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第二回:"結合組織"に対する3つのアプローチ法とは?【BiNI Approach センター 代表 舟波真一先生】

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【4/7】舟波先生による講演臨床実践!臨床家のための運動理論と治療の実際は以下

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理論をアプローチに活かす

ー 舟波先生が著者である”運動の成り立ちとは何か”や、"臨床実践 動きのとらえかた "を読ませていただいたのですが、理論として「なるほど」と思っても、臨床になかなか活かせません。周りにもそういう方がいたのですが、アプローチを活かすための工夫を教えていただけますでしょうか?

 

 

舟波先生 本を読むだけでは想像がつかないかもしれませんね。正直に言えば、我々が開催しているコースに来ていただくのが一番だとは思います。しかしアドバイスをさせて頂けるとすれば、結局DNAとは何かと言えば、我々の身体構造全てがDNAですよね。

 

つまり顔や腕、体幹の質量配分などはDNA情報から出来ているということです。ということはこの身体自身がすでに運動を規定しているということです。歩行に適した身体で産まれてきて、そう成長していくということが自己組織化の一つです。

 

人間のような質量配分の人形を作って、振ったり坂道に落としたりすると、勝手に歩行用パターンを示すと言われています(受動歩行)。
 
人間の身体が歩行を規定するのならば、解剖学や運動学をとことん突っ込んでいかなければいけません。リハビリテーション教育の中では、”骨”、”筋肉”、”神経学”は学びます。しかしそれを繋ぎ止める”結合組織”の話がまったく抜けているんです。

 

筋肉も筋膜という結合組織で包まれていますし、長崎大学の沖田先生の「関節可動域制限」という本の中でも、学校教育で言われていたアクチンとミオシンのクロスブリッジだけが拘縮の要素ではないと言っています。

 


その周りの筋内膜、いわゆる結合組織の線維化であったり、水分の含有量や粘性の変化であったりが要因だとあります。その時点で運動を規定している構成要素に変化があるということになりますよね。そして結合組織には知覚性の自由神経終末も非常に豊富に含まれています。

 

つまり結合組織は感覚受容器と言え、結合組織を変えるということは感覚を変えるということとイコールと考えているんです。我々は、結合組織レベルで変化させるということは、イコール感覚を変えることだと位置付けています。

 

なので、感覚が変わると、入力が変わる。入力が変わるとそこに自己組織化理論の中の”神経振動子”という介在ニューロンの結合系があって、そいつに感覚(=電気信号)が引き込まれて、一つの周波数にしてくれる。

 

それがαモーターニューロンを発火させて筋出力になります。つまり結合組織を変えるということは、感覚を変え、身体内の電気信号を変えることだと位置付けています。臨床に汎化すれば、筋線維ではなくて、結合組織に注目をして問題点を抽出して治療を仕掛けるというのが、非常に良いのではないかと提案しています。

 

まずは、「結合組織とは何ぞや?」というのを勉強していただいて、それに対してのアプローチはどうするのかということをBiNI approachで提供しています。結合組織がどう変化するのかについては、1つ目は我々が持っているマイクロカレントと言われる微弱電流は結合組織を変化させます。

 

2つ目は振動。我々は止まっているように見えても振動しているので、触っているだけでも振動を与えることができます。3つ目は、遠赤外線。質量を持つ物体は基本的には遠赤外線を発していると言われています。人間は熱エネルギーを持っているので、熱も結合組織を変化させます。

 

竹井先生が書かれている”筋膜マニュピレーション”という本の中にも「結合組織は感熱性である」と書かれています。
 
この3つは、誰でも持つ生体エネルギーで、”手当て”の本質と言いましょうか,その3つによって結合組織は変化すると我々は考えているので、触っているだけでも変化しますよということになりますね。持ち越し効果,持続効果をつくるにはもう少しやらなければならないこともありますが。
 
 

【4/7】舟波先生による講演臨床実践!臨床家のための運動理論と治療の実際は以下

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 ”あくまで”結合組織に着目

ー 凄いわかりやすいです。結局、結合組織って従来「骨」・「筋」と分けて考えられていたものを結ぶものですよね。

 

舟波先生 そうなんです。理学療法学にも出ていましたが、カエルの実験で、固定して拘縮を作ってその拘縮はどう改善するかをみた実験でも、筋膜を切ると中の筋線維はあまり変化がなく、筋膜を切ると動き出し、可動域制限がなくなるという文献があります。

 

我々は切ったりできませんから、皮膚の上からの治療ですから、結合組織を介さない治療なんてありえません。硬さという問題は、筋肉じゃなくて筋膜、結合組織の問題なんだよと。

 

ただ筋膜というと誤解を招いてしまいまして、筋膜に着目した手技はたくさんあります。筋膜だとか、リリースという言葉は私たちはあまり使いません。あくまで”結合組織”に対して何をするかということになります。

 

ー 筋膜だけというよりも、もう少し広いイメージということですね?概念としては筋膜ももちろん大事だが、筋膜だけではない。

 

舟波先生 そういうことですね。バイオメカニクスの視点だけではなく、結合組織にはメカノレセプターが豊富なので中枢神経系にも関与するということも考えています。胚葉の3つの分割の仕方も結構新しく言われていることもあって、従来言われていた内胚葉・中胚葉・外胚葉の分類でいいのかと言われています。

 

神経系は外胚葉由来と言われていますし、表皮も外胚葉由来。皮膚って神経系が露出しちゃっている状態と同様なのかなと考えています。結合組織にも知覚性の自由神経終末が豊富ですし,環境からの刺激は,それらのメカノレセプターによって活動電位に変換され,中枢神経系を介して出力される。

 

中枢神経系は感覚を出力に変換するコンバーター,変換器の役割もしていると考えています。なので、中枢神経系をシンプルにとらえるようにしています。我々の統合的運動生成概念の中では、左右は違うよということも言っています。

 

”左右特異性”といって、受精卵に起きていることや,身体の構成要素,例えば血管や内臓位置などに基づいて話をしています。そういったところを勉強されるのはとても大切なことかと思います。
 

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舟波真一先生の経歴

【主な略歴】

平成2年4月 国立療養所犀潟病院附属リハビリテーション学院 入学

平成5年3月 同専門学校 卒業

平成5年4月 新潟県立小出病院 入職

平成9年3月 同病院 退職

平成9年4月 諏訪赤十字病院 入職

平成15年3月 日本福祉大学大学院 博士前期課程(久保田競教室) 入学

平成16年3月 同大学院 博士前期課程 修了

平成25年9月 諏訪赤十字病院 退職

平成25年10月 バイニーアプローチセンター設立,代表就任

現在に至る

【資格等】

理学療法士・専門理学療法士ー神経系領域

人間環境情報修士

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