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日本理学療法士学生協会を立ち上げた理由【成瀬文博先生|理学療法士|株式会社エブリハ 代表取締役】

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就職はしていないです

――理学療法士になったきっかけを教えてください。

 

成瀬先生 実は大学へ入学するまで理学療法士を知りませんでした。大学では、医学部を受験しましたが不合格になりました。後期では合格圏内の大学として、神戸大学医学部保健学科を受験したため、入学まで理学療法士を知りませんでした。

 

入学してからわかったことですが、結果的には医者より向いているなと思いました。それに気づいたのは、4年の頃でしたが、「人に元気を与える仕事だな」と思えたのです。

 

バイトが忙しく1年間大学を休学したこともあり、不真面目でしたが、魅力に気づいてからは、勉強をしっかりしましたね。

成瀬文博

理学療法士、株式会社エブリハ代表取締役、神戸女子大学非常勤講師。2005年神戸大学医学部保健学科理学療法学専攻卒業。専門分野は行動科学および高齢者と生活習慣病に対する運動療法。急性期病院、介護施設での勤務、クリニックにおけるリハビリテーション室立ち上げなどを経て、介護施設における教育とコンサルティングを中心に活躍中。「人々の自立支援と健康増進」を理念とし、全国各地の介護施設において効果の出る運動の方法や介護方法の提案と人材教育を実施。

株式会社エブリハは「人々の健康増進をサポートする」企業として、健康経営のコンサルティング、産業医と連携した従業員の健康サポート事業を行なっている。

 

―― 就職はどちらに?

 

成瀬先生 就職はしていないです。正規職員としての就職はしていません。病院や介護施設の非常勤勤務をしていました。

 

 実は学生の頃、謝恩会の実行委員などの活動を行なっていたため、就職活動もしないまま卒業年の3月31日を迎えてしまいました。結局、ハローワークに行ってバイトを探しましたが、「時給の高いところから教えてください」と伝えたら、お説教されてしまいました(笑)

 

当時はまだ、時給3,000円という募集もあり、リハ室の立ち上げをいくつか経験できました。その頃の経験は、非常に役立っています。理学療法士のバイト以外にも、コンサートのバイトや家庭教師をして、掛け持ちを2~3年ほど行なっていました。

 

「理学療法士ってこんなもんか」

―― 理学療法学生協会(JPTSA)を始めたのは?

 

成瀬先生 皆さん学生の頃、実習行くでしょう?私たちも3年時に、見学実習があり、初めて臨床の場に出ました。最初に思ったのは「理学療法士ってこんなもんか」ということでした。

 

「なんでこの人は理学療法士なのにマッサージばかりやっているんだろう」や「この先生、LCSが何の略かわからずに使っているんだ」など、想像していた理学療法士の姿と現実にギャップを感じ、疑問に思い始めました。

 

実習終わってから同級生に聞くと、みんなが同じことを思っていました。

 

同じ大学を卒業した、他学部の学生は年収600〜700万ほどあります。それなのに理学療法士は年収300万。

 

「この格差はなんだろう」と感じたときに「他校の学生の話も聞いてみたい」と思い、直接広島までいき、飲み会を開催しました。

 

「理学療法士には明るい未来がある」、「自分たちの力で何かを変えられるのではないか」と考え、学生のうちから、話し合う機会や、自己研鑽が出来る場所があったほうがいいのではないかと思い、それが出来る形として学生協会をはじめました。

 

―― 今も続いていますよね。

 

成瀬先生 そうなんです。他の団体がどうやって運営しているのか全部調べ、それを参考に、絶対続くような仕組みを作り上げました。

 

そのため、後輩とは今でも接点があります。私は神戸大学の7期生なのですが、今の20期生のことも知っています。年に一回は会うようにしています。

 

「僕らの時代のPTはこんなんやったんやで」ということを話したり、

 

「君らの時代はこうしたほうがいいんじゃないか」

 

というようなやり取りを今でもしています。だからいまでも続いているんじゃないかと思います。

 

日本の学生と海外の学生の違い

―― アジアも仕掛け人なんですか??

 

成瀬先生 仕掛け人は台湾人です。日本で理学療法学術大会があったとき、台湾の大学生たちが、「アジアの学生と交流したい」という趣旨の発表をされて、その後、国立台湾大学の学生たちが中心となって、日本の大学に連絡を取ってきました。

 

その連絡してきた中に神戸大学が入っていました。日本の大学の子とつながりたいと、神戸大学以外にもいくつかの大学に声をかけていたみたいです。

 

たまたま神戸大学の先生が受けて、僕のところまで話が来ました。

 

私が、学生さんを引き連れ、台湾まで行き、日本にはすでに学生協会があり、組織運営も確立しているという話をし、それを参考に、アジア理学療法学生協会(以下APTSA)ができました。台湾・日本・韓国・香港・インドネシア・マレーシア・フィリピンです。

 

―― 日本の学生と海外の学生の違いは?

 

成瀬先生 決定的に違うのはアグレッシブなところですね。日本の学生は安定志向が強く、生活に困窮もそれほどしていないのでハングリー精神が少ないのかなと思います。すべて安定していて、就職しなくても保護されるため、その辺で差が出るのだと感じます。

 

 例えば、先日インドネシアでAPTSAがあり、それに参加する学生と事前に打ち合わせした際に、インドネシアのことを調べたのかを聞いたところ、全く調べていませんでした。

 

人口や宗教、文化や言葉などを知らない状況では、ただ行くだけになり、学びがなくなります。自分の頭で考える、実行するパワーが日本の学生には足りないと感じます。

 

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