれるのか。そこにめちゃくちゃ苦労しました。
輪違 輪違
数字のほうは苦労しなかったんですか。
島さん 島さん
最初のキャッシュフローは、すごく単純なんです。使う経費も少ないし、人件費と売上、あとは消耗品の経費ぐらいしかかからない。損益計算書もキャッシュフロー計算書も簡単で、見ていればなんとなく理解できます。最初は「とりあえず売上を上げないといけないよね」ぐらいなので、数字はそこまで大変ではありませんでした。やっぱり、人ですね。
輪違 輪違
起業前に思い描いていた会社と、現在の会社にはどんな違いがありますか。
島さん 島さん
起業前は全体像が見えていなくて、まず訪問看護からやって、やりながら足りないものを作っていこうという感じでした。訪問看護をやっている未来はすごく見えていたんですよ。居宅をいつオープンして、介護をやって、みたいなところまでは見えていなかった。地域でどういう立ち位置になりたいとか、どういう役割を持ちたいというのも、創業時は全くなくて。とりあえずやっていこう、みたいな感じだったんです。
 
そこからパーパスを作ったり、企業理念を作ったりして、ようやく自分の中でイメージができるようになりました。フェーズごとに見える世界も課題も違います。企業理念も変化します。だから、思っていたものと違うというより、解像度が上がっただけと捉えています。

「疾患の誰々さん」から、「誰々さんに疾患がある」へ

輪違 輪違
訪問看護でのリハビリでは、病院や施設でのリハビリと比べて、どのような力が求められると思いますか。
島さん 島さん
ちょっと回答がズレますが、急性期にいたときは疾患で人を見ていたんです。「何々疾患の誰々さん」みたいな。脳外にいるとやっぱり脳出血や脳梗塞が多くて、「脳出血の誰々さんで、感覚障害があるよね」と患者さんをみていました。急性期のあり方としては間違っていないと思いますし、しっかり病気を見て、リスク管理をしてというのは正しいとは思います。
 
訪問の経験で変わったのは、「誰々さんが、何々の既往歴がある」になったこと。その人がいて、その下に疾患が何かある。「島がいて、理学療法士を持っている」というイメージです。病院にいると「理学療法士の島さん」でした。順番が逆になったというか、人を見られているというか。そう見られるのが、すごく楽しかったんです。
輪違 輪違
人を見る力、全体像を把握する力ということですね。
島さん 島さん
全体像を把握しながら、専門職としてできることをやって、できないことは人にも頼る。病院時代は福祉用具が本当に嫌いだったんです。PTとしてやっぱり歩かせたいという気持ちが強くて、「手すりを引いて歩いたら、代償動作が出ちゃう」と思っていました。
 
病院時代に、ある女性の患者さんに会ったんです。「這ってでもいいから、主人を玄関に迎えに行きたい」と言われました。私は「何を言っているんだ、僕はPTだぞ」と思って、「歩きましょう」「車椅子に乗りましょう」と言っていたのですが、結局その方は、這って玄関に行く練習をしたんです。
 
その後、外来で来てくれたときにリハ室に寄ってくれて、「這って迎えに行って、本当に幸せなんですか」と聞いたんです。そうしたら、迎えに行けることがすごく幸せだと言ってくれました。
 
それを言われたときに、歩くってあくまでも手段でしかなくて、目的はその玄関に迎えに行くことじゃないかと。「生活、見れてねぇな」ってすごく思ったんですよ。叶えるためだったら何をしてでも叶えたいはずなのに、疾患から入ったときにPTのエゴが入っていました。生活を見られるようになったとき、それがすごく楽しくて。全体像を見ることの大切さを知った経験です。

「自分の親にできるリハビリは、いいリハビリ」

輪違 輪違
ピースの訪問看護で、PT・OT・STに、社長としてどのような役割を期待しているんですか。
島さん 島さん
訪問看護としてプロフェッショナルな人たちを派遣したいというのは、もちろんあります。うちはPT・OT・STが全て揃っていて、そこは自分の中で大事にしているところです。
 
プラスアルファとして、私たちは看護師の代わりにリハビリを行っていると理解してほしい。訪問リハビリと、訪問看護からのリハビリの違いを理解してほしいと思います。
輪違 輪違
リハビリの中身について、島さんが大事にしている基準はありますか。
島さん 島さん
大事にしているのは、自分の親にできるかどうかなんですよ。自分の親にできるリハビリは、いいリハビリだと思うんです。
 
なぜならば、その人が大事だから。その大切な人のために考えて行ったプログラムって、手を抜いているわけがないと思うんですよ。自分の親にできるリハビリなのかどうかを重要視してやってもらいたいです。
 
会社を通して、親を任せられる会社を作りたいんです。みんなが何かあったときに頼れる会社であり続けたいと思っています。そういった訪問看護を、みんなで作ってもらえると嬉しいです。

全職種が対等でなければ、地域は見られない

輪違 輪違
看護師とリハビリ職が連携する上で、大切にしていることはありますか。
島さん 島さん
対等でいてほしいと思います。訪問看護だから看護師が偉いとは思いませんし、リハビリが偉いとも全く思っていません。うちは介護もケアマネも同じフロア内で、仕切りなくテーブルだけ分けているので、全職種がいます。介護と看護師が話しているときに、看護のほうがちょっと上にいるような構図になっているのは、違うと思うんです。
輪違 輪違
訪問看護と居宅が併設していると、ケアマネに「自社に必ず紹介しなさい」というところもありますよね。
島さん 島さん
そこのノルマを一切設けていないんです。お互いに「受けてくれてありがとう」「依頼をくれてありがとう」という関係です。看護師だけで解決できる社会問題なら、看護師が偉そうにしていてもいいと思います。けど、地域を見るのは看護師だけでは無理で、リハビリだけでも無理で、ケアマネだけでも無理で、もっと言うと医師だけでも無理だと思っているんです。「対等に」を大事にしています。
 
もちろん、社内では、という話です。社外の方と接するときは謙虚に。社内では遠慮なく意見を言い合って、しっかりやろうというスタンスです。
輪違 輪違
それがないと、どうなるんですか。
島さん 島さん
よく例えるのが入浴なんですけど、訪問看護でお風呂に入ると介護と比べると高いです。訪問看護からすると一時的な減収になるので、介護に移管しないということがあります。うちは積極的に移管しています。
 
適正なところでサービスを受けることが、収益も上がると思っているし、社会保障費も下がると思っています。そういう世界を町田で作りたいと思っています。

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インセンティブを、廃止した

輪違 輪違
島さんのところは、インセンティブ制じゃないんですか。
島さん 島さん
うち、インセンティブを4月で廃止したんですよ。
輪違 輪違
本当ですか。訪問看護でそれは、なかなか思い切った判断ですよね。理由は?
島さん 島さん
まず、休みにくくなるじゃないですか。有給を使わずに働きたくなってしまう。例えば80件以上で、1日あたり3万円くらい出るとします。そうすると「来月子どもの誕生日があるから、今月は休みたいけど、休んだらプレゼントが買えない」となってしまう。有給取得率が悪くなると思っています。
 
インセンティブだと、稼働日数が毎月毎月違うので、収入が安定しません。いいときもあれば、悪いときもあって。経営はインセンティブのほうがすごく楽だと思うんですよ。単純に、訪問した分だけ還元しているだけなので。
 
それよりも、全体の給与を上げて、会社としての仕事をちゃんとやってほしかったんです。
輪違 輪違
インセンティブを引いていると、究極、個人商店になりますもんね。いかに自分が件数を回っているかが勝負になってくる。
島さん 島さん
そうなんです。教育するくらいだったら、訪問に行きたいじゃないですか、普通に。委員会もお金にならない。会社のための仕事をしたくなくなる構造が、すごく嫌でした。
 
あとは、利用者さんが入院しちゃったときも、インセンティブがあると「あぁ」ってなるじゃないですか。それっておかしいわけです。入院すべき人は入院すべきです。インセンティブがあることによる弊害を感じました。
輪違 輪違
代わりに何を入れたんですか。
島さん 島さん
ラダーを導入して、教育をやっていこうと切り替わっている段階ですね。安定して組織が大きくなれば、もっと給料を払えるはずなので。そうすると新入職の方にも、前職より収入を下げずに済むかなと思っています。
輪違 輪違
ただ、インセンティブがあるところのほうが、提示する年収は高くなりますよね。採用で競り負けませんか。
島さん 島さん
そうですよね。見せ方としては、年俸制のほうがいいなと思うときもあります。
輪違 輪違
ただ、みんな月給で見ていますからね。
島さん 島さん
そうなんです。今は年俸制と月給制で選べるようにするのがいいかなと検討しています。月額が多いほうがいいという方もいれば、賞与でほしいという方もいるので。

isLandがインセンティブを廃止した4つの理由

1. 休めなくなる:1日3万円が飛ぶと分かっていて、有給は取りづらい

2. 収入が安定しない:稼働日数は毎月変わる

3. 会社の仕事をしなくなる:教育も委員会も「お金にならない」=個人商店化する

4. 利用者の入院を喜べなくなる:入院すべき人が入院すると困る構造は、おかしい

→ 代わりにラダー(段階的な教育・評価の仕組み)を導入し、全体の給与水準を底上げする方針へ転換。

全員に「不採用権」を渡した

輪違 輪違
採用のとき、経験や技術以上に重視して見ているものは何ですか。
島さん 島さん
私があんまり人を見る目がないんですよ。それで失敗をしてきました。いざ現場に入れると「社長が連れてきた人ですよね」という空気になるんです。
輪違 輪違
それで、どう変えたんですか。
島さん 島さん
今までは私との面接だけだったんですけど、1、2年ぐらい前から変えています。必ず朝礼に出ましょう。同行訪問に半日は行きましょう。それで面接をしましょう、という形に変えています。
 
そのときに何を見ているかというと──みんなに、「不採用権」を与えたんですよ。採用権は私にしかない。けど、誰か一人でも「不採用」と言ったら、不採用にしているんです。
輪違 輪違
一人でも、ですか。それは何を狙ってのことですか。
島さん 島さん
「みんなで選んだよね」という状態にしたいんです。不採用にするのは直感でOKにしています。この年齢になると、「この人、合う・合わない」は会えばなんとなく分かるものです。今まで面接をしてきて、「ちょっと違うな」と思った人は、やっぱりちょっと違うことのほうが多かったです。
 
もともとは「いい人を入れたい」と思っていましたが、今はどちらかというと、変な人を一人でも入れたら組織が一気に崩れる可能性があるから、合わない人をいかに入れないか。そういうフィルターを強くしています。
輪違 輪違
管理職については、どういう基準で選んでいるんですか。
島さん 島さん
管理職をやりたいという人よりも、「この人が管理職なら応援したい」とみんなが思う人を、管理職に置きたいんです。みんなから応援されている人が一番だと思っているので。そこが管理職の前提としてあったらいいよね、という条件にしています。
 
管理者をやってくれている看護師がいるんですけど、みんなが本当によく支えてくれていて。管理者としての能力は、良くも悪くもなく、いい感じのバランスが取れている人なんです。周りが「大丈夫ですか、大丈夫ですか」と支えてくれていて、すごくいい構図だなと思います。ただ、組織作りは本当に難しい。やっと整ったと思ったら、違う問題がどこかで発生します。
輪違 輪違
これまで組織を作っていく中で、最も大きな失敗や反省はどんなことでしたか。
島さん 島さん
入った人が管理者とぶつかって、二人とも辞めることになった、というのがありました。2年目ぐらいのときです。「大嵐が来る可能性があるぞ」と思ったけど、「大丈夫でしょう」と思ってやったら、大嵐が確定して起きたという失敗です。
 
退職理由は、だいたい「一身上の都合」と書くものです。その人は「ステーションに馴染めなかったため」と書いて辞めていきました。

「やってみよう」が残る組織 ── ワールドカップ休暇ができた日

輪違 輪違
isLandらしい職員には、どんな共通点があるんでしょうか。
島さん 島さん
結構、「やってみよう」みたいな感じの人が多い気がします。私自身がそういう人間なので。AIもそうですし、DXで連絡ツールを一気に変えてみたりと、「こっちのほうが良さそうだったらやってみよう」で、コロコロ変えてしまうんです。いいと思ったらどんどん入れます。
 
この間はワールドカップ休暇を作りました。あれも社員と話していて、「サッカーいいよね、じゃあ休暇作っちゃおうか」という流れでできたものです。だから、変化を楽しめない人は辞めていく傾向はあると思います。
輪違 輪違
逆に言えば、意見がすぐ形になるということですね。
島さん 島さん
自分の言った意見が、即反映される環境ではあります。意見がなかなか通らない、言ってもどうせ通らないと諦めていたような人たちが、うちに来て意見を言ったときに変わる。本当に、変化を楽しめる人たちが残っています。
輪違 輪違
職員が安心して挑戦したり、意見を言えたりする組織にするために、どんな仕組みを設けているんですか。
島さん 島さん
今、メディア事業をもっていて、動画編集なんですけど、そこはPTに社長をやってもらって、子会社にしているんです。ただ、「会社を作りましょう」「何かやりましょう」と大々的にやっているというよりも、バイトも全部OKで、「やりたいことがあったら言ってね、応援できることはやるよ」というスタンスです。
 
うちは「一緒だから踏み出せる一歩がある」というパーパスがありますが、会社を使って、私個人を使って、何か挑戦できることがあればしてほしいというのを伝えています。
 
今後は、訪問看護の独立制度みたいなものを作っていこうかなと思っています。

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「公平か」を、毎日考える

輪違 輪違
島さんが仕事をする上で、今もっとも大切にしている言葉や価値観を教えてください。
島さん 島さん
会社の中で、公平かどうかはすごく考えます。誰かにとっての100点は、誰かにとっての60点の可能性があると思っていて。みんなの80点を取れるようにしたいと思っているんです。
 
会社に入ってくるスタッフは多分100点の状態で入ってくるんです。「この会社に入ったら何か変わるかもしれない」と思って期待します。転職するときに、0点で入ってくる人はいないはずです。100点で入ってきて、そこから減点方式が始まります。
 
逆に会社は、100点ができるとは思っていません。だから基本は20点や30点くらいから始まって、「こういうことをやってくれたんだ」という加点方式です。そこをいかに80点で留めるかを大事にしています。そのバランスが崩れると、みんな辞めていく。私たちから100点を期待しすぎてもよくないと思っています。
輪違 輪違
他にはありますか。
島さん 島さん
あとは給料をもらっている順に働けと思っています。自分が一番働くと決めているんです。「4時間で君たちの成果が出る」といった社長の言葉もありますが、私は4時間で同じ成果が出るなら、8時間働いて倍出せよと思うタイプです。質より量。まだ量をこなせる体力はあるので、そこも大事にしています。

町田で「イオンモール」を目指す ── 0歳から100歳まで

輪違 輪違
事業を拡大していく中で、町田という地域にこだわっている理由は何かあるんですか。
島さん 島さん
単純に、分かりやすいブランディングというのはありますよ。町田は人口43万人以上いる地域で、やりたいことができる規模感があります。私は地元が町田ですから地元愛ですね。
 
多店舗展開をして全国に広めることには、ロマンを感じないんです。その地域で「うちがいなきゃ」という立ち位置を取れるのは、すごくいいなと思っています。
輪違 輪違
「うちがいなきゃ」という状態。具体的には、どんなイメージですか。
島さん 島さん
昔、八百屋がスーパーになって、スーパーが今、イオンモールみたいな商業施設になったように、これからの医療も似たような需要になると思っています。ここに頼めば全部が揃うというのが、理想なんです。それをやるには、資金も、時間も、能力も、一つの地域でないと無理です。市では「うちに頼んどけば、なんとかなるよね」という状況にしたいんです。
輪違 輪違
今後、特に力を入れていきたい利用者の層や、支援領域はありますか。
島さん 島さん
まず精神疾患領域に挑戦します。あとは就労支援です。これから働く人たちが減っていく中で、働く場所も作る必要があるというのが一本の軸。もう一本が予防ですね。今、サポートをいただきながら、短期集中予防サービス(総合事業のサービスC)などにも取り組みつつあります。
 
あとは大きなところで言うと、小児ですね。子どもをしっかり見ていきたいというのがあって。0歳から100歳まで、全てみられる会社にしたいです。
輪違 輪違
3年後、どのような会社にしていきたいですか。
島さん 島さん
訪問看護で社員100人です。それは達成できると思いますが、看護師の入社時の給与が35万以上、リハが33万以上、という目標もあります。人数を入れるだけであれば達成は容易ですが、うまく機能させて、どう役職を増やしていくかという部分が、一番大変かなと思っています。

isLandが掲げる3年後の姿

■ 訪問看護の社員 100人

■ 入社時給与:看護師 月35万円以上/リハビリ職 月33万円以上

■ 対象領域:訪問看護・居宅・訪問介護に加え、精神/就労・障害/予防/小児へ = 0歳から100歳まで

※いずれも島さんが語る3年後の目標であり、現在の支給額・実施状況ではありません。

「楽しいけど、甘くないよ」── 在宅に挑戦したい人へ

輪違 輪違
これから訪問看護や在宅医療に挑戦したいリハビリ職や看護師さんに、伝えたいことはありますか。
島さん 島さん
起業したい人には、できるだけ早くやってほしいと伝えています。この間も起業したいという人が来て、「経験を積んでから」という相談をされました。起業時期は決めたほうが良いです。
 
訪問看護は増え続けています。資本力があるところが強くなります。最初から全部分かっている人はいません。やりながら勉強して、なんとか成り立っています。「準備ができたら」と考えているなら、起業しないほうが良いです。
輪違 輪違
起業ではなく、在宅で働きたいというリハビリ職や看護師さんには、どうですか。
島さん 島さん
働きたい人には、「楽しいけど、甘くないよ」と伝えたいです。
 
訪問は、私も病院にいたときは少し下に見ていて、「どうせ訪問でしょ」と思っていたんです。回復期や脳外のリハビリが一番花形だと思っていました。でも実際は、在宅ってめっちゃ大変だし、めっちゃ難しいなって思うんですよ。
 
「訪問に行くと楽だよね」と言われたこともありますし、「給料もいいし、楽だよね」と思われがちかなと思っています。確かに給料は、病院よりはいいです。でも、給料がいい理由があります
輪違 輪違
最後に、株式会社isLandは、どんな方に知ってもらいたいですか。
島さん 島さん
私はイオンモールを目指すと決めています。そういう地域づくり、街づくりをしてみたい、やってみたいという人がいたら、ぜひ来ていただきたいです。
 
私の中では100点満点中の20点ぐらいしかできていないつもりでいます。まだまだ、ここからの経過のほうが面白いはずなので、ぜひ来ていただけると嬉しいです。まずは一度、飲みに行って、私と話してもらえたらと思います。

今回のインタビューを通じて見えてきたのは、株式会社isLandが「訪問看護をやっている会社」ではなく、町田という一つの地域を丸ごと引き受けようとしている会社だということでした。インセンティブを廃止したのも、全社員に不採用権を渡したのも、看護から介護へ積極的にサービスを渡すのも、すべて「一人で件数を稼ぐ個人商店」ではなく、地域を支えるチームを作るための選択です。

「這ってでも迎えに行きたい」という言葉から、歩行は手段でしかないと気づいた理学療法士は、今「自分の親を任せられる会社を作りたい」と言います。まだ20点。ここからの経過のほうが面白い。そう語る島さんと、同じ地図を見てみたい方は、まずはisLandに話を聞いてみてください。

isLandで、新しい一歩を

「一緒」だから「踏み出せる」「一歩」がある。
町田で、0歳から100歳までを支える会社を目指して。
あなたの意見が、明日には形になる場所へ。

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