呼吸リハビリテーションにおける作業療法の必要性

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先日、落語家の桂歌丸さんが慢性閉塞性肺疾患(COPD)で亡くなったことは記憶に新しいと思います。その影響か、TVの健康関連での番組でも肺炎について特集を組んでいたり、肺炎予防を謳った書籍も本屋で見かけたりすることが増えてきた気がします。

 

実際に、平成23年に日本人の三大死因疾患が変動し、脳血管疾患を押さえ肺炎が第3となっており、その後も肺炎での死亡率は上昇傾向にあります。またこのような社会の傾向から、呼吸リハビリテーションに対する関心やニーズが今後益々高まってくるのではないかと予想されます。

 

呼吸リハビリテーションとは、病気や外傷によって呼吸器に障害が生じた患者さんに対して、可能な限り機能を回復し、あるいは維持することによって、症状を改善し、患者さん自身が自立した日常や社会生活を送れるように継続的に支援する医療です1

 

元々、呼吸疾患の患者に対するリハビリは呼吸理学療法がメインで行われていましたが、2008年度の診療報酬改定により、呼吸器疾患患者に従来の呼吸理学療法に加えて呼吸作業療法が実施できるようになり、呼吸器疾患患者に対してOTの必要性も徐々に高まってきています。

 

しかし、現在の養成校の教育として(私が学生の頃の話にはなるのですが)、OTの学生に対して呼吸リハに対する教育はそこまで重要視されていなかったように思います。私も総合病院へと就職し一般病棟担当のOTとして働き始めましたが、呼吸器疾患患者に対してどういう介入をしていいか全くわからず、四苦八苦していました。そのため、最初の頃は呼吸リハについてはPTに任せてしまうことが多く、自身のセラピストとしてのふがいなさを感じていました。これでは患者様に対してセラピストとして、一医療人として最善の医療を提供できないと一念発起し、呼吸器疾患や呼吸リハに対して勉強し始めました。

 

そこで様々な勉強会や講演会に出て先生方のお話を聞いている中で、「呼吸リハって、OTとしてできることがたくさんあるのではないか?」ということを強く思いました。

そのように感じた理由を以下に述べていきたいと思います。

 

①重症状態から回復し退院後のメンタルヘルスが本人、家族ともに発症しやすい。

集中治療後症候群(PICS:Post Intensive Care Syndrome)とは「重症疾患後に新しく、または悪化した身体 機能、認知機能、メンタルヘルスの障害の総称」であり、その患者家族に起こることをPICS‐Fと言います。

 

上の図からわかるように重篤な状態から生存したとしても、きちんとしたサポート体制がなければ患者様の身体障害だけではなく、認知機能障害やメンタルヘルスや、それを支えるご家族様のメンタルヘルスも引き起こす可能性が高いと言われています。

 

Herridgらによる ICU に入室し回復した 急性呼吸促迫症候群(ARDS:Acute Respira-tory Distress Syndrome) 患者の5年間の追跡調査(2011)では、患者の呼吸機能は維持できていたが、運動制限や身体機能低下は著明であった。また、入院前同様に就業できないこと、増加した医療費負担、家族の状況が患者のリハビリテーションの進行に影響を与えていたと報告されている。しかし、佐野によると急性期に関わった理学療法士や看護師 が PICS に関わる機会は以外と少ない。PICS の原因は多岐にわたるが、慢性呼吸器疾患同様に長期間管理が必要であり、シームレスな呼吸リハビリテーションが求められる2と述べています。

 

それらのことから、身体機能向上だけでなく、リハビリ職として患者様・ご家族様の在宅生活を支える為に、患者様の認知機能の維持や患者様・ご家族様のメンタルケアをOTとして長期的に行っていく必要性があるのではないかと考えました。

 

②日常生活活動(ADL)、家事動作中に息切れや低酸素血症を引き起こしやすい。

ADL・家事動作場面で息切れを生じやすい代表的な4つの動作があり、

 

・上肢を挙げる動作:呼吸補助筋を使用するため、呼吸が苦しくなる。(例:洗濯物干し、被りシャツの着脱、洗髪、高い物を取るなど)

 

・上肢を使う反復動作:リズムがついてスピードが速くなり、力も入れ続けているため、息苦しくなる。(例:掃除機をかける、歯磨き、拭き掃除、洗体など)

 

・腹部を圧迫する動作:横隔膜の動きが制限されるため、呼吸がしにくくなり、息苦しくなる。(例:足を洗う、草むしり、靴下や靴を履く、下にあるものを取るなど)

 

・息を止める動作:呼吸を止めてしまうため、呼吸のリズムが崩れ、息が苦しくなる。(例:洗顔、排便、会話、食事、重い物を持ち上げるなど)

 

など多数あります。

    

しかし、少し環境を変えたり、本人に合った動作方法を指導することで呼吸が楽にADL・家事動作を行うことが可能となる事例が多数あります。

 

そのため、生活を見ることが専門のOTがより細かく動作を分析し、不十分な機能を向上したり、環境調整や動作と呼吸の同調方法を実際の生活場面で介入する必要性があるのではないかと考えました。

 

まとめ

ADL・家事の実動作場面をより詳しく評価・分析し、身体機能向上・環境調整・呼吸と動作の同調方法の指導など、OTの専門性を活かすことで、呼吸が楽に患者様が生活を送る為に貢献できるのではないかと私は考えており、他にも呼吸リハを行う上でOTとしてできることはまだまだたくさんあると思います。病院ではもちろんですが、地域でも呼吸について介入が必要な患者様はたくさんいらっしゃいます。むしろ、長く安全にその人らしい生活をするためには、地域で生活に密接したケアが持続的に必要かと考えます。

 

当事業所では様々なスキルを持ったセラピストが数多く在籍しています。その中で呼吸認定療法士の資格を持ったセラピストも複数名在籍しています。私もまだまだ経験が浅く、わからないことだらけですが、臨床経験豊富な先輩方に優しく教えて頂いています。また呼吸認定療法士など、資格の取り方なども様々なアドバイスを頂けます。若手で訪問リハビリに興味がある方や、資格取得を考えている方にはピッタリの職場かと思います。

 

【触診交流会 in 神奈川】

上肢編 2018年8月4日(土)19:00~21:00

・肩甲棘 / 上下角 / 烏口突起 / 大小結節 / AC/SC関節 / ローテーターカフ / 上腕動脈 / 橈、尺骨茎状突起 / 手根骨(豆状骨、三角骨、有鈎骨、舟状骨、大菱形骨、月状骨、有頭骨)  

場所:Luxem訪問看護リハビリステーション川崎多摩

   神奈川県川崎市多摩区東生田1-10-1栃倉ビル1F

参加費:POSTプレミアム会員  無料 無料会員  各回1,500円

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※Luxemでは、「認定理学療法士」など各協会の認定資格に対して毎月の給与に手当を設定しています。

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随時、見学や相談可能です!※ご連絡の際に「POSTを見て応募しました」とお伝えください。

 

参照

1)日本呼吸ケア・リハビリテーション学会HP

2) 佐野裕子:集中治療後症候群の概念と外来リハビリテーション

 

参考

厚生労働省 平成28 年 人口動態統計月報年計(概数)の概況

独立行政法人 環境再生保全機構HP:ぜん息などの情報館 【知識編】息苦しくなりやすい動作

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