第一回:メイクの魔力【旭神経内科リハビリテーション病院|猪俣亜海先生】

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おばあちゃんのブレスレッド

作業療法士になられたきっかけを教えていただけますか?

猪俣先生:私が、2歳の頃、祖母が入院していました。毎週のように、電車に乗って祖母のお見舞いに行っていましたが、電車で片道1時間、2歳の私にとってはすごくハードだったことを覚えています。そんな生活が、祖母が亡くなる、小学2年生まで続きました。

 

そんな幼少期の経験から、「病院で働きたい」という、気持ちがあったと思います。職種を決めたのは、高校生の時です。私の学生時代は、陸上競技に明け暮れ、ケガとともに歩んだ競技人生でした。骨折は4回、それに加えて靭帯断裂。イヤでも、リハビリに関わることも多かったですね。何かと、私のこれまでの人生には“リハビリ”が身近にありました。

 

進学先を探す中で、歴史の深い北里大学に進学を決め、理学療法士か作業療法士か言語聴覚士かは、まだ迷っていました。そんなとき、小学生時代のものを整理していたら、祖母がリハビリで作ったブレスレッドが出てきたんです。

 

それは作業療法士さんと手のリハビリの一環として作ったものでした。リハビリというと、その時までは、「患者さんを良くするものだ」という認識だったんですけど、患者さんはもちろん、その周りの人たちまでを笑顔にする、作業療法は素敵だなと、思いました。

 

― いざ勉強を始めてみると、想像と現実で違う面を感じる人もいると思いますが、実際にはいかがでしたか? 

 

猪俣先生:私の同期は、非常に個性豊かな人ばかりでした。良くいえば。笑 例えば、OTは1対3の割合で女子が多いです。その中でも、数少ない男子がとにかく凄かったんですよ。笑 

 

当然、勉強がすごくできるのですが、ちょっとオタクっぽいという感じで、これまでに生活の中で関わりのない人たちばかりでした。PTは反対に、全体的に男子が多くて、勢いがあってキラキラしてるという感じでした。後は担任の先生が、すごくユーモアに溢れる先生だな、という印象です。

 

その中でも、実習の経験は私にとって“すごく大きな経験”をしました。精神科の実習が非常にユニークで、先生達も、患者さんの中に溶け込んでいました。変な意味では、ないですよ。笑

 

特に重要視されたのは「なんで」という言葉です。例えば、患者さんがセクハラをしてきたとしますよね。その場合、「なぜ私はセクハラを拒否したのか?」「患者さんがなぜ、セクハラをしようと思ったのか」を考えなさい。ということまで考えさせられていました。

 

当時は結構きつかったですけど、結果的には楽しかったですね。今でも、その「なぜ?」という問いは、常に自分の中にあります。

 

“メイク”ミラクル

 

― 今の就職先も、やはり実習地だったんですか?

猪俣先生:そうですね。この病院って、OTの先輩たちが、すごくのびのびとしているなっていう印象があって、やはり回復期で経験を積みたいということもあったので、就職しました。

 

機能としては、正直黙っていてもよくなる方は多い分野だとは思うんです。その中で、私たちができることといえば、依存させずに自宅へ帰ってもらうことかなと、思っています。この場では、そういう自信をつけてもらう場、として考えています。

 

― 今3年目だと伺いましたが、メイクを作業療法に加えはじめたエピソードはありますか?

猪俣先生:私もメイクが好き、ということが大きいのですが、1人の患者さんにお化粧をしました。それまでも、「なんで、みんなお化粧をしないのだろう」と、疑問をもっていたこともあって、実践してみました。

 

実際は、大成功でした。もちろん、患者さん自身は喜んでくれたんですけど、それよりも、周りの人が「この人、こんなにキレイなんだ」と、言ってくれたことが印象に残っています。

 

本人が変わることも嬉しかったんですけど、それを見た周りが変わっているのが、すごく嬉しかったんです。すごくポジティブな声がけが増えて、周りの人たちも私に色々と話しかけてくれるようになりました。

 

「お化粧は本人だけじゃなく、周りの人達も変えてしまうんだな」という経験をきっかけに、“おばあちゃんのブレスレット”と話が繋がっていきました。

 

ボサボサの患者さんが多いなというのは学生の時から感じていたんでしょうか?

猪俣先生:すごく、感じていました。でも、どちらかというと、職員がノーメイク…。

 

続くー。

【目次】

第一回:メイクの魔力

第二回:猪俣プロデュース

第三回:“恋”するリハビリテーション

最終回:1位以外全員最下位

 

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猪俣 亜海 先生のプロフィール

・作業療法士

・資生堂メイクセラピスト

・認定メイクセラピーアドバイザー

・2018ミス・ユニバース千葉 準グランプリ

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