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【生活期での片麻痺アプローチ】家族と本人のすれ違いに対する介入例

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こんにちは!Luxem訪問看護ステーションの白畑です。

今回は、回復期病院から自宅退院した症例の「家族」がキーポイントとなった例についてご報告したいと思います。

 

症例情報

■  40歳代男性 右片麻痺による歩行障害と上肢補助手レベル、運動性失語、妻と子供二人

■ 4か月間、病院でのリハビリテーション後、自宅退院。

■ 以前は配送管理の仕事をしていたが、失語症や、機能低下による精神的ショックで退職。自宅退院後は、いわゆる”引きこもり状態”となる。

 

 

訪問リハ開始

言語、作業療法、理学療法の週40分×3回 の訪問リハを利用。

 

本人は「話せない・歩けないので仕事などは無理」と、短期目標についての話し合いに拒否がみられる。

 

希望は、”歩けるようになる、手足が思い通りになるようなリハビリ”のため、機能改善に対する治療アプローチ以外は消極的であった。

 

意思疎通はなんとかできているが、自宅から外へ受診以外は出る気はない。

 

家族情報

経済的理由で、妻がパートで勤めている。

長男は、社会人で働き始めているが、次女は大学に通学中。

 

家族とリハビリスタッフで今後の相談

リハ職員 仕事を(何らかの形で)復帰する事を目標としていますが、本人としては、『完全に治ってから』という意思が強く、麻痺治療以外のリハビリは消極的になっています…

 

 

 病院でも、今後手や足が以前と同じくらい動くようになる可能性は少ないと聞き、私もそこまでは期待していません。でも、彼が望む事を否定する事はできないという面もあります…

 

私や家族の為に、無理に周りに笑顔を見せたり外へ出て行っても、本人の心の奥で、立ち直れないショックを抱え続ける人生は、私も彼も望むところではありません。

 

 

私は、どういう形であってもサポートはしていくつもりです。

 

今は殻にこもり、現実を見られずに時間が止まってしまっていますが、彼自身で立ち上がって人生を歩ければ、私たちも含め”本当の幸せ”になれると思います。

 

 

難しい夫ですが、お力をかりられること、本当に感謝しています。

 

 

リハ職員  ……分かりました。こちらも全力でサポートしていきます。

 

 

現在の介入

■ 上肢や下肢の機能訓練時に、【本人も知覚できる変化】の共有を強化

 

➡ 麻痺側の感覚の改善や、立脚時の安定などが少しでも得られた場合には、解剖学や神経生理学的背景を説明し、生活上でのポイントを徹底して伝える。(理解が不十分でも、詳細に伝えるという行為自体が大切)

 

もちろん、【機能的にどういう変化を期待できるか】という本人の希望を中心に。

 

■ 本人の希望である、機能改善後の就労や外出に関しての話題提起はしても、無理に現状の能力と結びつけない。

  

➡乖離した機能は、本人が【今】見たいものではない。

 

■ 自発的な目標に対して、その都度プログラムを強化。(あくまでも本人にとって魅力的な目標でなければいけないので)

実施例)・外出時に妻の介助なしで、床からの立ち上がりがしたい

➡麻痺側の管理が難しいが、非麻痺側を脱力することがコントロールの第一歩であるという切り口から行い、脱力した方が【楽で、成功しやすい】事を感じてもらう。また、家族にもチェックしてもらい、成功体験を共有する。

 

〜〜〜

 

担当は、今まで以上に「片麻痺治療のスキルアップ」、「職業復帰の為の情報収集」、「障害後の精神的フォロー」の学習に励んでいます。

 

また、ステーション内では【人が生きる上で、その人の幸せの形とは何か】についても、時々話し合うようになってきています。私たちは、看護やリハビリテーションの専門職である以上、その分野に特化したサービス提供を求められます。

 

ただし、接するのはあくまでも機能面ではなく人間です。機能の先にある、その人の幸せやニーズを評価することを再確認させられました。

 

 

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【生活期での片麻痺アプローチ】家族と本人のすれ違いに対する介入例

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