これから途上国で働くことを考えている療法士・学生へ #3|石井清志先生

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言語をどのように習得したか

パキスタンではウルドゥー語、タジキスタンではタジク語、ミャンマーではミャンマー語といったように、私が滞在した国はいずれも英語を母国語としない国ばかりでした。職場には英語を話せる現地職員がいるのでどうにかなるのですが、日常生活での買い物などでは片言の現地語とジャスチャーでどうにか乗り切るといった感じで、毎回、苦労をしました。

 私の場合、留学経験もありませんので特定の期間に英語を学び上達したという経験はしていませんが、ボランティア経験をはじめとして海外に滞在する中で自然と英語を身につけていったのだと思います。

 

途上国で仕事をしていると、欧米のネイティブスピーカーやネイティブ並みに英語の上手な日本人と話す機会に恵まれますが、その人たちの英語を聞きながら、「この場面ではそういう言い回しをするのか!」など場面にあった英語表現を少しずつ覚えるようにしました。

 

また、一緒に仕事をした現地職員はどこの国でも本当にみんな優秀で、学歴もモチベーションも高い人が多かったので、そのような人たちに恵まれたことも、自分の英語能力を高めることが出来た要因だと感じています。

 

 今の教員という仕事の中では、授業を除くとそれほど英語を話す機会がありません。そのため、今はコミュニケーション能力を落とさないように英語を聞いて、読んで、書くことを意識しながら過ごすようにしています。

 

現在の仕事内容

 私は現在、大学の作業療法学科の教員として教育に携わっています。教員として最も大切なことは優秀な作業療法士を輩出することですが、その教育の中で学生さんにパキスタンやミャンマー、タジキスタンといった海外での障害者支援に関する経験を伝えることで、より広い視野をもった人材の育成につなげていきたいと考えています。

 

 世界では障害者の多くが途上国で暮らしていると言われています。

 

そして、先進国よりも社会保障制度が整っていない途上国では、障害者は貧困や教育の機会の不平等、就労の難しさといった社会問題の影響を受けやすい脆弱な立場にあるといわれています。

 

そのように様々な困難に直面している、途上国の障害者が主体性をもって、よりよい生活を営んでいくためにどうしたらよいか、ということをこれから学生さんと一緒に考えていきたいと考えています。

 

これまでいくつかの国で働きましたが、コミュニケーションはどこの国でも重要だと感じています。様々な分野で国際化ということが言われ始めていますが、リハビリテーション分野においても医療の国際化に伴い、海外からの患者様の受け入れや、医療施設の海外展開などが増えてきていると思います。

 

そのような社会のトレンドに対応するためには、英語や現地語でコミュニケーションを取れることが重要になると考えています。もちろん、ある程度の英語力は必要になりますが、それと同じくらいに大切なのは自らコミュニケーションを取ろうとする姿勢、場に則した対応や接遇です。

 

つまり、ただ単に語学能力を高めるだけではなく、日ごろからそのような能力や場面を意識しておくことが重要になります。4年間の大学生活の中で国際化した社会に対応し貢献できる人材の育成にも力を注いでいきたいと考えています。

 

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