脳梁は、系統発生的に最も新しくヒトで発達が良いとされている。
その脳梁がチンパンジーとヒトでは、どのような発達の違いがあるのか。研究結果が報告されている。
(前略)
チンパンジーでもヒトと同様に、乳児期を通して脳梁の断面積は2倍から3倍になる急速な成長を見せ、その後ゆっくりと変化することが分かりました。一方で、チンパンジーとヒトにおける大きな違いもあり、脳梁の上方に位置する脳梁吻側体部はチンパンジーよりもヒトの方が大きく増加すること、脳梁の前方に位置する脳梁吻は逆にチンパンジーの方が大きく増加することが分かりました。
詳細を読む(引用元):京都大学
左右の大脳半球を連絡する線維で最大の線維束が脳梁である。前方から脳梁吻、脳梁膝、脳梁幹、脳梁膨大からなる。
脳梁吻側体部と呼ばれる部位は、行動制御、言語記憶、数概念に関わる領域、脳梁吻は注意制御に関わる領域であることが報告されている。
このことから、ヒトは乳児期にチンパンジーよりも言語、数に対する概念の発達が良い為、ヒトの脳になって行くのではないかと言える。
生まれつき脳梁が欠損してしまう脳梁欠損症といった病態もあり、てんかんや精神・運動発達遅滞が出現してしまうという。
今回の研究は、このような病態解明の一助になって行くと期待したい。