前回の続き。
糖尿病患者に対する運動療法のリスク管理
以下の図を見てください。食事療法や運動療法で血糖値のコントロール不良の方の治療薬の進め方が示されています.Aさんが担当されたご活用者様はSU薬を内服されているということは,糖尿病でも進行例の方だということが分かります.ここからリスクが高い方だったと想像できます.
医療情報科学研究所
メディックメディア
販売価格 ¥3,564
(2016年10月7日1時16分時点の価格)
売上げランキング: 1077
そして次のポイントが「SU薬がインスリン分泌を促進する」ということです.しかもSU薬ですので,膵臓β細胞への負担は大きいということですね.
糖尿病の方なので,インスリン分泌を促すのは当然と言っては当然のような.
そうですね.ではAさん,糖尿病薬を内服している方のリスク管理としては何を挙げますか?
例えば糖尿病の方への運動療法で注意する点として何を習いましたか?
運動負荷に起因する低血糖症状に注意することを習いました.
そうですね.糖尿病と運動療法について,低血糖症状のリスク管理は重要ですね.下の図表はそれぞれ糖尿病の方に対する運動療法についてです.これは
理学療法士としてしっかり学習されてきたかと思います.
医学書院
販売価格 ¥2,484
(2016年10月6日22時16分時点の価格)
糖尿病における低血糖症状とはどんな症状?
ここでは運動療法における低血糖リスク管理は省きます.私が伝えたいのは,内服による低血糖,さらに今回の消化器症状に起因する低血糖についてしっかりとAさんに理解してもらいたいのです.ではAさん,糖尿病における低血糖症状はどのような症状を知っていますか?
頻脈,冷や汗,振戦,顔面蒼白,意識レベル低下などかと…
そうですね.高齢者の場合,無自覚な場合もあるので,そこは私たちがしっかりとバイタルサインから評価していく必要があります.
では,ここから核心に迫っていきます.ご活用者様は下痢・嘔吐の消化器症状を呈していたのですよね?このような症状の場合,生体内ではどのような変化が起こりますか?
やはり生理学的知識が弱いですね.これから自らの課題と意識して病態生理学を学んでいきましょう。
シックデイって知ってる?
消化器症状により様々な症状を呈することになります.糖尿病の方は,風邪や胃腸障害など,ちょっとした病気が原因で体調が悪化したり血糖コントロールが不良になることがあります.それをシックデイというので,そのことを覚えておきましょう,
下図をみてください.これら様々な病態を呈することになりますが,ここで一つ一つを確認していくと時間が無くなってしまうので,ポイントを2つに絞ります.「血漿浸透圧上昇」と「糖質摂取量の減少」です.
ここまできたら,何となくご活用者様が低血糖に陥ってしまった理由が分かりますか?
もしかして,ご活用者様は,下痢・嘔吐で食事が十分できていないのに,インスリン分泌促進作用を持つグリミクロンの内服を継続されたことで低血糖に陥ってしまったのでしょうか?
そうです!
下図を参照してください.下痢・嘔吐により食欲不振になり,食事量が激減,もしくは食事未摂取にもかかわらずグリミクロンを内服し続けると,血中の糖の量が減少している荷もかかわらずグリミクロンの量と作用は変わらないので,わずかな糖までも分解してしまう作用を引き起こしてしまうのです.それで低血糖に陥ってしまうのです.
そうでしたか.今回のケースでは,ご活用者様が下痢・嘔吐などの消化器症状を呈された場合,私しか訪問していなかったので,私がSU薬を内服されている状態での低血糖リスクを奥様にお伝えし,合わせて主治医にも専門家として連絡し指示を仰ぐ,もしくは対応してもらうようにするべきだったのですね.
私がこのことを知っていれば,ご活用者様は低血糖に陥ることはなかったかもしれません.意識障害で入院されADL低下もおそらく・・・
病院では,ある意味,看護師が病棟で日々のバイタルチェックをしているし,主治医もいるので病院リハビリでは,あまり意識していない点かもしれません.しかし地域では,我々リハビリスタッフがしっかりと病態生理を理解した上で評価しなければなりません.
地域に関わるスタッフは「生活期リハビリ」といわゆる病態は安定しているとの認識は誤りです.地域に携わるリハビリスタッフは超急性期に常に直面するという意識を持つべきです.
特に我々
LEスタッフは,他のステーションとは一線を画すリハビリスタッフであり続けるため,リハビリスキルは当然のこと,病態生理までしっかりと評価できることを目指しているので,一緒に日々勉強していきましょう.
【目次】
第一回:糖尿病の投薬について生理学的に理解する
第二回:糖尿病のリスク管理を生理学的に解説
監修してくださった先生のご紹介
監修:吉川輝
昭和大学 医学部 生理学講座 助教
LE在宅・施設訪問看護リハビリステーション
LE訪問看護リハビリステーションの教育システム
「訪問リハってひとりで行くから不安…」
そんな方にも安心して訪問できることを目指した独自の教育システム。
LEでは専門職としてのスキルアップにも力を入れています。
入社後は勉強になる先輩セラピストの同行訪問をはじめ、定期的なLEクリニカルラダーや、ステーション単位のカンファレンスも開催します。
経験豊富な先輩スタッフもいるので安心!
資格支援も完備!
LEで無理なく社会貢献!
【詳しくはこちら】 http://www.lovei.co.jp/recruit_sp/
LEの新人研修を徹底調査
地域リハに興味があるけど、まだ経験が…」「新人では無理なのでは…」と思っている方は是非ご参加ください。LE訪問リハスタッフに直接新人研修の内容を聞くことができます。直接話を聞きたいかたは、新人研修を徹底解剖する座談会を開催していますので、下記お申し込み方法か、フォームをご利用ください。日程、時間等はあなたのご希望をお伝えください。
【申し込み方法】
Life On Vital Element株式会社
人事:花口
TEL:03-5774-4400 / FAX:03-5774-4401
(お電話は平日9:00~17:00)
こちらのフォームからもお申し込み可能です。
【求人情報はこちらをご覧ください】
求人の詳細はこちらをごらんください。
※「POSTをみた」と言っていただくとスムーズに話が進みます。