熊本地震で診療報酬の災害特例発動 回復期リハ病棟の「要件外入院」は除外判定、専従派遣も要件維持

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7月28日16時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宇城市と八代郡氷川町で最大震度7を観測しました。気象庁はこの地震を「令和8年熊本地震」と命名。厚生労働省は発災当日から、保険証を提示できない被災者の受診や診療報酬の施設基準に関する特例など、医療機関向けの事務連絡を相次いで発出しています。回復期リハビリテーション病棟や専従職員の取り扱いも明記されており、被災地のリハビリテーション専門職に直結する内容です。

診療報酬の災害特例、原則8月31日まで適用

厚労省保険局医療課は29日付の事務連絡で、令和8年熊本地震が課長通知「災害発生時における保険診療関係等及び診療報酬の取扱いについて」(令和8年3月31日付・保医発0331第2号)に規定する「対象となる災害」に該当し、8月31日までの間、同通知に定める特例が適用されると周知しました。同通知は、従来災害のたびに個別の通知で示してきた取り扱いをあらかじめ包括的に定めたもので、今年3月に整備された枠組みです。避難所での保険診療の取り扱いなど一部の項目は8月31日以降も、災害による事情が終了するまで適用されます。

特例の柱は施設基準の弾力運用です。被災者の受け入れで入院患者が一時的に急増した場合や、被災地への職員派遣で職員が一時的に不足した場合、月平均夜勤時間数に1割以上の変動があっても変更の届出は不要とされます。1日当たりに勤務する職員数の変動についても同様で、対象職種として看護要員とともに理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、臨床検査技師、精神保健福祉士、公認心理師が明記されました。届出を省略した医療機関は、患者の急増や職員派遣の事実を記録・保管しておく必要があります。

施設基準上「専従」とされている職員が被災地の支援業務に派遣された場合も、そのことのみをもって専従要件を満たさなくなるものではないとされています。医療法上の許可病床数を超えて被災者を入院させた場合は、入院した月に限り入院基本料の減額措置を適用しません。

回復期リハ病棟に「要件外」の患者が入院したら

被災地の医療機関から転院を受け入れるなどして、回復期リハビリテーション病棟に施設基準の要件を満たさない状態の患者が入院した場合は、当該患者を除外して施設基準の要件を満たすかどうかを判定します。

許可病床数を超過して転院を受け入れ、一般病床の回復期リハ病棟に入院した場合の入院料は、当該特定入院料が求める看護配置(15対1)に対応する15対1一般病棟入院基本料を算定します。平均在院日数や重症度、医療・看護必要度、在宅復帰率などの指標も、被災地から受け入れた転院患者を除いて算出できます。

保険証・受給者証がなくても受診できる

発災当日の28日付事務連絡では、マイナ保険証や資格確認書を紛失・自宅に残したまま避難した被災者について、氏名、生年月日、連絡先(電話番号等)に加え、被用者保険の被保険者は勤務先の事業所名、国民健康保険・後期高齢者医療制度の被保険者は住所を申し立てることで受診できる取り扱いが示されました。

難病医療や精神通院医療、生活保護の医療扶助といった公費負担医療も、受給者証や医療券を提示できない場合は氏名等の申し出で受診でき、緊急の場合は指定医療機関以外でも受診可能です。オンライン資格確認等システムの「緊急時医療情報・資格確認機能」は、熊本市、八代市、宇城市など県内21市町村の医療機関・薬局を対象に8月3日までアクティブ化され、保険資格情報や医療情報の特例的な閲覧に活用できます。

避難所の応急医療は保険診療の対象外、継続的な訪問診察は算定可

都道府県知事の要請に基づきDMATや日本赤十字社の救護班などの医療チームが避難所等で行う応急的な医療は災害救助法の補助対象であり、保険診療としては扱われず、一部負担金を患者に求めることもできません。被災地の医療機関の医師等が自発的に避難所を巡回して行う診療も保険診療の対象外です。避難所にある程度継続して居住する通院困難な患者に対し、同意を得て継続的に訪問診察を行った場合は、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)を算定できます。

保険薬局では、災害時の特例として通常の様式によらない処方箋でも保険調剤として取り扱えるほか、被災した患者が処方箋を持参せずに調剤を求めた場合も、交通の遮断などやむを得ない理由で医師の診療を受けられず、主治医等との電話やメモ等で処方内容を確認できるときは、事後的に処方箋が発行されることを条件に保険調剤として対応できます。介護分野でも老健局から、介護報酬等の柔軟な取り扱い(基準緩和等)や被災した要介護高齢者等への対応に関する事務連絡が発出されています。

まとめ

災害時の診療報酬の取り扱いは、これまで災害が起きるたびに個別の通知で示されてきましたが、今年3月31日の包括通知により、基準を満たす災害では個別通知を待たずに特例が適用される仕組みに変わりました。令和8年熊本地震はこの枠組みの適用対象となった災害です。同通知は「災害によってはこの通知の他にも通知を発出することがある」としており、今後も追加の事務連絡が発出される可能性があります。

参考資料:厚生労働省各事務連絡(令和8年7月28日・29日付、全日本病院協会 医療行政情報ページ掲載)令和8年熊本地震の地震活動の関連情報(気象庁)令和8年熊本地震に関する情報(地震調査研究推進本部)

熊本地震で診療報酬の災害特例発動 回復期リハ病棟の「要件外入院」は除外判定、専従派遣も要件維持

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