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膝関節拘縮に対する中間広筋・膝蓋上嚢リリース

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膝関節の可動域制限の治療の過程で,初期の段階で特に意識するのは他動運動、自動運動、リハ後、起床後など可動域の日内変動を小さくすることです。

そのためには膝の側面の制限因子を完全に取り除くことが重要になります。その結果、治療効果のキャリーオーバーが起こりやすくなり、治療が進みやすくなります。

 

■ 膝屈曲制限の成因

 

ACL再建術後や膝OAなどにおいて、しばしば膝拘縮が起こります。そのメカニズムは、鏡視下術のポータルの有無などの相違点もありますが、概ね共通の原因によって拘縮がおこります。留意すべき点として、ポータルの影響、ブレースによる圧迫の影響、腫脹や関節液の流動性、膝蓋下脂肪体の癒着などが問題を複雑にします。

 

<膝屈曲制限の成因>

1)皮下組織の癒着(大腿四頭筋腱、腸脛靭帯上、膝蓋腱上、脛骨近位部など)

2)外側広筋、中間広筋外側縁の癒着

3)膝蓋上嚢と中間広筋、大腿骨との癒着

4)大腿四頭筋間の癒着(大腿神経、大腿動静脈を含む)

5)腸脛靭帯の位置異常(前方移動制限は伸展制限の原因となる)

6)膝蓋腱と膝蓋下脂肪体の癒着

7)膝蓋下脂肪体と横靱帯との癒着

8)MCL、LCLの前後への移動制限

9)腓腹筋外側頭・大腿二頭筋長頭の癒着

10)膝窩筋腱拘縮(膝窩筋、ヒラメ筋、腓骨、後脛腓靭帯の癒着)

など

 

さらに、鏡視下術後であれば

11)ポータル周囲の皮下組織の癒着

が加わります。

 

■ 屈曲制限治療のゴール

屈曲制限治療のゴールは快適に正座ができることであり、患者が諦めない限りは100点満点の可動域獲得を目指します。その為には上記のような要素をすべて解決する必要があり、そのうちストレッチを含む運動療法で解決できることは一つもありません。

 

下の画像は2)と3)を達成するための技術です。中間広筋の外側縁をめくるようにして膝蓋上嚢と中間広筋の間に入り込み、この部分の癒着を剥がします。屈曲制限の一部となっているだけでなく、膝蓋骨外方偏位の原因でもあるので筋力発揮を改善するためにも必要な要素となります。

頑固な膝拘縮を正座にまで到達させるには数十時間の治療が必要になることがあります。1単位20分と考えると、100単位で33時間です。医療経済を考えると拘縮治療に100単位はとても負担が大きすぎますが、患者自身の希望を考えると100単位で治るなら治療を受けたい、というのが本音でしょう。重要なのは、保険であれ保険外であれ、医療システムとしては患者に選択枝を用意できること、セラピストとしては33時間かければ確実に正座まで行けるという治療技術を持つことが重要です。

 

■ 筆者・セミナーご紹介

筆者:蒲田和芳

・広島国際大学総合リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 教授

・株式会社GLAB(ジーラボ) 代表取締役

・一般社団法人日本健康予防医学会 副理事長

・株式会社リベラシオン 代表取締役

 

セミナーご紹介:蒲田和芳が講師を務める~全身の関節疾患の治療法を学ぶためのセミナーシリーズ~CSPT2018 クリニカルスポーツ理学療法セミナーの受講者お申込み受付中です。

https://realine.info/seminar/cspt

 

長期間の「拘縮」や「可動域制限」に対しても、確実に可動性を回復させるための徒手療法技術ISR(組織間リリース®)セミナー2018も受講者お申込み受付中です。

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膝関節拘縮に対する中間広筋・膝蓋上嚢リリース

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