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股関節症と頚部骨折、どちらの術後リハビリが大変か

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股関節に対する外科的手術後のリハビリテーションは多くの施設で実施されていて、リハビリを受ける方も指導する方もたくさんいらっしゃるわけですが、股関節症と頚部骨折のリハビリの違いを理解できていない方が少なくないので簡単な解説を書きたいと思います。

最近はクリニカルパスとか術後プロトコルといった形式上のものに意識がとらわれやすいのかもしれません。

 

ちなみに私、直近5年間は上記の疾患のためだけに入院した方を担当していませんので、「いやいやオッサン考え古いぜ」て感じのご指摘があればぜひ教えて下さい。

 

とりあえずどっちが大変なの?

それでタイトルの股関節症と頚部骨折どちらの術後リハが大変かというと、間違いなく股関節症です。股関節症の大変なところとは、「進級してクラス替えした直後の教室の雰囲気」と同じです。私は実際に患者さんに対してもそのように説明していました。

 

病態の違い

偉そうに言うことでもありませんが、そもそもこの2つの病態って全然違いますよね。

①股関節症では長期経過で骨盤と大腿骨が近づき、かつ疼痛回避のためのクセがついている

②頚部骨折では転倒する要因があった

 

股関節症の術後リハビリ

股関節症の術後に「MMTが2になりました!」というのは当たり前です。アライメントをがっつり変えてしまっているので、関節運動における個々の役割が変わってしまうんですよね。

 

例えば梨状筋なんか「なんか目ぇ覚ましたら自分ぱっつんぱっつんなんすけど!」とか言って全然使いものにならないわけです。アライメント変化の影響を個々に考えると、術前後で筋長の変化率が大きい筋で影響がより大きい気がしますよね。

 

それで術後は主動作筋と拮抗筋のタイミングとか、アウターとインナーの連携とか、術前に築いていた関係が崩れてぐちゃぐちゃな状態というわけです。あたかもクラス替え直後の教室の雰囲気で、前のクラスだと大爆笑だったネタで滑ってしまった、これがMMT2の原因ですよね。

 

なので股関節症術後のプログラムというのは、伸びるのに慣れてない筋を伸ばしたり、縮むのに慣れてない筋を縮めたり、全体の動きを調整してやったり、もう必要のないはずの疼痛回避動作を修正したり、やることが多いんですよね。

 

頚部骨折の術後リハビリ

対して頚部骨折は折れ方が悪い場合を除いて、基本的に術侵襲が中心ですから、雑にいえば立って歩けばいいんです。周術期の変化は少なくて楽です。変化度としてはクラス替えに対して夏休み後くらいなものです。

 

一方で、ちゃんとやるなら退院調整の方が重要ですよね。転ぶのには理由があるし、基本的には入院前よりも身体的には転倒リスクがさらに高い状態で家に帰すことになるわけですから、補助具なのか運度療法なのか、ケースによると思いますがそこはちゃんとケアすべきだと思います。

 

本当にアクシデンタルな受傷方法の方もいますが、基本的には転倒要因を持っているはず!と疑ってかかった方が良いです。つまづき、ふらつき、ステップ速度の低下、下肢屈曲位の筋出力低下、足部感覚鈍麻、起立性低血圧、利尿剤や安定剤の服用、認知症、無症候性(といいつつ軽度の症状がある)脳梗塞、など様々な要因がありますが、どこで、何時頃、何をしているときに、どの方向へ転んだのかという情報を聴取することが大切です。

 

基本的なことなのでわかってる人には何を今さらって感じだと思いますが、でもこういうことって教科書的なものにはあまり書いてないので、もし若い人の参考になれたら幸いです。

股関節症と頚部骨折、どちらの術後リハビリが大変か

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